国際フォーラムの話題から(5)

平成11年9月8日
 原子力発電の燃料に使われているウランは、地球が誕生した時からある物質の一つといわれ、私たちの身の回りの岩石や土砂、海水などの中にも存在しています。
 この天然のウランには、燃えて(核分裂して)エネルギーを出す成分がわずかに0.7%しか含まれていません。今の原子力発電所(軽水炉)では、これを3〜5%に濃縮して燃料に使っています。つまり、今の原子力発電ではウランのほんの一部しか利用していないのです。
 しかし、残りの99.3%を占めている燃えないウランも、中性子を吸収するとプルトニウムという燃える物質に変化します。原子炉の中で、燃えないウランをプルトニウムに変えながら発電すれば、今まで使っていなかった部分まで燃料として有効に利用することができるわけです。
 これを実現するのが、高速増殖炉です。発電しながら、燃料として燃やした以上のプルトニウムを作り出し、今のままではあと約70年といわれるウラン資源の利用年数を、数千年にまでのばすことができるのです。これが、高速増殖炉の最大のメリットといえるものです。




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