第6回超深地層研究所跡利用検討委員会議事録

第6回超深地層研究所跡利用検討委員会
議事録

超深地層研究所跡利用
検討委員会事務局

日　時：	平成18年8月1日（火）14:45～17:00（研究所視察を含む）
場　所：	瑞浪市産業振興センター
出席者：	委員長	河村　三郎	（岐阜大学名誉教授）
	副委員長	髙嶋　芳男	（瑞浪市長）
	副委員長	岡﨑　俊雄	（原子力機構副理事長）
	委　　員	曽根　修	（土岐市理事兼企画部長）
	委　　員	工藤　輝夫	（瑞浪市企画部長）
	委　　員	泉　碩也	（瑞浪市議会議長）
	委　　員	土本　紳悟	（土岐市議会研究学園都市対策特別委員会委員長）
	委　　員	小木曽　孝行	（平成18年度瑞浪市連合区長会会長）
	委　　員	五十嵐貴久子	（平成18年度瑞浪市地域女性の会会長）
	委　　員	加藤　良夫	（土岐市連合自治会連絡協議会会長）
	委　　員	加藤　寛治	（瑞浪市明世町）
	委　　員	松原　正人	（瑞浪市明世町）
	委　　員	日比野　安平	（岐阜県先端科学技術体験センター館長）
	委　　員	吉野　恭司	（資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室長）
	委　　員	三代　真彰	（原子力機構理事）
	委　　員	大澤　正秀	（原子力機構東濃地科学センター所長）
	（欠席；猿渡要司副委員長（岐阜県環境生活部長）、石黒雄教委員（岐阜県東濃振興局長））
	事務局：原子力機構
	自治体関係：岐阜県、瑞浪市、土岐市
	傍聴者：4名
	報道関係：5社

議　題

（１）超深地層研究所計画の状況について
（２）瑞浪超深地層研究所の施設活用について
（３）その他

配布資料：

・第6回超深地層研究所跡利用検討委員会次第
・超深地層研究所跡利用検討委員会名簿
・〔資料－1〕超深地層研究所計画の状況について
・〔資料－2〕瑞浪超深地層研究所の施設活用について(PDF)
・瑞浪超深地層研究所の現状（スライド資料－1）(PDF)
・瑞浪超深地層研究所の施設活用について（案）（スライド資料－2）(PDF)

１．開会

・	事務局より出席者の紹介

２．挨拶
（１）河村委員長の挨拶

	ご多忙中のところ、本委員会にご出席いただき、感謝申し上げる。
	昨年までの第4回、5回の跡利用検討委員会では、深度100m毎に設置される予備ステージを活用した体験学習の場としての活用方策を検討いただいた。
	今回の委員会では、原子力機構から研究所計画の状況報告と併せて、当面の研究所施設の活用方策、体験学習の場としての活用について説明いただき、活発な議論を進めていきたいと考えている。委員各位のご協力をお願いする。

（２）原子力機構（岡﨑副理事長）の挨拶

	お忙しい中、超深地層研究所の跡利用検討委員会にご出席いただき、感謝申し上げる。
	私自身、10年前に基本協定に参加し、そして今、この場に参加できたこと、また、これまでの瑞浪市を始めとする関係各位のご尽力やご理解、ご支援に感謝申し上げる。原子力機構は、10月に独立行政法人として発足した。直面する課題は多く、厳しいが、環境問題、エネルギー問題から核燃料サイクルの確立に期待が高まっており、高レベル放射性廃棄物の処分を含めた核燃料サイクルに力を入れている。
	瑞浪で進めている研究は重要な研究であるとの認識のもと、皆様方とのお約束は原子力機構においても適切に引き継がれており、これを遵守しながら、この地域での研究活動を更に発展したいと考えている。
	平成15年から掘削を開始した超深地層研究所も、現在、立坑は180ｍ程度までの掘削が進んでいるところであり、後ほど現場のご視察を賜りたい。
	昨年秋に、湧水の環境対策について皆様にご心配をお掛けしたことをお詫び申し上げたい。新たな協定に基づき、万全の環境対策を進めながら、この研究を進めて参りたい。
	跡利用検討委員会は、研究終了後の跡利用について策定していくものであるが、跡利用に限らず、これからの研究の推進についても幅広いご意見をいただき、開かれた研究所としての運営に心掛けたい。
	前回の委員会で跡利用につながるような施設活用方策について、特に体験学習の場としての施設活用方策についての具体的なご提案をいただいた。今回の委員会では、その取り組み状況をご報告申し上げることとしており、委員の皆様から忌憚のないご意見を賜りたい。

（３）事務局による議事の紹介及び資料確認

３．議題における主な質疑

（１）超深地層研究所計画の状況について
　瑞浪超深地層研究所の現状について、事務局より資料に基づいて説明。主な質疑・コメントは以下の通り。

（河村委員長）
	排水を停止して、坑道内に水がたまった際に、どの程度の深さまで水位が上がったのか。

（事務局）
	排水を止めた時点では主立坑の掘削深度が172m、換気立坑では191mまで掘削が進んでいた。最も水位が上昇した時点で地表から47mの深さまで上昇した。その深さで落ち着き、変化がなくなった。

（日比野委員）
	地下水のpHはどの程度か。

（事務局）
	アルカリ性である。

（日比野委員）
	鉱山も100何mかあり、アルカリ性と聞いた。花崗岩でふっ素、ほう素が出たということで確認させていただいた。

（河村委員長）
	水質については、安全委員会で議論したと思うが、表などで参考値というのが出てくる。管理目標値というのはわかるが、参考値という表記は分かりづらいのではないか。

（事務局）
	現在、インターネットで水質に関する情報を発信している。ホームページで公開している「基準書」の最後のところに、参考値の取扱いについて書いているが分かりづらいかもしれない。処理をする前の地下水の分析結果の目安の値という意味で参考値としている。

（河村委員長）
	その背景を、毎回、注意のところに書いてもらえるとわかりやすい。

（事務局）
	毎月、インターネット以外に「地層研ニュース」を配布しているが、その中でもご理解いただけるように工夫していきたい。

（大澤委員）
	日比野委員からのpHの件だが、「地層研ニュース」の裏に記載があり、pHは9.4となっている。

（２）瑞浪超深地層研究所の施設活用について
　深度100mの予備ステージの活用方策の実施状況、地上施設における活動状況、今後の進め方について、事務局より資料に基づき説明。主な質疑・意見は以下の通り。

（河村委員長）
	立坑壁面表示システムをエレベーターに取り付けて、見ながら降りていけるようにすると興味深い。簡易なシステム、ポータブルのようなものがあるとよい。

（事務局）
	先ほどのように坑内はコンクリートの壁になっている。技術的にできれば面白いが、今後はどのように見せていくかを検討したい。

（河村委員長）
	壁面が汚れると区別ができなくなる。追々考えて欲しい。

（事務局)
	実現できるよう努力したい。

（小木曽委員）

　現在施工中という状況の中で色々と見せるのは良い計画と思う。一方、聞きたいのは、前段の委員会では、研究終了後は立坑を埋め戻すと聞いた。埋め戻すということと、跡利用ということがつながらないのではないか。
　1,000mの施設となると、出水の問題や、1000mのエレベーターや1000m級の揚水、上がってきた水の処理などを考えなければならない問題が出てくる。これをすべて解決するには、それなりのランニングコストがかかる。施設を維持するためのランニングコストをどうするのか。それとその管理体制をどうとっていくのか、これによって跡利用の見方が相当変わってくる。将来的にバランスのとれた施設を残せるのか。そのためには、完成した構造物を残すことによって、もっと学術的な研究開発が入ってくる可能性があるのか。そのようなことも、今後、検討する必要がある。

（大澤委員）

　委員の立場というより、東濃地科学センターの所長としてお答えさせていただきたい。
　埋め戻しと跡利用の関係についてお答えする。瑞浪市様から研究所用地を借りており、20年の賃貸借契約でお借りしている。契約の中で借りる条件として、現状に復帰して返すことが原則となっている。ただし、瑞浪市様がご希望される場合は、それに真摯に対応していく。そのために跡利用の可能性として、様々な方策を考えていくというのがこの委員会の目的である。そのような条件のなかで、この委員会では、本格的な跡利用は10年以上も先であり、当面は現在の活用方策を検討し、時期をみて跡利用を検討するとのご結論をいただき、現在、一つの方策として、学習の場として活用することの検討を進めている。今回の委員会では、前回の委員会の議論に対してどこまで実現できたかということを報告させていただいた次第である。
　将来のランニングコストの件については、それ相当にかかると思われる。従って、それに見合うだけの収入がないと、存続は難しいということは言える。ただし、湧水に対しても止水対策等の対策を講じていくが、最終的に出来上がってみないとランニングコストは確定できないのでその時点でどのようにするのかについて考える必要がある。先走りかもしれないが、ランニングコストは深さによっても異なってくる。どのレベルまで活用するのかということまで含めて、選択肢はあると思う。将来の研究所の状態を見て、どの程度のランニングコストがかかり、どの程度のランニングコストであれば、瑞浪市様が跡利用をご希望されるのかということもはっきりしてくると思う。長期的な話については、現状をご報告させていただきながら、ご議論いただければよろしいかと考える。

（髙嶋副委員長）

　瑞浪市としての立場として少しお話したい。
　立坑の掘削の後、大変な費用をかけて掘削した後、放射性廃棄物を埋める計画ではないかとの懸念があったことは確かである。その中で、放射性廃棄物を埋めたり、持ち込んだりすることはないという協定を結ぶ中で、また、研究所の土地は瑞浪市の土地であり、その中で、私どもが不審と思うようなことがあった場合は、直ちに研究所を立ち退いてもらうという条件のもとで研究していただいている。
　1,000m掘削したらそれを埋めてしまうのはもったいない、当然、学術的に研究するという対象になるのではないか、梶原前知事からはエレベーターを活用して立坑を見学したらどうかとかいろいろ話があった。その中で、跡利用ということを皆で良い知恵がないかということで跡利用検討委員会が河村先生を委員長として発足した。瑞浪市の立場としては、研究が終了した後、瑞浪市に返すという話があっても、きちっと安全が確保されることが条件であり、これを維持するために大変な維持費用がかかるということであれば、やはり埋め戻したほうがよいという話がでるのも当然予想されることである。いろいろな問題を含めて検討していただき、原則的には、研究が終了したら、埋め戻すことが基本的な理念であることは間違いない。

（河村委員長）
	国の方針も関係するが、国として貴重な財産である。ランニングコストが完成後にどうなるのか。全部にコンクリートを巻いてしまえば、地下水もそれほど出ないと思うが、まだ、どの程度水が出るのか分からないため、費用も見えない。

（小木曽委員）
	最終的な跡利用とこれまでやってきたことをどう連携させるか、先の展開を有る程度考えた中で進めていく必要があるということを考えた。

４．閉会の挨拶

（河村委員長）
	最後に副委員長の髙嶋市長より挨拶をお願いする。

（髙嶋副委員長）

　委員の中には、安全確認委員会の委員を兼ねている方もあり、跡利用検討委員会に引き続き出席していただき感謝申し上げる。
　長期にわたる事業であり、立坑1,000mは世界でも例を見ない施設であるが、利用方法はないものかと考えるのは当然のことと思っている。跡利用として、どこが管理者として管理していくのかまだ定まっていないのが実情である。すべて事業が完成した後の跡利用という方法もあろうが、未知なことであり掘ってみないと分からないところもあるであろう。そういうことを踏まえて皆様にご検討いただくのが主旨だと考えている。この施設が、研究が終わった後でも有益な施設として活用できればそれにこしたことはない。今後もご意見を拝聴したいと考えている。
　本日は長時間にわたりご参加いただき感謝申し上げる。

５．その他
　委員会終了後、瑞浪超深地層研究所を視察

以上