瑞浪超深地層研究所の平成14年度事業計画

平成14年4月12日
核燃料サイクル開発機構
東濃地科学センター
 
 瑞浪超深地層研究所については、平成14年1月の瑞浪市有地に関する土地賃貸借契約の締結後、1月末より構内の整備を開始しました。研究については、浅層ボーリング調査や物理探査の準備などを行いました。施設については、構内の測量や土質調査を行い、敷地造成に関する検討などを行うとともに、研究坑道や地上施設の検討を行いました。
 なお、平成14年4月より超深地層研究所のうち、瑞浪市有地に設置する研究所を瑞浪超深地層研究所と呼称します。

 平成14年度については、平成13年度に引き続き、地上物理探査等と、浅層ボーリング調査(4孔)を行います。また、深層ボーリング調査(1孔)などを開始します。なお、地上物理探査等は、瑞浪超深地層研究所とその周辺において行います。
 施設等については、造成工事に着工するとともに、平成15年度から予定している研究坑道の掘削工事に向けて、掘削用の櫓などの地上施設の製作を開始していきます。さらに並行して、構内の整備等も行っていきます。


.研究計画
)地上物理探査及び地質調査
 瑞浪超深地層研究所やその周辺で、断層や大きな割れ目帯などの有無、花崗岩と堆積岩の境界など、地下の大まかな構造を推定するため、人工的な振動を用いた弾性波探査と呼ばれる地上物理探査を行います。
 地上物理探査では、主に振動装置を用いて人工的な振動を繰り返し発生させ、一定の間隔で道路沿いなど線上に配置した測定装置により地層中を経由して届く振動を観測します。主に瑞浪超深地層研究所周辺の道路沿いに測定器を並べ(これを測線といいます)調査を行う計画です。測線は6列程度で、その総延長は8km程度を予定しています。
 本調査は下期に計画している深層ボーリング調査に先立ち行うもので、平成13年度の事業計画でご報告したように、昨年度より準備を開始し、平成14年4月頃から6月頃の間に実施する計画です。現場での調査期間は事前の測量などを含めて約1ヶ月を予定しています。
 平成13年度の事業計画では測線を5列程度と報告しておりましたが、測線配置を見直した結果、現計画では測線は6列程度としております(総延長は8km程度で変わりません)。なお、調査の結果により、追加の調査を実施することもあります。
 また、上記の物理探査で得られる解析結果の確認を含め、瑞浪超深地層研究所やその周辺で、地質調査(地表に現れた岩の性質や断層の有無などを調べる調査)を行います。
)浅層ボーリング調査
 花崗岩中の地下水の流れ・性質を知るために、地表から深さ200m付近まであると推定される堆積岩中の地下水の性質や流れ及び断層の有無などを調べるボーリング調査を行います。
 地下の堆積岩と花崗岩の境界に数十m程度の凹凸が推定されており、堆積岩と花崗岩の境界付近及び堆積岩中の地下水の流れは場所により異なる可能性があります。これらのことから、ボーリング調査は4地点とし、それぞれのボーリング孔は堆積岩を通過して花崗岩の上端まで届くように深さ100〜250m程度を計画しています。
 それぞれのボーリング孔では、岩石サンプルを連続して採取します。ボーリング掘削中及び掘削後には、ボーリング孔の中で、地層中の割れ目や地下水などの状態を調べるための検層(ボーリング孔に測定器を降ろして物理的なデータを取得する調査)、地層中の水圧や透水性を調べるための水理試験、地下水を採取する採水試験などを行います。調査終了後には、水圧や水質を長期間連続して観測するためにモニタリング装置を設置し観測を開始します。
 平成13年度事業計画でご報告したように、このボーリング調査のための準備は昨年度から開始しており、掘削作業は4月頃から10月頃までの期間で行います。

)深層ボーリング調査
 掘削した浅層ボーリング孔にモニタリング装置を設置した後、花崗岩を主な対象とした深層ボーリング調査を開始します。
深層ボーリング調査では、岩石サンプルを連続して採取します。また、ボーリング孔の中で地層中の割れ目や地下水などの状態を調べるための検層、地層中の水圧や透水性を調べるための水理試験、地下水を採取する採水試験、力学試験(岩盤への力のかかり具合を調べる試験)など各種試験を行います。採取した岩石サンプルは、花崗岩の強度などの性質や力のかかり具合及び割れ目面の性質を把握するため、また花崗岩中の物質の動きを理解するため、室内試験にも用います。
 ボーリング孔の深さは、現時点で1,500m程度を予定していますが、最終的には、物理探査や浅層ボーリングの結果を基にして決める予定です。掘削の開始は本年度下期を予定しており、平成16年度に完了する予定です。
)その他
 河川の流量などを測定して地下に浸み込む水の量を測定する調査(表層水理調査)の一環として、狭間川に河川流量計を設置します。
 これらの調査の結果に基づき、地下の地質環境のモデル化を行い、地層の分布、地下水の流れ・性質、岩盤中の力のかかり具合など、研究坑道掘削前の地質環境を推定し、研究坑道の建設が地質環境に与える影響を予測し、立坑等の研究坑道の詳細な設計、今後の研究計画の考え方の整理などを行います。

.施設計画
)瑞浪超深地層研究所の造成工事
 平成13年度から継続して敷地造成の設計を行い、その結果をもとに7月頃から造成工事に着工します。次に10月頃からは、敷地の高さを揃える工事等を年度末までかけて行っていきます。
)地上施設の製作
 研究坑道掘削に必要な地上施設や研究坑道等の設計を平成13年度に引き続いて行い、平成14年度後半からは掘削用の櫓・巻上機や受電設備、排水プラント等の工場製作を開始します。なお、これらの設備の搬入は、平成15年度以降となります。
)構内整備等
 瑞浪超深地層研究所山林部分の手入れ等の環境整備を行います。また、構内において研究執務等を行うための建屋の設置を平成14年度後半から開始します。
 周辺の河川水や井戸等への掘削工事の影響の有無や、工事中の振動、騒音などの影響を確認するための基礎資料として瑞浪超深地層研究所周辺での現況を調査します。
.安全対策等
東濃地科学センターでは、仮設の現場事務所に職員を常駐させ、市有地における作業の安全を確保するとともに、地域の皆様のお問い合わせなどに対応して参ります。


[参考]
 広域地下水流動研究については、平成14年度は、以前に掘削した瑞浪超深地層研究所近傍のボーリング(DH−2号孔、深度約500m)を利用して、地層中の割れ目や地下水などの状態を調べるための検層、地層中の水圧や透水性を調べるための水理試験などの調査行うとともに、モニタリング装置を設置し観測を開始しますが、これらの研究で得られる成果は、超深地層研究所計画に係わる研究にも活用します。


市有地における超深地層研究所の主な現場作業スケジュール
(平成14年度)