福井県若狭地方の特産品である「へしこ」。サバやイワシなどを塩漬けにし、さらに米糠で漬け込んだ保存食です。「へしこ」の名は、塩漬けの魚から浮き出る塩汁をさす「ひしお(干潮)」という言葉が変化したとも、押しつけて入れ込むという意味の言葉「ひしこむ」が変化したともいわれています。 この「ひしこむ」は漢字では「圧し込む」と書きますが、「へしこ」の製造では圧力と温度がカギになります。そこで敦賀市にある食品会社では、圧力制御と温度管理をして効率よく発酵・成熟させる技術を開発しています。これによって、普通は1年程度かかる熟成期間を大幅に短縮することができるのです。 |
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実は、この開発には私たち「サイクル機構」の特許が活用されました。「サイクル機構」では、原子力関連の研究開発で取得した約1500件の特許を公開し提供するとともに、開発費の一部を負担して、新製品の開発に役立てていただく成果展開事業を、平成10年度から実施しています。これまでに全国で33件(福井県では9件)の契約が成立しています。 「へしこ」のように、特許という素材を熟成させて新たな製品をつくり出す−。そんな未来へ向けた地域産業の取り組みに、これからも貢献できるよう努めてまいります。 |
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