
原子力の研究開発は、国民の皆様の御理解がなければ前へ進めることができません。そのために、ソーシャルネットワークの積極的な活用、ホームページの充実や広報誌等を通じた情報発信に努めていますが、私どもの活動への御理解を一層深めていただきたいと考え、2017年度一年間の活動状況をこのアニュアルレポートとしてまとめました。
今後とも原子力機構の活動に対する御理解、御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
2018年9月
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長 児玉 敏雄
原子力機構は、安全確保を大前提とし、原子力により国民の生活に不可欠なエネルギー源の確保を実現すること及び原子力による新しい科学技術や産業の創出を目指して、その基礎・基盤から応用・実用化までの研究開発を行うとともに、その成果等の普及を行い、もって人類社会の福祉及び国民生活の水準向上に寄与することを目的としています。
2017年度における原子力機構の活動について、ぜひ御理解いただきたい内容を「トピックス」としてまとめています。
・高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置の完遂に向けて作業に着手
・「もんじゅ」と「ふげん」の廃止措置を一元的に進めていく「敦賀廃止措置実証部門」を新設
・福島県環境創造センター三機関が連携し、林野火災に対する放射線環境影響を評価
・東海再処理施設は、新たなステージである廃止措置段階に移行
原子力機構は、業務運営にあたって安全確保の徹底を大前提とし、基本方針の最優先事項としています。自ら保有する原子力施設が潜在的に危険な物質を取り扱うとの認識に立って、安全確保、品質保証と核セキュリティを徹底しています。そして自らの行動基準の最上位に安全確保を掲げて行動しています。
研究開発を促進させるため、以下の取組を行っています。
・国際戦略の展開
・産学官との連携による研究開発の促進
・原子力分野の人材育成
原子力機構では、各種の政府方針を踏まえ、研究開発に取り組んでいます。
・福島の再生・復興に向けた技術の確立 福島研究開発部門
・原子力安全の継続的改善 安全研究・防災支援部門
・原子力を支える基礎基盤研究 原子力科学研究部門
・バックエンド技術の確立 核燃料・バックエンド研究開発部門
・高速炉サイクル技術の確立 高速炉・新型炉研究開発部門
・ 「もんじゅ」、「ふげん」の廃止措置の実施 敦賀廃止措置実証部門
原子力機構では、コンプライアンスリスクをはじめとするさまざまなリスクの低減及び顕在化防止に向けたリスクマネジメント活動を推進しています。
また、研究開発成果の発信や施設の安全に関する情報等を積極的に公開し、透明性を確保するとともに、対話活動等を通じた相互理解の促進に取り組み、地域及び社会からの信頼確保に努めています。
原子力機構では、研究開発成果の最大化と効率的な業務遂行を図るため、目指すべき人材像、キャリアパス方針等を盛り込んだ「人材ポリシー」を策定し、職員の意欲を引き出し、資質・能力の向上を図ることにより、体系的かつ組織的な人材の育成を進めています。
環境に配慮して事業を行うことは原子力機構の事業が社会に受け入れられるとともに、自らの周囲をより良い環境にすることでもあり、事業の効率化にもつながっています。
また、社会貢献活動に積極的に取り組み、地域の皆様との相互理解を深めるさまざまな活動を全国の拠点で行っています。
社会価値創造ストーリー
原子力機構は、「安全」、「コンプライアンス」、「実行」を重要課題とし、日本で唯一の総合的原子力研究開発機関としての技術や知見を、より社会の皆様のために役立ててまいります。