公 開 番 号 |
2011−03 |
関連公開番号 |
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件 名 |
ディーゼル発電機C号機の故障について |
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公 開 日 |
2011年 7月28日(平成23年) |
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不適合の発生日 |
2010年12月28日(平成22年) |
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発 生 拠 点 名 |
敦賀本部 高速増殖炉研究開発センター |
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発生施設・設備名等 |
高速増殖原型炉もんじゅ 非常用ディーゼル発電機C号機 |
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不 適 合 の 内 容 |
非常用ディーゼル発電機の定期点検のため、3台ある非常用ディーゼル発電機のうち、C号機を平成22年11月17日に待機除外とし、11月18日より同発電機を点検し、12月27日に無負荷運転試験を実施した。 12月28日、同発電機の負荷運転試験のため、10時31分に起動したところ、10時52分頃、異音と排ガスの漏えいを確認するとともに、10時55分頃、8シリンダ*1のシリンダライナー*2にひび割れを確認したことから、10時56分に同発電機を停止した。 その後、ひび割れの寸法測定等の調査を行った結果、外部から見える範囲で、8シリンダライナーにひび割れが7箇所(最大約45mm)確認された。 非常用ディーゼル発電機A,B号機は自動待機中であり、他の設備に影響はなく、環境への影響もなかった。 *1:非常用ディーゼル発電機は1基あたり12気筒を有している。 *2:ディーゼル機関の燃焼室を形成する筒状の部品であり、その内側にピストンが組み込まれている。 |
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原因の調査・特定 |
@ シリンダライナーの調査結果 ひび割れが確認されたNo.8シリンダライナーを分解点検し、破面観察を行った結果、 ・シリンダライナーつば部に13箇所のひび割れが発生し、うち6箇所はひびが全面に達し、つば部が分離していた。 ・過大な応力が作用した際に現れる組織模様が確認された。 Aシリンダライナーの点検作業の確認結果 シリンダライナーの点検作業に関する状況を確認した結果、 ・シリンダライナー取り外し作業の作業要領書に油圧計の取り扱いが明確でなく、適切な油圧管理を行うことができない要領書であった。 ・実際の作業においては、油圧計を取り付けず、作業者間の油圧に係る合図が遅れ、圧力をかけ続けていた。 以上@、Aより、シリンダライナーに過大な応力がかかり、ライナーつば部とライナー本体間に初期のひび割れが発生し、その後の組み立て時のナット締め付けや試運転時の熱及び圧力によりに発生する応力によりひび割れが進展し、シリンダライナーの破損に至ったと推定される。 Bシリンダライナーの材料強度の調査結果 No.8シリンダライナーの材料強度を確認したところ、引張強さが低下していたことから、C号機の全シリンダライナーの材料強度の確認及び材料分析を行った結果、 ・No.8を含む5本のシリンダライナーにおいて引張強さが低下していた。 ・組織観察を行ったところ、引張強さ低下の原因となる異常な黒鉛組織(ウィドマンステッテン黒鉛)が確認された。さらに、材料分析を行ったところ、引張強さの低下の原因の一つとなる鉛成分が含まれていた。 Cシリンダライナー製造時における原料の調達に係る調査結果 材料に鉛が混入した原因について製造メーカで調査した結果、 ・原料の調達においてリサイクル材の一部に鉛が含まれていた。 以上B、Cより、鉛成分がシリンダライナー製造時に混入したことにより、鋳造過程で異常な黒鉛組織が発生したため、材料強度が低下したと推定される。 なお、鉛成分が混入し材料強度が低下しているシリンダライナーであっても、シリンダライナー取り外し作業において油圧計による適切な油圧管理を行っていれば、ひび割れが発生するような過大な応力がかからないことを確認した。 |
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是正処置の必要性の評価 (システムへの影響) |
安全機能を有する重要な機器であることから、再発防止対策を実施する。 |
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是正処置(計画)の内容 |
当該不適合に対して、以下の是正処置を実施する。 @非常用ディーゼル発電機C号機シリンダライナー(12本)については、すべて材料強度の健全性が確認された新品に交換する。 Aシリンダライナー点検作業要領書に、油圧計の取り付けを明記し、油圧値を記録することにより、シリンダライナーに過大な圧力をかけないよう適切な油圧管理を行う。 B非常用ディーゼル発電機A、B号機のシリンダライナーの超音波速度(引張強さと相関がある)を順次測定して材料強度を確認し、引張り強さが低いものについては、材料強度の健全性が確認された新品に交換する。 |
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備 考 |
添付資料:非常用ディーゼル発電機シリンダライナーのひび割れについて |