放射性廃棄物の放射能を弱める研究に役立てます
平成15年6月25日

 「もんじゅ」などの高速増殖炉は、その名前の通り、スピードが速い”高速”中性子を使って、燃料を”増殖”させることができる原子炉です。「もんじゅ」の三つ目の役割は、この高速中性子を応用して、放射線の寿命を短くする技術を実証することです。
 エネルギー資源に乏しい日本では、貴重な原子力発電の使用済燃料をリサイクルすることを基本方針にしています。そのために再処理工場で燃え残りのウランやプルトニウムを回収すると、あとには放射能レベルの高い放射性廃棄物が残ります。この中には、数万年にわたって放射線を出し続ける寿命の長い放射性物質も含まれています。
 ところが、これらも「もんじゅ」の原子炉へ燃料と一緒に入れて高速中性子を当てると、数百年レベルの寿命が短い物質に変化させることができます。いわば、何万年も力が衰えない”暴れん坊の物質”が、数百年で力が弱まる”おとなしめの物質”に変化するのです。
 日本では高レベル放射性廃棄物を「ガラス固化体」にして、深い地層に処分する計画ですが、あらかじめ放射能の寿命が短い物質に変えておけば、管理がよりしやすくなるわけです。

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