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海外の事例調査
調査対象
ベルギー: | モル、デッセル地域のパートナーシップ(MONA、STOLA) |
仏国: | ラ・アーグ再処理工場特別常任情報委員会(CSPI) |
英国: | BNFLセラフィールド地元連絡委員会(SLLC)、他 |
米国: | オークリッジ地域特定諮問委員会(SSAB)、他 |
スウェーデン: | オスカーシャムモデル、他 |
フィンランド: | ポシヴァ社、他 |
調査結果
RCとは利害関係者間でのリスクに関する情報や意見を交換する相互作用的なプロセスですが(図1参照)、欧米では事業者、地域住民、行政が対等の立場で意見交換を行う場が存在しており、RCが有効に行われていました。
地域住民は代表者から成る地域諮問委員会(名称は様々。上記CSPI、SSABなど)を設置し、事業者、行政も参加する会合を開き、利害関係者間の意見交換を行っています(図2参照)。欧米ではこの仕組みが制度化されていました。
地域諮問委員会は、住民に影響を与える事業計画、事業活動に対する住民参加の一形態です。調査した海外事例では、リスクが明確化あるいは顕在化してから、地域諮問委員会を立ち上げ、RCを開始していました。
例えば、RCの論点は以下のようなものです。
- ベルギー(モル、デッセル地区):低放射性廃棄物処分場設置
- 仏国(ラ・アーグ):小児白血病報道
- 英国(BNFL):海洋汚染
- 米国(オークリッジ):環境汚染
- スウェーデン、フィンランド:高レベル放射性廃棄物処分場立地
地域諮問委員会の会合は、直面しているリスクについて、双方向のコミュニケーションを通して、利害関係者が相互に理解し、より良い解決策を見出すための協働プロセスと言えます。以下に地域諮問委員会の特徴をまとめます。
地域諮問委員会について
- 地域諮問委員会は企業や組織によって設立され、地域の有力者および論点となっている事業に関する決定の影響を被ると考えている有権者を代表する様々な地域グループの代表によって構成されている。
- 地域諮問委員会委員には、地域諮問委員会への参加に同意した反対団体の代表者も含まれている。
- 地域諮問委員会の目的は、地域住民がその企業・組織の意思決定プロセスに関する要望・懸念を表明し、議論するためのパブリック・フォーラムを開催することである。
- 地域諮問委員会は地域との対話に関する有効な組織的手法になることが期待できる。
- 地域諮問委員会が存在すると、その企業・組織の決定の受容性と正当性が向上する。
- 地域諮問委員会は信頼の向上と意思決定の円滑化という貴重な役割を果たすようになる。
- 地域諮問委員会は事業者に助言、提言、勧告を行うが、事業の最終的な意思決定権は持たない。
- 地域諮問委員会の運営のポイント
- 地域の多様性を反映したメンバー構成
- 利害関係者全員の熱心な関与
- 早期からの率直なコミュニケーション
- 信頼関係の構築
- 達成可能な目標の設定