平成16年4月28日

 私たち人類の直接の祖先であるホモ・サピエンスが出現したのは、15万年ほど前といわれます。気が遠くなるような長い年月ですが、実は、高レベル放射性廃棄物の放射能が天然ウランのレベルに下がるまでにも、数万年程度の年月がかかります。
 しかし、「もんじゅ」のような高速増殖炉を活用すると、これを数百年に短縮することが可能です。高レベル放射性廃棄物に含まれている寿命の長い放射性物質を、高速増殖炉で燃料と一緒に燃やせば、寿命の短い放射性物質に変えることができるのです。これは、廃棄物の量を減らすことにもつながります。
 日本では、原子力発電所(軽水炉)の使用済燃料から、再利用できるウランとプルトニウムを回収し、残りを高レベル放射性廃棄物として処分する計画です。もちろん、その影響をしっかりと封じ込める地下深くへの処分が計画されていますが、放射性物質の寿命を短くし、廃棄物自体の量も減らせれば、環境への負荷が大きく低減するのです。
 将来のためにエネルギー資源として活用できるものは、できるだけ再利用し、後々の環境への負荷を低減する。これが理想的なリサイクルの姿であり、「もんじゅ」はその研究開発の中核施設として期待されています。
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