(別紙)

1. タイトル:UNDERGROUND RESEARCH LABORATORIES IN JAPAN
  - WHAT ARE THE IMPORTANT FACTORS FOR FACILITIES DESIGN -
  (和名:日本における深地層の研究施設 -施設設計において重要な要因-)

2. 計画概要及び現状報告

 核燃料サイクル開発機構では、岐阜県瑞浪市と北海道幌延町において、深地層の研究施設の建設をともなう研究開発のプロジェクトを進めています。本プロジェクトは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の一環として実施しているものであり、深部地質環境の調査解析評価技術および深地層における工学技術の基盤の整備を目的としています。平成15年7月には、瑞浪では立坑(垂直方向の坑道)坑口の工事を、幌延では敷地の造成工事を開始しました。
 本プロジェクトは、第2次取りまとめ(3)で示した地層処分の技術的信頼性を実際の深部地質環境(結晶質岩系(瑞浪)および堆積岩系(幌延))において確認することを目的としており、地層処分において想定される深度や、地層の力学的な特性による施工性や坑道維持の観点などを考慮して、瑞浪では深度1,000m、幌延では深度500m程度の坑道を掘削する予定です。

瑞浪超深地層研究所レイアウト案

3 平成11年に当機構が発表した報告書「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性 -地層処分研究開発第2次取りまとめ-」

3. 検討内容

 核燃料サイクル開発機構が計画する深地層の研究施設は、世界にも例を見ない深度を誇る施設であり、設計段階において重要な検討事項が2つあります。
 1つは、安全性の確保を目的とする「力学的な安定性」の検討であり、もう1つは坑道内に滞在する作業員および研究員に必要な通気量を確保するよう換気システムを設計すること、さらに火災が発生した場合の避難路と避難時間の確保について検討する、「通気に関する検討」です。
 これらの検討結果を基に、安全性と経済性を考慮した検討を行いました。
 詳細な検討内容は下記のとおりです。

力学的安定性解析について

 本施設の最大の特徴である「深度」および「立坑と水平坑道の連接部分などの特殊な部分の存在」を考慮し、瑞浪超深地層研究所の坑底付近の立坑と水平坑道の連接部について数値解析を行いました。
 立坑と水平坑道が接続される部分においては複雑な力のかかり方をすることから、3次元的な影響を評価するため、3次元の有限要素法と呼ばれる解析を実施しました。
 解析の結果、連接部や坑道の角において力が集中していますが、その範囲は限定されることがわかりました。また、3次元の有限要素法を用いた解析の結果を基に、接続部における力が立坑の一般部へ与える影響の程度について検討し、一般部の「坑道を支える部材が耐えられる力」を下回ることを確認しました。

3次元の有限要素法を用いた解析の結果の一例:
青、赤の部分に圧縮や引張の力が集中している。

通気解析について

 一般的に、地下は深ければ深いほどその温度は高くなります。地下深部に達する本施設は、より高温になることから、坑道内に滞在する作業員および研究員の環境を確保するため、通常の施設にも増して通気によりその温度を低下させる必要があります。坑道の総延長が長い地下施設のどこにおいても十分な通気を確保すること、万が一火災が発生した場合に、避難路と避難時間を確保することが必要になります。このために通気に関する解析を実施しました。
 この検討には、既存の鉱山において適用実績の多い通気網解析という手法を用いて解析を行いました。解析の結果、通常時の通気及び火災時の煙の移動状況が把握されました。
 この解析結果に基づき、瑞浪では避難所の位置や仕様を検討し、各水平坑道に避難所を設置するレイアウトとするとともに、換気設備や消火設備を設置することとしました。火災の煙が移動する方向や速度を考慮し、どこにいる入坑者でも安全に退避できるように避難所を配置することにしました。また、その広さは各坑道における入坑者の人数を想定して決めました。
 幌延においては、可燃性のガスが湧出してくることが想定されるため、どこで火災が発生しても通気を制御することにより、どこにいる人でも地上まで避難できるようにすることを基本コンセプトとし、防災対策を検討した結果、入気立坑2本、排気立坑1本の3本の立坑が必要と判断しました。

幌延深地層研究所地下施設レイアウト案

以 上