■■■   JAEAメールマガジン   ■■■

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011.10.21 / No.196 ━━━

〔現場から〕「農地汚染に伴う除染法の開発と福島県飯舘村でのフィールド試験」(量子ビーム応用研究部門)

〔東日本大震災発生に伴う対応状況〕

〔お知らせ、採用情報、調達情報〕

= 現場から ==========================

“農地汚染に伴う除染法の開発と福島県飯舘村でのフィールド試験”

平成23年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故にともない、原子炉から放出されたセシウム-137は、炉周りおよび周辺地域に深刻な環境汚染をもたらしました。その影響は現在も解決しておらず、エネルギー問題をはじめとした我が国のあり方をも変える大きな社会問題となっています。そこで、汚染したセシウムの環境からの除染、特に農地における土壌や農業用水からの除染は、福島県の農業を復興、風評被害を緩和する上でも大変重要な作業であるといえます。我々アクチノイド錯体化学研究グループでは、農水省の戦略的推進研究において、使用後の減容処理が容易なセシウム選択的な吸着剤として新しいクラウンエーテルの開発に取り組みました。
  これまでのクラウンエーテルとして報告されているものの中には、今回の目的においては分子量が大きかったり、カリウム存在下でのセシウムに対する選択性が小さかったり、なかなか都合のよいものがありませんでした。そこで、ジベンゾ−18−クラウン−6(DB18C6)というカリウムに選択性の高いクラウンを参考にし、その環サイズを広げたDB20C6という新しいクラウンエーテルに狙いを定め、合成法の検討、実験室レベルでの大量合成を実施しました。その結果、この化合物がセシウムに高選択的な吸着特性を示すものであり、結果として大量の水(数百トンレベル)を処理する場合でもほんの少し(数グラム)の量でセシウムの除染が可能である物質であることがわかりました。近くの赤穂湾の海水にセシウムを少量加えて実験した結果はきわめて良好でした。
  今回は、福島県の飯舘村の農業用水2カ所の除染試験を実施しました。これまでの事前調査では、農業用水などでは底土に含まれる粘土鉱物によって吸着され、用水にはほとんどセシウムがないと報告されていました。しかしながら、問題は植物が根からセシウムを取り込むメカニズムです。植物は、土壌に捕捉されているセシウムは取り込まず、水に溶存したセシウムのみを取り込むことが知られています。今回の農水省のプロジェクトでは、ひまわりによるセシウム除染が試みられましたが、その除染効果は期待したほどでは無かったのはそれが理由です。実際水耕栽培でひまわりを育てれば、100%近い除染効果があるといわれていますので、実は濃度が薄いものの、水に溶けているセシウムを取り除くことは植物への濃縮などを考えると重要であるといえます。除染のための装置は、用水など対象水を5段階のプレフィルターに通し、攪拌相において開発したクラウンエーテルDB20C6を接触させるという非常に簡便なものですが、セシウム除染システムとして活用できることを確認することができました。このシステムは、ゼオライトなど高濃度汚染水処理に用いた吸着剤からセシウムを溶離した廃液(カリウムが大量に含まれる可能性あり)に対する処理にも用いることが可能ですので、今後ニーズが高まることなども予想され、さらなる吸着性能の向上など、高度化を進めていきたいと考えています。

(量子ビーム応用研究部門 反応制御・解析研究ユニット 矢板 毅)

= 東日本大震災発生に伴う対応状況 ===============

福島県内の除染モデル実証事業を公募

原子力機構は内閣府の委託事業として、警戒区域や計画的避難区域などに指定されている12市町村での除染モデル実証事業を募集しています。
  http://sangaku.jaea.go.jp/4-information/bid/20111007_001.pdf

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福島第一原子力発電所事故への対応を行っています。

原子力機構は福島第一原子力発電所事故に関して、さまざまな活動を行っています。その全般的な内容については下記をご覧ください。
  http://www.jaea.go.jp/jishin/gaiyou/1020.pdf

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福島支援本部ではニュースを配信しています。

http://www.jaea.go.jp/fukushima/pdf/110930_fnews2.pdf

= お知らせ ==========================

第6回機構報告会を11月24日にニッショーホール(虎ノ門)で開催します。

詳細は、10月24日から機構HP上にてご覧いただけます。

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極端紫外レーザーによる「超蛍光」を初めて観測

理化学研究所と原子力機構、分子研、高輝度光科学研究センターは、極端紫外領域の自由電子レーザーを用いて、通常の蛍光よりも30億倍明るい発光現象「超蛍光」の観測に成功しました。
  http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p11102101/index.html

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水素を大量に貯蔵したアルミニウムの結合様式を放射光で解明

原子力機構と高輝度光科学研究センターは、水素貯蔵材料として注目されているアルミニウム水素化物の放射光分光実験を実施し、水素原子とアルミニウム原子が、共通の電子を介して形成される共有結合で結合していることを明らかにしました。
  http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p11102001/index.html

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当機構の研究開発成果の最新情報です。(10月17日)

http://jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/abstracts/seika/jp/toppage.html

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幌延深地層研究センターは10月27日、幌延フォーラム2011を開催します。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/press/11/press1017-02.html

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幌延深地層研究センターは10月下旬から11月にかけて、幌延町浜里地区で既設ボーリング孔を用いた調査を行います。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/press/11/press1017-01.html

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幌延深地層研究センターでは、施設周辺の水質を調査しています。

http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/suishitsu.html

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青森研究センターの新着情報

http://www.jaea.go.jp/04/aomori/index.htm

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大洗研究開発センターのニュース&トピックス

http://www.jaea.go.jp/04/o-arai/index.html

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週報(10月7日〜14日)

http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p11101401/index.html
  http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2011/10/w111014.html
  http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/repro/week/s111014/weekly.htm
  http://www.jaea.go.jp/04/tono/syuho/231007_231014.pdf

= 採用情報 ==========================

= 調達情報 ==========================

詳細は http://www.jaea.go.jp/02/2_6.shtml をご覧下さい。

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】 http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】 http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】 独立行政法人 日本原子力研究開発機構  広報部   佐田務、岡田学

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