敦賀本部トップ > 「もんじゅ」に関する質問コーナー


「もんじゅ」の質問コーナーは、皆様からのご質問などにお答えするコーナーです。

新聞などに掲載した広告をご覧いただくにはこちらから
1.「ナトリウム」について
2.「プルトニウム」について
3.「怖い核の暴走」について
4.「地震に弱い」について
5.「無駄。維持費」について
6.十年で新たに拡大した不安《負の出来事》

1.「ナトリウム」について
 「高速増殖炉のナトリウム火災は、「もんじゅ」よりずっと前にフランスなどで起きており、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど高速増殖炉開発先進国は開発から撤退しています。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 高速増殖炉はウラン資源を有効に使い切ることが出来る原子炉であり、フランス(電気出力25万kWの原型炉フェニックスを運転中、2020年に次世代原型炉を運転する計画)、ロシア(電気出力60万kWの原型炉BN600を運転中、電気出力80万kWのBN800を建設中)、インド(電気出力1.3万kWの実験炉FBTRを運転中、電気出力50万kWの原型炉PFBRを建設中)などのように、現在、世界においても高速増殖炉の建設・運転は行われており、精力的に研究開発に取り組んでいます。
 米国も原子力発電について、地球温暖化等の環境問題に対する優位性を認めており、将来の再処理計画を発表するとともに、「第四世代原子力システムの研究開発に関する国際フォーラム」において高速炉開発に積極的に取り組んでいることは周知の事実です。
 更に、近年、中国は高速増殖炉開発に精力的に取り組んでおり、北京郊外に2万kWの発電能力を持つ高速実験炉を建設中であり、2008年には運転開始の予定です。
 このように、世界各国において高速増殖炉の建設・運転は行われており、「ナトリウム」を原因にした事故・故障により高速増殖炉の開発から撤退しているとの事実はありません。

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2.「プルトニウム」について
 「燃やすのも、増えるものも、猛毒、 炉心のプルトニウムが1パーセント放出された場合、・・・深刻な急性障害か、急性死亡にいたるといわれています。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 プルトニウムについては、現在世界中でウラン燃料を使用して運転している原子炉でも生成されています。欧州ではフランスで運転している58基の軽水炉の約半分の28基でプルトニウムとウランを混ぜた燃料を使用し、ベルギーやスイスやドイツでも軽水炉にプルトニウムを混ぜた燃料を、1960年代から試験的な使用を始めました。80年代からは本格的に欧州各国で使用し、これまでに世界で約5000体の利用実績があります。米国も軽水炉からの使用済燃料を再処理して、生成したプルトニウムを利用する計画を検討し、試験的に原子炉に装荷して運転しています。
 プルトニウムは化学的特性として重金属の特性をもち、放射線の特性としては、アルファ線を出します。プルトニウムは、これら危険な一面を有する物質であること及び核兵器の材料にも転用されることから、この管理は厳重に取扱わなければなりません。ですから、原子炉内のプルトニウムのみならず核燃料物質や放射性物質が原子炉から放出され、環境に影響を与えることがないように多重の防護システムにより万全を期しています。
 広告記事では炉心の1パーセントが放出された場合との指摘ですが、「人は誤り、機械は故障する」としても5重の壁を設けて、事故や故障が発生した場合でも閉じ込めるように設計してあり、指摘にあるような1パーセントものプルトニウムが放出される可能性は無視出きるほどに極めて低くなっています。

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3.「怖い核の暴走」について
 「「もんじゅ」の炉心には1.2トンものプルトニウムが燃料として、・・・制御不能の核暴走・核爆発にいたる炉心崩壊事故を、世界中が恐れています。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 「もんじゅ」の炉心には約1.4トンのプルトニウムを含む燃料が装荷されています。「もんじゅ」には原子炉の出力の調整や出力の上昇時にブレーキをかけるものとして、少し専門的になりますが、3種類の制御棒を合計19本用意し、2系統の原子炉停止系(主炉停止系及び後備炉停止系)を構成しています。制御棒は運転中には炉心の中心から上部の方に引き抜かれています。それぞれの制御棒はグループに分けられ独立した電源で動きますが、万が一、電源がなくなったときは、制御棒の自らの重さで落下して、原子炉内に制御棒が挿入され、原子炉の核反応を停止する仕組みになっています。
 それでも、更に、外部からの電源が喪失し、3系統ある冷却系のポンプが同時に停止してしまう状況で、制御棒が働かないという技術的には起こるとは考えられないような場合を想定しても、ナトリウムが一部原子炉容器を囲む格納容器内に出て燃焼することになりますが、原子炉容器に一部歪みが生ずるが壊れることはなく、格納容器が健全であることを確認しています。
 フランス、ロシアの現地でも、炉心崩壊事故を恐れているとの住民の話は聞いたことがありません。もちろん、米国やその他の国で過去に開発を行い、現在は中断している国でも、炉心崩壊事故を恐れて開発を中止した国は有りません。

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4.「地震に弱い」について
 「配管は直径に比べて厚さが薄く、熱には強いが、外部からの衝撃には弱い構造です。地震が怖い。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 地震を始めさまざまな状況や「もんじゅ」の色々な運転状態において配管が受ける温度変化、圧力変化に対しても、配管を始めとする原子炉の冷却系等が健全にその機能を果たすことを種々の実験等により確認しています。
 軽水炉(PWR)では冷却材に水を利用していることから、高い温度(約325℃)で運転するために高い圧力(約157kg/cm2)をかけて沸騰を抑えていますが、それに比べて、「もんじゅ」では冷却材にナトリウム(沸点;約880℃)を使用することから、圧力をかける必要もなく(低い圧力;約8kg/cm2)、より高い温度(約500℃)を得ることが出来ます。従って、高温ですが、低圧で使用する配管であり、軽水炉の厚肉構造に比べて、薄肉構造になっています。「もんじゅ」に使用される機器や配管は地震時の力やナトリウムの冷却材の急激な温度の変化に対しても機器や配管が健全であるように設計しています。

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5.「無駄。維持費」について
 「事故以前に九千億円、・・・一兆円を越える税金の無駄使いは必至です。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 高速増殖炉は、ウラン資源の利用効率を格段に高めることができ、かつ発生エネルギーあたりの環境負荷を大幅に削減することができるものです。
 この高速増殖炉の実用化に向け、「もんじゅ」の研究開発の成果は、長期的にわが国のみならず世界のエネルギーの安定確保にかけがえのない価値を生み、将来の高速増殖炉の実現に反映されるものであり、「もんじゅ」の研究開発に用いた費用は決して無駄使いにはなりません。
 「もんじゅ」の建設、試運転、維持、改造工事等に要した費用は21年度までの累計で約 9,000億円です。私たちは国民の皆様方から貴重な税金を使用していることを肝に銘じて研究開発に臨んでいます。

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6.十年で新たに拡大した不安《負の出来事》
 「高温のナトリウムや水が流され続けられています。
 配管や装置や設備の内面が腐食されて、・・・・
 世界中で、十年もの間止まっていた原子炉を再び動かせる、なんて事を行った例はありません。」と聞きましたが本当ですか?

私たちの見解
 「もんじゅ」では、ナトリウムの純度管理や温度管理等の面から、3ループあるナトリウム冷却系のうち、現在1ループの冷却系統において約200℃のナトリウムの循環運転を行っています。また、水蒸気系統では、窒素又は乾燥空気で内部の雰囲気を維持しており、高温の水を流しているとの事実はありません。
 ナトリウムは、配管に使用しているステンレス鋼に対して、水に比べて腐食が極めて少ないことが知られています。「もんじゅ」のナトリウム中の酸素濃度では、腐食速度は年間に0.13μm(100、000分の1.3センチ)以下となることから、無視できる程度です。
 また、長期間にわたり原子炉が停止していた例としては、米国では以下のような発電所の例があります。
   ブラウンズフェリー1号機(BWR,電気出力109万8,000KW)22年2ヶ月の予定
   ブラウンズフェリー3号機(BWR,電気出力115万5,000KW)10年8ヶ月
   ブラウンズフェリー2号機(BWR,電気出力115万5,000KW)6年8ヶ月
 一方、国内でよく知られているものとしては、原子力船「むつ」の長期停止の例があります。昭和49年9月の放射線漏れによる運転停止から、平成2年4月の出力上昇試験開始まで15年7ヶ月間運転停止していました。その後出力上昇試験を実施し、平成2年7月には、国内では最初の原子力船として運行を達成し、平成2年10月に100パーセント出力を達成したことは記憶に新しいところです。

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