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研究者紹介

令和2年度 萌芽研究開発制度

気泡崩壊現象を利用した飛散微粒子の革新的除去技術の開発

原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター 熱流動技術開発グループ
上澤 伸一郎

私は軽水炉の設計、事故時対応策の策定、安全性の向上のための機器の追加などを行う上で重要な熱や流体の動きの把握あるいは評価に関する研究を行っています。 現在、福島第一原子力発電所の廃炉が進められていますが、燃料デブリの取り出しの際に放射性飛散微粒子が発生する可能性が指摘されており、その閉じ込め管理が課題となっています。 そこで私は、従来にない飛散微粒子除去技術として、気泡と流体の物理現象を利用した除去技術を考案し、有意な除去性能があることを明らかにしました。
本研究では、この除去技術を開発する上で必要な基礎試験装置の製作や、試験消耗品の購入に寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、萌芽研究開発制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。ありが とうございました。

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令和2年度 萌芽研究開発制度

機械学習を用いた放射線測定値換算手法の開発

福島研究開発部門 廃炉環境国際共同研究センター 広域モニタリング調査研究グループ
佐々木 美雪

私は福島第一原子力発電所事故によって放射性物質の汚染影響を受けた、環境中の放射線測定及びそれに関わる研究開発を行っています。環境中の放射線測定の方法の一つとして、無人機を用いた上空からの測定方法があります。上空からの放射線測定は地上における測定とは異なり、周辺からの影響を平均化した値として、測定値が得られます。よって地上測定と比較して、詳細な線量率の分布等が得られない課題がありました。私達の研究では、近年多くの分野で利用されている機械学習(人工ニューラルネットワーク)を用いた新たな放射線測定値の解析手法を提案しました。
本研究では、放射線測定試験及び解析手法構築のために皆様からの寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、萌芽研究開発制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。この研究成果をもとに、原子力災害時等における緊急時の放射線モニタリング技術開発を進め、より安全でかつ高精度な放射線測定が実現できるよう、研究に努めていきたいと思っております。

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令和2年度 萌芽研究開発制度

アインスタイニウムを用いた超重元素の構造研究

原子力科学研究部門 先端基礎研究センター 重元素核科学研究グループ
オルランディ リカルド

私の研究では、実験室で研究できる最も重い原子核の構造に焦点を当てています。原子核には「安定の島」と呼ばれる興味深い領域があり、長い寿命をもつ非常に重い元素(超重元素)の存在が予測されています。安定の島に到達することは、原子核物理学の大きな目標の1つです。254Es( 「アインスタイニウム-254」、原子炉で使用するウラン235よりも陽子が7個、中性子が12個多いもの)のような重い原子核は、安定の島の元素と同じような構造を持ち、超重元素の性質を理解するために必要な情報をもたらします。
本研究では、 254Esの薄膜標的に重イオンビームを照射して、 254Esの構造を垣間見ることができました。これにより超重元素の存在を予測する理論模型を改善することができます。実験に必要な機器の整備に寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、このような研究を実施する機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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令和2年度 萌芽研究開発制度

In-situ固液界面構造評価によるグラフェンの電気化学反応機構の解明

原子力科学研究所 先端基礎研究センター ナノスケール構造機能材料科学研究グループ
保田 諭

私はグラフェンと呼ばれる炭素原子1層からなるナノ材料の電池反応に関する研究を行っています。グラフェンは2010年のノーベル物理学賞の対象材料で、溶液中での電気化学反応を利用してグラフェン内に電子を注入するとその電気的性質が変化し、バイオセンシング能や電極触媒能を発現することが期待されています。しかしながら、これら機能を決定する、電気化学反応が起きているグラフェンとその近傍のイオンの界面挙動について理解が進んでいないのが現状です。
私の研究では、その場観察が可能な電気化学ラマン分光法と電気化学表面X線散乱法を用いて、電子注入時におけるグラフェンとイオンの界面挙動を同時に評価することを行いました。この研究を行うため、機器の整備や試料作製のために寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、萌芽研究開発制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成29年度 萌芽研究開発制度

次世代大強度陽子加速器に必須な革新的なレーザー荷電変換入射実現に向けたレーザー駆動システムの開発

J-PARCセンター 加速器ディジョン 加速器第三セクション
原田 寛之

はじめまして。J-PARCセンター加速器ディジョン加速器第三セクションの原田寛之です。私は日本が誇る大強度陽子加速器施設J-PARCにて大強度ビーム出力に関する様々な研究を行っています。
大強度陽子加速器は、世界中で稼働しており、稀な物理事象の探索や実験の高効率化に向け、更なる出力増強が求められております。大強度陽子加速器では、大強度ビームを蓄積するために荷電変換入射方式が採用されておりますが、従来の炭素膜による衝突型方式では、膜の長寿命化などが世界的な課題です。
そこで私は、世界初のレーザーによる非衝突型方式(レーザー荷電変換入射)を新たに考案し、この方式を新たな世界標準とすべく、研究開発を進めております。本研究では、実現に向けた基盤技術であるレーザーの照射角を制御するシステムを開発すべく、寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、このような研究発展の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。日本が世界をリードできるように、頑張っていきますので応援よろしくお願いいたします!

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平成29年度 萌芽研究開発制度

軽水炉事故時の燃料・構造材内におけるセシウム物理化学状態の直接観察

原子力基礎工学研究センター 性能高度化技術開発グループ
鈴木 恵理子

はじめまして。原子力基礎工学研究センター性能高度化技術開発グループの鈴木恵理子です。東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を進める上では、事故が起きた際の原子炉内におけるセシウム分布を推定することが必要となります。
私は、その事故処理にいち早く役立たせるための推定に基盤的に貢献するため、事故時の核燃料や原子炉内構造材等の物質中でのセシウムの状態・ふるまいに関する研究を行っています。セシウムは、揮発性や化学的活性が高いため、物質中での存在状態や他元素との化学的相互作用の観察・測定は困難でした。
そこで、私の研究では、それらを可能とする基盤技術として、放電プラズマ焼結法という新たな手法を用いたセシウム含有模擬燃料の調製技術と、今まで実施されていなかった分光学的手法、微細組織観察手法を用いたミクロレベルでの物理的・化学的状態評価手法を開発しました。
本研究では、これらの様々な手法を用いた実験を実施するために寄附金を活用させて頂きました。寄附者の皆様には、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成28年度 萌芽研究開発制度

アパタイトを用いた放射性ストロンチウムイオン吸着材料の開発

原子力科学研究部門 物質科学研究センター 階層構造研究グループ
関根 由莉奈

はじめまして。原子力科学研究部門 物質科学研究センター 階層構造研究グループの関根由莉奈です。私は骨の主成分でもある“ヒドロキシアパタイト”を利用した有害金属に対する吸着材料の開発に関する研究を行っています。放射性物質の安全な除去および拡散防止は重要な課題の一つです。なかでも、ストロンチウム-90(90Sr)は地下水や海水に多く含まれるカルシウムイオンとの区別が困難であることなどから有用な除去、拡散防止法の確立が求められています。そこで私たちは骨に90Srが蓄積する原因でもあるアパタイトという材料に着目して、Srに対して高い選択性を有する新しい吸着材料の開発を行なっています。この研究開発を行うため、機器を整備し基礎実験を進めるために寄附金を活用させていただきました。寄付者の皆様へは、機構内競争的研究資金制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成28年度 萌芽研究開発制度

高エンタルピープラズマ風洞の凍結流を用いた同位体比直接分析法の開発

原子力科学研究所 バックエンド技術部 放射性廃棄物管理第1課
桑原 彬

はじめまして。原子力科学研究所 バックエンド技術部 放射性廃棄物管理第1課の桑原彬です。私は放射性廃棄物の処理処分で必須となる放射性物質の分析に関する研究を行っています。従来の分析では、質量分析装置等の一般的な装置を利用していますが、装置内にサンプルを導入する前に、ラボの設備を用いて緻密な化学分離を行う必要があり、分析に数週間を要することから、迅速な分析法が求められています。私の研究では、航空宇宙分野で利用されている超音速プラズマ風洞と呼ばれるプラズマ装置を、原子力分野の分析に応用した新たな分析法を提案しました。本研究では、この分析法のための装置を一から設計・製作し、基礎実験を実施するために寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には、機構内競争的研究資金制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成27年度 萌芽研究開発制度

土壌中テクネチウム-99分析法の確立と医療用RI製造への応用

核燃料サイクル工学研究所 放射線管理部 環境監視課
藤田 博喜

はじめまして。核燃料サイクル工学研究所 放射線管理部環境監視課の藤田 博喜です。本課題では、土壌中の極低濃度のテクネチウム-99濃度を測定することを目的として、量子科学技術研究開発機構(量子研)の加速器中性子利用RI生成研究プロジェクトのメンバーの協力を得て、燃焼法−レジンによるテクネチウムの分離と誘導結合プラズマ質量分析法による測定とを組み合わせた分析法の確立を目指した研究を行いました。量子研からは分析回収率測定用トレーサーの提供や分析法に関する助言等を受け、当研究所で実験、測定をすることで、本分析方法の確立に向けたデータを取得することができました。今後は、本課題で検討した分析法を様々な種類の土壌に適用し、その問題点等を把握し、本法の改善をして、一般的な分析法として確立したいと考えています。このような定常的な分析法以外の研究に取り組む機会を与えてくださった寄附者の皆様に、大変感謝しております。

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平成27年度 萌芽研究開発制度

チャネリング コヒーレント電離によるAMSの同重体分別法の開発

東濃地科学センター 地層科学研究部 年代測定技術開発グループ
藤田 奈津子

はじめまして。東濃地科学センター 地層科学研究部 年代測定技術開発グループの藤田奈津子です。私は加速器質量分析で必須となる同重体分別に関する研究を行っています。加速器質量分析は地球科学や考古学、宇宙科学など様々な分野に適応することができる分析法ですが、測定したい核種と同じ重さである同重体と呼ばれるものが測定の精度を悪くしてしまうという問題点があります。またその精度を上げるためには大型の加速器が必要となり誰もが簡単に分析をするわけにはいかない現状があります。そこで私たちは比較的小型の加速器でも測定を可能にする同重体分別技術を提案しました。本研究では,この原理実証を行うため、機器を整備し基礎実験を進めるために寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様へは、機構内競争的研究資金制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成26年度 萌芽研究開発制度

スピン流注入による流体運動

先端基礎研究センター スピンーエネルギー変換科学研究グループ
松尾 衛

はじめまして。先端基礎研究センター スピン-エネルギー変換材料科学研究グループの松尾衛です。私は次世代省エネルギー電子技術として注目されているスピントロニクスと呼ばれる分野の研究を行っています。電子は電気と磁気の2つの性質を持っており、従来のエレクトロニクスでは電子のもつ電気の性質だけを利用してきましたが、スピントロニクスでは磁気の性質も同時に駆使します。磁気を使った記憶媒体は放射線に対して耐性があるため、四方から放射線の降り注ぐ人工衛星の中で利用されており、将来的には廃炉作業時に安全に動作するデバイスへの応用が期待されています。こうした磁気デバイス実現に向けた研究として、特に液体金属材料を用いたスピントロニクスという全く新しい分野創出に寄附金を活用させていただきました。寄附者の皆様には大変感謝しております。

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平成26年度 萌芽研究開発制度

作業環境模擬中性子校正場における中性子線量計の応答評価

原子力科学研究所 放射線管理部 放射線計測技術課
西野 翔

はじめまして。原子力科学研究所 放射線管理部放射線計測技術課の西野 翔です。本課題では、作業場における正確な中性子被ばく線量評価を目的として、核燃料サイクル工学研究所の校正施設メンバーとの共同で、作業環境を模擬した中性子場における中性子線量計の応答評価を行いました。両研究所に整備された様々な中性子校正場の測定データを持ち寄ることで、放射線管理上、非常に有益な知見を得ることができました。今後は、本課題で得られた結果をもとに、作業環境模擬中性子校正場における中性子線量計校正法の標準化に向けた議論を進めていきたいと考えています。寄附者の皆様へは、萌芽研究開発制度の枠組みのもと、このような研究の機会を与えてくださったことに、大変感謝しております。

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平成25年度 萌芽研究開発制度

燃料デブリ溶出挙動評価に向けたU-Zr酸化物固溶体の放射線誘起水溶化反応の研究

原子力基礎工学研究センター 放射化学研究グループ
熊谷友多

はじめまして。原子力基礎工学研究センター 放射化学研究グループの熊谷友多です。私は、原子力発電所事故で溶融した核燃料の放射線環境下での化学反応について、模擬溶融物を用いて研究を行いました。核燃料の主成分である二酸化ウランは、放射線環境下では腐食し、水に溶け出します。このような反応が溶融した燃料でも発生する可能性を調べました。その結果、模擬溶融物ではウランの水への溶出量が二酸化ウランに比べて1桁以上少ないことが分かりました。 皆様より頂きました寄附金により、自分自身の着眼点と計画で研究を進めることができたことに大変感謝しております。今後も放射線の関わる様々な課題に柔軟に対応するべく、放射線により生じる複雑な化学反応の研究に取組みたいと思います。

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平成25年度 萌芽研究開発制度

モニタリングポストを用いた核種別線量評価手法の開発

大洗研究開発センター 安全管理部環境監視線量計測課
山田純也

はじめまして。大洗研究開発センター安全管理部環境監視線量計測課の山田純也です。私が原子力機構に採用されて間もなく東日本大震災が起こりました。私の職場も被災し、停電や断水が続く中、昼夜問わず、環境中の放射線のモニタリングの対応に当たりました。対応を通して、インフラや人的資源が限られる状況下において、環境中の放射線に関する情報を収集することの重要性や困難さを実感しました。また、事故直後の福島県における環境放射線モニタリングデータは、必ずしも充実したものとは言えず、緊急時における住民の被ばく線量の評価等について、多くの課題が残りました。 このような課題の解決に役立てるために、現在、モニタリングポストという既存の設備を上手く活用し、簡便でしかも迅速に放射線被ばく線量を評価するための研究開発に取り組んでいます。

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