環境モニタリング

原子力施設では、平常運転時においてもごくわずかな放射性物質を放出しています。
　環境モニタリングとは、この放射性物質による周辺住民の線量当量が年線量当量限度よりも十分低くなっていることを確認するために、陸上や海洋の環境監視計画に従って事業所周辺における空間の放射線量を測定したり、環境試料として農畜産物や土壌などの陸上試料、さらに海産生物、海水や海底土などの海洋試料について放射能分析測定・評価を行うことをいいます。

周辺公衆の線量を推定、評価すること。
環境における放射性物質の蓄積状況を把握すること。
原子力施設からの予期せぬ放射性物質の放出による周辺環境への影響の評価に資するとともに、平常時にモニタリングを強化するか否かの判断に資すること。

原子力施設から放出される放射性物質は、気体廃棄物及び液体廃棄物及び固体廃棄物に大別できます。環境モニタリングは、これらについて次の３つに分類し、実施しています。

空間線量モニタリング：気体廃棄物による空間放射線量測定
陸上モニタリング：気体廃棄物による陸上試料の放射能分析
海洋モニタリング：液体廃棄物による海洋試料の放射能分析

環境モニタリングは、その目的により測定頻度が定められています。
第１，第３四半期には短期的変動調査を、第２四半期には短期的変動調査及び長期的変動調査を行っています。
　第４四半期には、第２四半期の調査に加え、年間の線量当量評価結果を報告しています。

測定項目	測定頻度	対象核種
1.　線量当量評価
積算線量(TLD)	年　４　回	空間γ
牛　　　　　乳	年　２　回	⁹⁰Sr,¹³¹I,γ放射体
野　　　　　菜	〃	⁹⁰Sr,¹³¹I,γ放射体
精　　　　　米	年　１　回	⁹⁰Sr,γ放射体
飲　　料　　水	年　２　回	³H
魚　　　　　類	２種年２回	⁹⁰Sr,Pu（一部）,γ放射体
貝　　　　　類	〃	⁹⁰Sr,Pu（一部）,γ放射体
海　　藻　　類	〃	⁹⁰Sr,Pu（一部）,γ放射体
排　　　　　気	連　　　続	主要放出核種
排　　　　　水	連　　　続	主要放出核種
2.　短期的変動調査
空間線量率(ステーション）	連　　　続	空間γ
空間線量率(ポスト）	〃	空間γ
塵　　　　　埃	連続・年４回	Pu,全β,γ放射体
降　　下　　塵	毎　　　月	⁹⁰Sr,γ放射体
雨　　　　　水	降　雨　毎	全β
牛　　　　　乳	年　４　回	¹³¹I
海　　　　　水	〃	³H,【水温,塩素量】
排　　　　　気	連　　　続	放出核種,全β,全α
排　　　　　水	連続・毎月	放出核種,全γ,全β
3.　長期的変動調査
空間線量率(サーベイ)	年　２　回	空間γ
積算線量(TLD)	年　４　回	空間γ
降　　下　　塵	毎　　　月	⁹⁰Sr,γ放射体
土　　　　　壌	年　２　回	γ放射体
河　　底　　土	〃	γ放射体
海　　岸　　砂	〃	γ放射体
河　　川　　水	〃	³H,γ放射体,【水温,塩素量】
湖　　沼　　水	〃	³H,γ放射体,【水温,塩素量】
飲　　料　　水	〃	γ放射体,【水温】
海　　　　　水	〃	⁹⁰Sr,γ放射体
海　　底　　土	〃	⁹⁰Sr,γ放射体,一部Pu
排水口近辺土砂	〃	主要放出核種
漁　　　　　網	〃	β線、γ線

注１.　γ放射体：⁵⁴Mn,⁶⁰Co,⁹⁵Zr,⁹⁵Nb,¹⁰⁶Ru,¹³⁷Cs,¹⁴⁴Ce等
　２.　海底土中のPu測定は、河口及び一部排水口付近の海域のみ。
　３.　Pu：^239,240Pu