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■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.97 目次 ----++

現場から ____ 「新しい燃料照射試験を準備中」−安全研究センター

海外事務所便り_ 第53 回IAEA 総会(ウィーン事務所)

広報紙から___ 主立坑・換気立坑、深度400mに到達−地層研ニュース9月号

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「新しい燃料照射試験を準備中」−安全研究センター

高度化軽水炉燃材料研究グループは、平成18年度からスタートした新しい研究グループです。材料試験炉JMTRを用いて新型燃料の出力急昇試験や炉内構造材の照射誘起応力腐食割れ(Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking: IASCC)等の研究を行うため、試験技術の開発、装置の整備、照射試料の準備、予備試験等を実施しています。現在、JMTRは、平成23年度からの再稼働をめざして、原子炉の改修が精力的に実施されています。我々のグループは、JMTRの改修と整備を担当する大洗研究開発センターの照射試験炉センター、並びにIASCC研究を行っている腐食損傷機構研究グループと協力して、試験の準備を進めています。

私は、これまでJMTRとノルウェーのハルデン炉を用いた燃料試験を担当してきた経験を活かして、新しい燃料照射試験の準備に携わっています。この燃料試験では、商用炉で長期間照射された新型燃料を短く加工し、JMTRで出力急昇などの異常過渡条件を模擬した条件で照射して、燃料挙動と破損しきい値を調べます。このため、高燃焼度燃料の加工、照射試験中の燃料棒内圧や温度測定など様々な技術開発が必要となります。これらの技術の背後には、燃料の状態に悪影響を及ぼさずに燃料ペレットに孔を開け、熱電対を取り付けるなど地道な基礎技術が必要です。

私は、燃料照射試験の醍醐味は、計装による測定を行いながら、実際の燃料に何が生じているかを考察することにあると考えています。例えば、私は、これらの技術を用いて、最初の国産商用燃料の再照射試験をJMTRで実施し、燃料の出力を変化させながら、燃料棒の内圧変化を測定しました。そして、燃料棒内圧の変化が単なる燃料の温度変化によるものではなく、出力の変化によってペレット内の応力分布が変化し、放射性ガスがペレット内部から新たに放出されるという仕組みを明らかにしました。

これらの技術をもとに、再稼働後のJMTRにおいても、商用炉燃料、炉内構造材の安全性評価に関して、より有効な成果が達成できるように努めて行きたいと考えております。

(安全研究センター高度化軽水炉燃材料研究グループ 中村仁一)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

第53 回IAEA 総会

IAEAは9 月14 日から18 日までの5日間、ウィーンにある本部で、第53 回総会を開いた。会合では初日に、次期事務局長として正式に承認された天野之弥・前ウィーン代表部大使があいさつ。「世界は核拡散や核テロのリスク拡大、温室効果ガス放出増加への懸念と同時にエネルギー需要の増大などの中にあり、IAEA はこうしたグローバルな課題に対して原子力技術を活用して取り組む能力と責任を有している。こうした貢献は、IAEA が核不拡散と原子力の平和利用をバランスよく推進することができたときに最大限発揮される」と語った。
 http://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC53/Statements/amano140909.pdf

次にエルバラダイ事務局長が、「今や9 カ国が核兵器を保有し、また安全保障に関する考え方次第では、数か月で核兵器製造を可能とする“核兵器保有可能国”が増大しつつある」ことに懸念を表明。燃料供給保証の枠組みについては、「いかなる国も、核燃サイクル開発を含めたNPT で定めた平和利用の権利を放棄しなければならないということではない」ことを示し、原子力導入国が増大しつつある現状において、このような制度が早急に必要であると述べた。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/Statements/2009/ebsp2009n011.html

続いて各国の代表が演説。日本の野田聖子・内閣府特命担当大臣は、「新たなウィーン精神」の共有(Sharing a “New Vienna Spirit”)と題して、我が国がIAEA 保障措置の強化・発展に引続き、貢献していく決意を述べた。
 http://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC53/Statements/japan.pdf

一方、イランの核開発について、ドイツの.Detlef Dauke 経済・技術大臣は「イランは信頼回復の唯一の方法は国際社会との完全なる協力であることを認識すべきである」、フランスのビゴ原子力庁長官は「IAEA は、イランの核プログラムの開発状況を国際社会に報告することによって本来の役割を果たすこととなる」とコメント。また北朝鮮について、韓国のアン・ビョンマン教育科学技術大臣は「北朝鮮の核開発は極めて受け入れがたい挑発であり、北東アジアの平和と安定を脅かし、国際的な核不拡散制度を傷つけるものである。6カ国協議を通じて平和的な解決と、IAEA による北朝鮮への監視・査察の早期再開を確信している」、フランスのビゴ氏は「IAEA 査察官が北朝鮮に復帰することと、北朝鮮の早期、かつ無条件の6 者協議への復帰を要請する」と述べた。

これに対しイランのアリアクバル サレヒ副首相は、「原子力の平和利用及び関連するノウハウは奪うことのできない権利であり、事務局員や専門家による不当な妨害や政治的圧力によってIAEA の独立性が、またIAEA 憲章第7 条違反によって公平な活動が阻害されている」と反論。「世界にはいまだに、独裁かつ尊大さが存在しており、イスラエルが中東の平和に非協力的であり、核開発を進める限りは、イランが査察を受けることは不賛成である」と述べた。

*各国代表の演説はhttp://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC53/Statements/

また総会の関連会合として開かれた科学フォーラムでは、エネルギーや持続的な発展及び貧困の減退の結びつきをテーマに議論。冒頭のあいさつでエルバラダイ事務局長は、「我々はエネルギー問題に関して分散したアプローチをとっている。一方、保健、海運業、民間航空など、ヒューマンライフに関する主な分野については、それぞれ国連組織があり、エネルギーについてもそのような一つの組織が必要である」と述べ、2006 年のセント・ペテルスブルグG8サミットで言及したエネルギー関連事項専門の国際機関の設立を提唱した。
 http://www.iaea.org/NewsCenter/Statements/2009/ebsp2009n012.html

(ウィーン事務所)

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

主立坑・換気立坑、深度400mに到達−地層研ニュース9月号

瑞浪超深地層研究所の主立坑と換気立坑では、深度400mまでの立坑の掘削を完了し、深度400mの主立坑と換気立坑をつなぐ水平な坑道(「深度400m予備ステージ」といいます)の掘削を行っています。(続きはhttp://www.jaea.go.jp/04/tono/miu_news/tisouken_news2109.pdfをご覧ください)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

9月14日〜9月18日、ウィーンで開催された第53回IAEA(国際原子力機関)総会に併設された展示会に、日本原子力産業協会、放射線医学総合研究所、原子力機構の3機関で、ポスターや映像素材により活動を紹介するブースを出展しました。今回、日本の天野之弥氏が次期IAEA事務局長に承認された場において、原子力の導入に関して様々な段階にある各国の代表者と直接交流できたことは、国内の展示会では経験できない有意義なものでした。また、来訪してくださったジンバブエやナイジェリアなどアフリカの多くの方が、重粒子線を利用して病変部分だけに照射するがん治療や、量子ビームを利用した新薬の開発に大変期待と興味を持っていることに驚かされました。発展途上の国々では、まずは医療の向上が、生活の向上に直接つながってくることを実感させられました。

私たち原子力機構は、量子ビーム等を利用した様々な医療への貢献を目指した研究開発にも努力しています。世界に向けて、最もアピールできるもののひとつであり、また、遠く離れた国々の方が大いに期待してくれていることを、とてもうれしく感じました。(広報課 山口美佳)

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

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