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超深地層研究所計画

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地下水流動の調査研究

第1段階の調査研究では、地上から掘削したボーリング孔を利用して地下水の間隙水圧や地下水位を観測し、地表から地下深部までの地下水の水圧分布を把握するとともに、 岩盤と比較して透水性が異なる断層などの水理地質構造と地下水圧分布との関連性などについて検討しました。 また、地質学的調査に基づき構築された地質構造モデルに、 ボーリング孔を利用して実施した水理試験で得られた水理特性を当てはめることで水理地質構造モデル(図1)を構築し、さらにそれを用いた地下水流動解析を実施することで、 研究坑道建設前の研究所用地周辺における三次元的な地下水流動場を推定しました。

水理地質構造モデル
図1 地上からの調査に基づき構築した水理地質構造モデル

第2段階の調査研究では、地上から掘削したボーリング孔と研究坑道から掘削したボーリング孔に水圧モニタリング装置を設置して、 研究坑道建設が地下水位や地下水圧に 与える影響を把握するための長期観測などを実施しました。また、研究坑道建設に伴う地下水圧や研究坑道への湧水量の観測データを用いた地下水流動解析を実施し、 第1段階で構築した水理地質構造モデルの妥当性確認及び更新を実施しました。

第3段階の調査研究では、研究坑道の拡張・閉鎖に伴う地下水流動場の変化を把握するため、地上および研究坑道から掘削したボーリング孔での地下水水圧観測などの長期観測を実施しました。 また、研究坑道から掘削したボーリング孔での水理調査(流体検層や水理試験など)を実施し、坑道周辺における透水性割れ目の分布やその水理特性を詳細に把握するとともに、 ボーリング孔内に設置した観測機器などにより間隙水圧などの長期観測などを行いました。さらに、第3段階で取得した調査データに基づき、水理地質構造モデルの更新を実施しています。以上のような研究開発の過程で、地上や坑道で利用する調査解析技術として観測装置や解析方法の開発を行いました。

地下水圧変化の一例
図2 地上からのボーリング孔で観測した地震に伴う地下水圧変化の一例

これまでの調査研究により、研究所周辺の地下水流動場について以下のことが明らかになっています。

  1. 瑞浪層群中の明世/本郷累層と土岐夾炭累層の境界付近には低透水性の泥岩層が連続的に分布し、地表付近と地下深部の地下水流動を区分する水理境界が存在している。
  2. 主立坑沿いに分布する断層(主立坑断層)は、低透水性を有しており、研究所周辺の地下水流動場を北東側と南西側に大きく区分する水理地質構造である。 また、研究所周辺には主立坑断層以外にも低透水性の水理地質構造がいくつか分布しており、これらの構造によって囲まれた領域(コンパートメント領域)が形成されている(図3)。
  3. 研究坑道掘削時においては、覆工コンクリートやグラウチングなどに起因するスキン効果の影響で、坑道壁面から数mの範囲で動水勾配が急激に変化している。
  4. 研究所周辺では、研究坑道掘削に伴う地下水圧の低下により深度500m付近まで浅部の地下水が浸透するとともに、それ以深では地下深部の地下水が立坑切羽(深度500m)に向かって上昇している(図3)。
  5. 坑道閉鎖後の地下水の水圧は、比較的短時間で回復、安定する。
研究坑道掘削による地下水流動変化の再現解析結果
図3 研究坑道掘削による地下水流動変化の再現解析結果

以上のような研究開発の過程で、地上や坑道で利用する調査解析技術として観測装置や解析方法の開発を行いました。

上記に関わる公開資料については、成果リストをご参照下さい。