━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.7.17 ━━━━━━━━
■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.87 目次 ----++
┃現場から ____________ 「身近な暮らしに利用されている放射線利用」（産学連携推進部）
┃海外事務所便り____ 「スウェーデン原発で多発するトラブルを徹底調査へ」ほか
┃広報紙から _________ 科学の「鼻」と「舌」で、酒の熟成を見極める（「未来へげんき」）
┃プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
┃あとがき
━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃身近な暮らしに利用されている放射線利用－ 産学連携推進部
原子力機構で得られた成果を、社会に広く普及していく産学連携推進部技術移転課は、そんな業務を手がけています。
業務の柱は二つ。一つは再処理やウラン濃縮、ＭＯＸ燃料等の核燃料サイクルのシステム技術を、日本原燃のような民間の事業者へ、技術移転していくことを支援すること。もう一つは研究開発成果を広く、一般の産業界に普及する業務です。
このうち後者の業務については、原子力機構で得られた成果の中で生まれた特許や実用新案を、希望する企業に使っていただき、実用化する共同研究開発を進めています。この制度を、成果展開事業といいます。
今回は、この制度の下で最近、商品化された例を紹介します。
- ①植物の成長を促進する新しい活性剤
- キトサンは、芝生やシクラメンなどの生長を促進し、免疫効果を向上させる効果があります。このキトサンに放射線を照射すると分子が小さくなるため、植物による吸収がとてもしやすくなりました。
- ②生分解性樹脂でできたメガネ用デモレンズ
- メガネフレームの出荷時に使用されるデモレンズは、メガネレンズに交換して販売された後には廃棄物となります。このため、その素材に、これまでのアクリル樹脂ではなく、植物由来の生分解性樹脂を採用。デモレンズに求められる耐熱性と強度を持たせるために放射線を照射しています。
- ③チタンクラッド刃物
- 軽くさびにくい特徴をもつチタン。しかしチタンは、鉄（刃物）など他の金属と張り合わせることが難しい欠点があります。これを原子力機構の特許を使って克服し、チタン系の材料と刃物でできた包丁などを開発しました。
私たちはこのような成果展開事業で実用化された商品や研究開発成果などを、さまざまな展示会に出展して皆様に紹介しています。展示会場で来場者の方々とお話しすると、原子力機構が「原子力エネルギーの開発」を進める組織であることは大部分の方がご存知なのですが、「放射線利用」を進めているということがあまり知られていないことを痛感します。私たちは「これではいけない。これまでも社会に貢献している技術であり、さらに暮らしに幅広く貢献できる可能性を秘めている技術であることを知っていただかなくては」と奮起している次第です。
例えば、放射線照射は、医療器具の滅菌やラジアルタイヤの製造過程などに、すでに広く利用されています。原子力機構が創出した研究成果は、実は身近な商品にもさまざまな形で利用されているのです。
原子力機構がもっている研究開発成果や特許が、もしかして、あなたの望む商品開発に利用できるのではないか。そんな気持ちになられた方はぜひ、「こんな商品開発をしたいのですが」と気軽にご相談ください。問い合わせをお待ちしています。http://sangaku.jaea.go.jp/index.html
（産学連携推進部 技術移転課 中川 林司）
━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
＊当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
┃ワシントン事務所
＜上院歳出委、2010 年度DOE 予算を可決＞
上院歳出委員会は7 月9 日、2010 年度のDOE 予算を274 億ドル(政権要求額：284 億ドル、下院歳出委員会での可決：269 億ドル)とすることを全会一致で可決した。
＜MOXサービス社とTVAが、MOX燃料照射契約に向け交渉を開始＞
国家核安全保障庁(NNSA)は7月14日、Shaw AREVA MOXサービス社(MOXサービス社)とテネシー峡谷開発公社(TVA)が、MOX燃料の照射に関する契約を結ぶための交渉を行うとした書簡に署名したと発表した。
＜エクセロンの新規発電所建設計画が後退＞
エクセロンは7 月1 日、テキサス州ヴィクトリア郡に建設を計画している2 基の原発の建設・運転一括許可（COL)申請を取り下げ、代わりに事前サイト許可(ESP)申請を行う計画であると発表した。
┃パリ事務所
＜スウェーデン原発で多発するトラブルを徹底調査へ＞
スウェーデンのSSM(放射線安全機関)は、同国最大のリンガルス原発で多発したトラブルの徹底調査を行うと発表。同社では2005年から安全上のミスが多発しており、指揮系統や社員の安全意識に問題があるとして、SSMは、同社に対し原子力安全対策を報告するように指示した。
＜スペイン政府、ガローニャ発電所の運転期間を延長＞
スペイン政府は2日、ガローニャ原子力発電所の運転期間を2年間延長し、2013年までとすると発表した。同国では原子力発電所の耐用年数は40年と規定されており、1971年に運転を開始した同発電所は2011年に閉鎖される予定だった。
━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
＊当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。
┃ 科学の「鼻」と「舌」で酒の熟成を見極める－広報部発行「未来へげんき」（平成21年No.13)
＼☆ 特許ストーリー☆／ 高感度ガス分析装置（四重極型質量分析計）
酒を作る職人のリーダーである「杜氏」。全国の酒どころにはそれぞれ杜氏集団がいて、青森県では津軽杜氏がよく知られています。酒の熟成を見極めるには、これまで杜氏の勘と経験に負うところが大きかった。そこで新たに科学的な手法による試みが、東弘電機(株)（青森県弘前市）と原子力エンジニアリング(株)（茨城県東海村）によって進められています。（続きはhttp://www.jaea.go.jp/05/genki/genki13.pdfをご覧下さい）
━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ズグロアメリカムシクイという小鳥がいます。この鳥は、米国東岸を秋に飛び立ち、何と三昼夜余りかけて南米に到着。４千キロを、無着陸で横断する渡り鳥です。
この奇跡の秘密は、軽さにあります。中空構造の骨をもつこの鳥は、体長１３センチ、体重はわずか２０グラム。省エネルギーの典型のようなものでしょう。
もっと不思議なことは、この鳥がバミューダ島を越えた所で方角を変え。急上昇することです。この区域の６３００メートル付近には、南米に向かう卓越風が吹いています。酸素が希薄で、温度が低いこの超高度で吹く卓越風の存在を、この鳥は明らかに知っています。
人間の知恵は、自然がもつ知恵の大きさや広さにはまだまだ遠いようです。けれども、それに少しずつ近づくことはできると思います。(佐)
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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html
【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 
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