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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発



安全評価手法の高度化に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 投稿、発表先 発表年
柴田雅博、澤田淳、舘幸男、他

概要調査段階における設計・性能評価手法の高度化(その3) —NUMO-JAEA 共同研究報告書(2013 年度)— 共同研究

原子力機構(JAEA)がこれまで蓄積してきた技術やノウハウを、原子力発電環境整備機構(NUMO)が今後行う精密調査地区の選定等の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定すること等を目的として、2011年度よりJAEAとNUMOは以下の3つのテーマについて共同研究を進めている。(1)水理の観点からみた母岩の適性を評価する方法に関する検討: 水理地質構造モデル構築手法の事例調査に基づいて、得られた知見を評価ツリーとして整理し、モデルの不確実性やそれらの評価項目への影響等についての検討を行った。(2)シナリオの構築方法に関する検討: 状態設定手順を実務的な観点から、さらに見直すとともに、セメント影響とガラス溶解挙動について、知見の体系的な整理と不確実性の影響について解析的検討を行った。(3)核種移行パラメータの設定方法に関する検討: 母岩の分配係数を対象に、国内外の事例調査をもとに複数の設定手法を整理し、堆積岩及び花崗岩への適用を通じ妥当性や課題を確認した。溶解度について、溶解度制限固相の決定を含む設定手法を検討し、主要核種への適用を通じ妥当性や課題を確認した。

JAEA-Research 2014-030 2015
吉田泰、北村暁

OECD/NEAで選定された熱力学データの利用環境の整備(その4) —鉄、スズおよびトリウムの熱力学データの追加登録—

経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)の熱化学データベース(Thermochemical Data Base; TDB)プロジェクトでは、放射性廃棄物の地層処分における性能評価上重要な元素の熱力学データベースの開発が行われている。近年では、2008年にトリウム、2012年にスズそして2013年に鉄(第1分冊)の熱力学データベースが公開された。収録されている熱力学データは、レビュー方法やデータ選定、ゼロイオン強度への活量係数補正、誤差の評価、および温度補正などについて示された、OECD/NEA自身のガイドラインに従い厳しい目で選定されており、そのため信頼性が高いとされている。本報告では、OECD/NEAの選定値について、既存のものにトリウム、スズおよび鉄(第1分冊)の選定値を追加し、汎用地球化学計算コードであるPHREEQC、EQ3/6およびGeochemist's Workbenchで読み込み可能なデータベースファイルとして整備した。整備したデータベースファイルは日本原子力研究開発機構の熱力学・収着・拡散データベースのホームページより入手することができる。

JAEA-Data/Code 2014-022 2014
A. Kitamura, R. Doi and Y. Yoshida

Update of JAEA-TDB: Update of Thermodynamic Data for Palladium and Tin, Refinement of Thermodynamic Data for Protactinium, and Preparation of PHREEQC Database for Use of the Brønsted-Guggenheim-Scatchard Model

高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)で選定されているパラジウムとスズの熱力学データを更新した。パラジウムの加水分解種および塩化物錯体の熱力学データについては最新の原著論文を、スズの熱力学データについては経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が公開した熱力学データベースを基に、選定値のレビューと内部整合性の確認を行ったうえで採用した。また、プロトアクチニウムの一部の熱力学データを修正し、より現実的な溶解度評価が可能なデータセットに更新した。更新したJAEA-TDBのテキストファイルとして、PHREEQC, EQ3/6, Geochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。この際、PHREEQCについては、SIT活量補正モデルが利用可能なデータベースファイルとした。

JAEA-Data/Code 2014-009 2014
土井玲祐、岩田孟、北村暁

溶解度法による熱力学データ整備 (翻訳資料)

溶解度法は熱力学データを信頼性高く求めるのに最も有力な方法の一つである。熱力学データの具体的な内容は、1)個々の固相や複塩の溶解度積および2)種々の配位子の錯形成定数であり、このような熱力学データは、3)広範なpH域にわたる溶解度の評価、4)極めて難溶性な固相(例えば、4価のアクチニド)を生成する金属イオンの溶解度の評価、5)様々な廃棄物中での溶解度制限固相の決定、6)酸化還元に鋭敏な系における高温環境の評価に用いられる。本書は、溶解度法によってこのような熱力学データを取得する際の様々な特徴を記述することに焦点をあてたものである。本書は、研究テーマの選定、重要な変数を定義するためのモデル化、変数や実験パラメータの範囲の選定、結果の予測、一般的な設備の要件、実験の実施および実験データの解釈、といった溶解度研究の実施における様々な特徴を記述している。

JAEA-Review 2014-014 2014

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地質環境特性調査・評価手法に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 投稿、発表先 発表年
青柳和平、石井英一、近藤桂二、他

幌延深地層研究所における三軸圧縮試験による岩石強度特性の検討

日本原子力研究開発機構は、新第三紀堆積軟岩を対象とした高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を目的として、北海道天塩郡幌延町において幌延深地層研究計画を進めている。本報告書では、幌延深地層研究所に分布する声問層、稚内層岩石のそれぞれを深度方向に細分化した強度物性(粘着力と内部摩擦角)の設定を目的に、三軸圧縮試験結果をとりまとめ、深度依存性(地層境界との深度差)を考慮した強度物性を検討し、地下施設設計時に設定した値と比較して、その妥当性について論じた。さらに、幌延深地層研究計画でこれまで実施した三軸圧縮試験結果の全地点のデータについて取りまとめ、データベース化を行った。深度毎の強度物性を検討した結果、声問層中では、深度とともに粘着力が増大した。稚内層浅部、すなわち遷移層においては、粘着力が急激に増大し、遷移層より深部では、粘着力は3-4MPaに収束していき、深度依存性は見られなかった。内部摩擦角は、声問層中では10-20°、稚内層中では20-35°に分布している。このことから、声問層と稚内層で強度物性が異なっていることが示された。今回三軸圧縮試験により得られた粘着力と内部摩擦角を、地下施設設計時の値と比較した結果、両者が整合した領域は少なかった。そのため、岩盤の強度物性の詳細な検討のためには、地層境界との深度差に応じて深度区分を設けたうえで、粘着力と内部摩擦角を設定することが重要である。

JAEA-Research 2015-001 2015
藤田朝雄、棚井憲治、中山雅、他

地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究 —平成25年度成果報告—(共同研究)

原子力機構と、原環センターは、原環センターが受注した「地層処分実規模設備整備事業」の工学技術に関する研究を共同で実施するために、「地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究」に関して、共同研究契約を締結した。本共同研究は、「地層処分実規模設備整備事業」における設備整備のための工学技術に関する研究(調査、設計、製作、解析等)を共同で実施するものである。なお、本共同研究は深地層研究所(仮称)計画(平成10年10月、核燃料サイクル開発機構)に含まれる地層処分研究開発のうち、処分システムの設計・施工技術の開発や安全評価手法の信頼性確認のための研究開発の一環として実施されている。本報告は、上記の共同研究契約に関わる平成25年度の成果についてまとめたものである。具体的成果としては、平成20年度に策定した全体計画に基づき、緩衝材定置試験設備や、実物大の緩衝材及びオーバーパック(模擬)の展示を継続するとともに、緩衝材定置(実証)試験を実施した。また、緩衝材の浸潤試験を継続した。

JAEA-Research 2014-031 2015
市川康明、木本和志、佐藤稔紀、他

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究(2013年度) (委託研究)

岩石や岩盤は、クリープや応力緩和などの時間依存的挙動を示すことが知られており、その性質を把握することは長期の力学的安定性を評価するための重要な課題となる。これまでの研究より、長期挙動に影響をおよぼす力学と化学の連成現象をモデル化・解析する手法を開発することが課題として抽出された。この連成現象にも影響をおよぼすマイクロクラックの評価については、長期岩盤挙動研究において重点的に取組むべき課題でもある。本研究は、結晶質岩のマイクロクラックによる、超音波の散乱減衰挙動を調べるための数値解析および計測技術の開発を行ったものである。数値解析には、FDTD法(時間領域差分法)を用い、二重節点(split node)により、亀裂をモデル化した。開発したシミュレーション手法によって弾性波モデリングの上で有用な知見が得られることが分かった。一方、計測技術の開発である超音波計測では、接触型超音波探触子により入射波を岩石試料中に送信し、受信はニードルハイドロフォンの位置を精密に制御しながら水中で計測を行う水浸法によって行った。その結果、岩石試料中の弾性波の散乱減衰を評価するために有用な情報を取得できることが分かった。

JAEA-Research 2014-027 2015
深谷正明、畑浩二、秋好賢治、他

瑞浪超深地層研究所における工学技術に関する検討(平成25年度) —掘削影響の修復・軽減技術の開発— (委託研究)

超深地層研究所計画における工学技術に関する研究は、大きく分けて、(1)「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、(2)「研究坑道の建設技術の開発」、(3)「研究坑道の施工対策技術の開発」、(4)「安全性を確保する技術の開発」および(5)「掘削影響の修復・軽減技術の開発」の5項目に分類して進めている。これまでは、「第2段階」の調査研究として、研究坑道掘削工事で取得される計測データや施工データを用いた評価に基づく設計の妥当性についての検討などを中心として進めてきた。本研究は、「掘削影響の修復・軽減技術の開発」の一貫として、深度500m研究アクセス北坑道における再冠水試験のための止水壁に関する検討を実施した。具体的には、止水壁やプラグに関する国内外の文献調査を実施し、この結果を基に、設計条件の検討、解析による止水壁躯体の設計と岩盤安定性の評価、主な部材の材料選定、止水グラウトの検討などを実施した。

JAEA-Technology 2014-040 2015
小林伸司、新美勝之、沖原光信、他

瑞浪超深地層研究所における工学技術に関する検討(平成25年度) —設計・施工計画および施工対策技術の開発— (委託研究)

超深地層研究所計画では、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、「研究坑道の建設技術の開発」、「研究坑道の施工対策技術の開発」、「安全性を確保する技術の開発」、「掘削影響の修復・軽減技術の開発」を目的として、工学技術に関する研究を進めている。本研究では、研究坑道の設計・施工計画技術の開発および施工対策技術の開発を目的として、地震動特性と湧水抑制対策技術に関する検討を実施した。地震動特性に関する検討については、瑞浪超深地層研究所に設置した地震計等の計測結果を分析し、大深度における地震特性に関する知見を得た。湧水抑制対策技術に関する検討としては、ポストグラウチング手法について既往の情報を収集・整理するとともに、研究坑道掘削工事で適用される技術の抽出と有効性評価を実施し、今後の技術開発の方向性について検討を加えた。

JAEA-Technology 2014-035 2015
笹本広、山本信幸、宮川和也、他

幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データ (2011年度〜2013年度)

幌延深地層研究計画における深地層の科学的研究では、実際の地下の地質環境特性(条件)を調査するための技術開発や、得られた地質環境特性に基づく地質環境モデルの構築が進められている。地質環境モデルの1つに、地下水の地球化学モデルがあるが、モデルの構築にあたっては、地下施設周辺における地下水の水質データが必要である。本報告では、平成23年度〜平成25年度(2011年度〜2013年度)までの3年間に、幌延深地層研究計画で得られた地下水の水質データとして、物理化学パラメータおよび水質の測定・分析結果を取りまとめたものである。

JAEA-Data/Code 2014-033 2015
山本信幸、松岡稔幸

2003年〜2014年北進気象観測統計

幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画の一環として北海道幌延町北進で気象観測を実施してきた。本報告は、北進気象観測所で観測された2003年8月〜2014年10月の期間の気象データを取りまとめたものである。取得データは1時間データ、日統計データ、月統計データ(年表)として整理し、「観測データセット」としてCD-ROMに収録した。

JAEA-Data/Code 2014-032 2015
西尾和久、弥富洋介

「平成26年度東濃地科学センター地層科学研究情報・意見交換会」資料集

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターにおいては、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(以下、地層科学研究)を実施している。地層科学研究を適正かつ効率的に進めていくため、研究開発の状況や成果、さらに今後の研究開発の方向性について、大学、研究機関、企業の研究者・技術者等に広く紹介し、情報・意見交換を行うことを目的とした「情報・意見交換会」を毎年開催している。本報告書は、平成26年11月11日に岐阜県瑞浪市で開催した「平成26年度 東濃地科学センター 地層科学研究 情報・意見交換会」で用いた発表資料を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2014-056 2015
佐藤稔紀、真田祐幸、丹野剛男

超深地層研究所計画における岩盤力学に関する調査研究 年度報告書(2013年度)

本報告は、超深地層研究所計画の一環として、2013年度に実施した岩盤力学に関する調査研究項目の概要をまとめたものである。本報告書にとりまとめた調査研究項目は、(1)深度500m地点における円錐孔底ひずみ法による初期応力測定、(2)深度500m地点における光ファイバ式岩盤変位計の設置、(3)クラックテンソルによる等価連続体モデルに関する検討、(4)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究、(5)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究、(6)種々の計測結果に基づく深部岩盤中の応力場評価に関する基礎的研究である。

JAEA-Review 2014-049 2015
川本康司、窪島光志、村上裕晃、他

超深地層研究所計画 地質・地質構造に関する調査研究 —深度500mステージの地質・地質構造—

日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を岐阜県瑞浪市において進めている。本計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」及び「深地層における工学技術の基盤の整備」を全体目標として定め、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる計画である。現在は、第2段階及び第3段階の調査研究を進めている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書では、第2段階での主要課題の一つである地質構造モデル構築作業の一環として、第2段階における地質・地質構造の調査研究結果に基づき、瑞浪超深地層研究所の深度500mステージの坑道掘削範囲で認められた地質・地質構造について取りまとめた。

JAEA-Research 2014-021 2014
福井勝則、羽柴公博、佐藤稔紀、他

結晶質岩を対象とした長期岩盤挙動評価手法に関する研究(2013年度) (委託研究)

高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、長期にわたる坑道の安定性の評価が要求される。このため、岩石や岩盤の時間依存性挙動を把握することは、坑道の長期安定性を評価する上で重要な課題である。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2013年度に実施した岩石や岩盤の時間依存性挙動に関する研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。第2章では、1997年度から16年間継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。第3章では、結晶質岩の時間依存性挙動把握のためのデータの整理と分析結果について報告し、このデータの利用方法の一つの例として、時間依存性を考慮した岩盤分類について考察した。第4章では原位置試験計画の策定のため、原位置岩盤の数値解析手法の向上に関する検討を行った。

JAEA-Research 2014-020 2014
大森一秋、宗本隆志、長谷川隆、他

地下水中のコロイド調査手法の構築

本報告では、深部花崗岩中の地下水に含まれるコロイドに関する調査手法の検討とその結果についてとりまとめた。具体的には、ボーリング孔に設置している水圧・水質モニタリング装置に機材を直結した限外ろ過システムと、バッチ式気密容器に地下水を採取して限外ろ過を行うシステムについて検討・評価を行った。また、限外ろ過法に代わる方法としてクロスフローろ過法について検討・評価を行った。その結果、各調査手法が持つ長所・短所についての知見を得ることかできた。

JAEA-Research 2014-013 2014
小島圭二、大西有三、青木謙治、他

坑道周辺岩盤の概念再構築に関する研究 —平成25年度— (委託研究)

本報告書は地層処分におけるニアフィールド(NF)コンセプトをより現実的に再構築する研究に関するものである。地層処分施設における地下坑道周辺岩盤を含むニアフィールドでの、現実的な核種移行シナリオとして、処分場の掘削-操業期間-閉鎖後の時系列変化を、ステージ0からIVの5段階に区分して、特に処分場閉鎖後の各時空間断面における「場」の状態や要因の相互作用の網羅性を重要視した検討課題のリストを提示した。さらに、これまでの研究成果を反映・発展させ、地下水シナリオで重要となる断層・割れ目に着目した現実的なニアフィールド核種移行の構造モデルの検討を行った。

JAEA-Research 2014-011 2014
尾上博則、前村庸之、木村仁、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究) 研究坑道掘削に伴う地下水流動場及び地下水水質の変化を考慮した地下水流動のモデル化・解析 (2011年度)

本研究では、超深地層研究所計画の第2段階における調査研究で構築された瑞浪超深地層研究所周辺の水理地質構造概念を考慮した水理地質構造モデルを用いて、研究坑道掘削を模擬した地下水流動解析や移流分散解析を実施し、深度500mまでの研究坑道の掘削に伴う地下水流動や地下水水質の変化の再現性の確認を行った。その結果、研究坑道からの湧水量やそれに伴う地下水圧および塩化物イオン濃度の変化傾向を概括的に再現することができ、水理地質構造概念の妥当性を示すことができた。

JAEA-Research 2014-010 2014
真田祐幸、佐藤稔紀、丹野剛男、他

瑞浪超深地層研究所計画におけるクラックテンソル理論に基づく等価連続体モデル化手法の検討

日本原子力研究開発機構では、結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野では、地上からの調査段階において、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定している。本報告では、深度500mまでの立坑および水平坑道の研究坑道の壁面観察や力学試験データ等を使用してクラックテンソルの算定を行った。そして、深度500mにおけるクラックテンソルを用いて、換気立坑の深度500mおよび深度500m予備ステージの2次元掘削解析を行った。また、第1段階の調査(MIZ-1号孔)結果に基づいて算出した深度500mのクラックテンソルの検証を本報で算定したクラックテンソルを基に行った。さらに、換気立坑の深度170から500mおよび深度500m予備ステージを対象に、基準領域および観察領域を設定し、クラックテンソルの相対誤差を算出するとともに、観察領域の大きさに伴う相対誤差の変動の様子を調べた。

JAEA-Research 2014-006 2014
長谷川健、山田信人、小出馨

電磁法による地上物理探査 総括報告書

広域地下水流動研究の一環として、平成9年から平成11年にかけて岐阜県東濃地域においてMT法とCSMT法を組み合わせた地上電磁探査を実施した。その後、花崗岩深部の調査へのMT法の適用性を検討する試験が実施されたが、この試験において当該地域におけるMT法調査の問題点が抽出されていた。これを受けて、当時取得した地上電磁探査データの品質を改めて確認したところ、ほとんどすべての測定点のデータに、JR東海中央本線や中部電力の瑞浪変電所および送電線に起因していると考えられる人工ノイズの混入が認められ、地上電磁探査の解析結果には問題があることが判明した。このような結果を招いた最大の要因は、調査対象地域の電磁界ノイズの特徴を精査することなく、データ取得の簡便性の観点から、高周波数テンソル式CSMT法システムを採用したことにある。すなわち、CSMT法やMT法を用いて地質構造調査を行う場合、特に直流で運行されている鉄道沿線や市街地近郊においては、事前に調査対象地域のノイズの状況を詳細に把握しておき、そのノイズに対処可能な探査システムの選定や、測定仕様の決定を行うことが極めて重要である。

JAEA-Research 2014-004 2014
山下理代、濱克宏、竹内竜史、他

花崗岩試料を用いた拡散試験環境の整備と間隙率測定および鉱物試験

物質移動に関する調査研究では、岩盤中の物質移動に関わる現象の理解を進めつつ、物質移動に関するパラメータ値の測定技術および物質移動に関わるモデル化・解析・評価技術を体系的に整備することを目標としている。岩石試料を用いた拡散試験は、本研究の一環として割れ目の地質学的特徴と物質移動に関するパラメータ値の関係の把握などを目的として計画したものである。本報告では、これらの拡散試験の開始に先立ち実施した岩石ブロックを用いた拡散試験環境の整備と透過拡散試験に用いる試料の作成について、そして数値解析に用いるパラメータ値の取得のために実施した間隙率測定結果およびX線回析分析結果を取りまとめたものである。

JAEA-Technology 2014-029 2014
深谷正明、納多勝、畑浩二、他

瑞浪超深地層研究所における工学技術に関する検討(平成24年度) (委託研究)

超深地層研究所計画では、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、「研究坑道の建設技術の開発」、「研究坑道の施工対策技術の開発」、「安全性を確保する技術の開発」を目的として、工学技術に関する研究を進めている。本研究では、これら4項目の工学技術研究として、深度500mまでの研究坑道の施工によって取得された計測データを用いて、設計の妥当性の検討や施工管理のための計測結果の分析と課題の抽出、パイロットボーリングから得られた情報の有効性に関する評価を行うとともに、研究坑道掘削工事で適用される技術の抽出と有効性評価を実施し、今後の技術開発の方向性について検討を加えた。

JAEA-Technology 2014-019 2014
川本康司、黒岩弘、山田信人、他

深度500m研究アクセス南坑道における先行ボーリング調査報告書(12MI32号孔)

本報告書は、深度500m研究アクセス南坑道における先行ボーリング(12MI32号孔)の調査結果を取りまとめたものである。調査では、地質学的、水理学的、地球化学的データを取得するとともに、地下水水圧の初期状態および坑道掘削時の変化の把握を目的に水圧モニタリング装置を設置した。調査の結果、中粒から粗粒の等粒状組織を示す黒雲母花崗岩が分布し、岩級はCM〜B級である。断層角礫を伴う小規模断層が48.90mabh付近に認められたが、当初モデルで推定していたS200_13断層およびIF_SB3_13_3断層は認められなかった。割れ目密度は、40.00〜80.00mabh区間で大きい。孔内湧水は78.83mabhで最大600L/minであった。透水係数は、湧水の少ない区間で2.0E-9〜1.5E-08m/sec、割れ目が集中し湧水量が多い区間で1.1E-05〜1.6E-05m/secの範囲であった。地下水の水質は、Na, Clに富む水質であった。

JAEA-Technology 2014-011 2014
大森 一秋、長谷川隆、宗本隆志、他

超深地層研究所計画における地下水の地球化学に関する調査研究 —瑞浪層群・土岐花崗岩の地下水の地球化学特性データ集— (2013年度)

日本原子力研究開発機構は岐阜県瑞浪市で進めている超深地層研究所計画において、研究坑道の掘削が周辺の地下水の地球化学特性に与える影響を把握することを目的とした調査研究を行っている。本データ集は、超深地層研究所計画において2013年度に実施した地下水を対象とした地球化学調査によって得られたデータを取りまとめたものである。

JAEA-Data/Code 2014-019 2014
上野哲朗、佐藤成二、竹内竜史

超深地層研究所計画における研究坑道での湧水量計測(2012〜2013年度)データ集

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、岐阜県瑞浪市において結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「地表からの調査予測研究段階(第1段階)」、「研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)」、「研究坑道を利用した研究段階(第3段階)」の3段階からなる。研究所用地における第1段階の調査研究は、2002年度から2004年度まで実施され、2004年度からは第2段階の調査研究が、2010年度からは第3段階の調査研究が開始されている。第2段階の調査研究では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築および研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を実施しており、その一環として、研究坑道内への湧水量計測を2005年2月から実施している。本データ集は、2012〜2013年度に実施した研究坑道内での湧水量計測で取得したデータを取りまとめたものである。

JAEA-Data/Code 2014-018 2014
川本康司、村上裕晃、石橋正祐紀、他

超深地層研究所計画 瑞浪超深地層研究所 深度500mステージの壁面地質調査データ集

本データ集は、2011年度から2013年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の深度500mステージの掘削に伴って実施した壁面地質調査の結果を取りまとめたものである。調査の結果、深度500mステージには後期白亜紀の土岐花崗岩が分布するが、部分的にペグマタイトやアプライト、ランプロファイアー岩脈が分布することが判明した。

JAEA-Data/Code 2014-014 2014
酒井利啓、松岡稔幸、天野健治

幌延地域を対象とした10mグリッド数値標高モデルを用いた精密地形解析図の作成

日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備を目標の一つとして北海道幌延町において幌延深地層研究計画を進めており、その一環として地質環境モデルに関する調査・解析技術の開発を行っている。日本全国を対象とした10m間隔グリッドの数値標高モデルが近年国土地理院より公開され、これにより広域を対象にほぼ均質な精度で微地形の検討ができるようになった。このことから、地質環境モデル構築のためのデータセット整備の一環として、幌延町周辺の地形・地質特性を評価するための基礎データを得ることを目的に、10mグリッド数値標高モデルを利用して地形を可視化する18種類のフィルタ画像データを作成した。

JAEA-Data/Code 2014-005 2014
佐藤成二、尾方伸久

超深地層研究所計画における表層水理観測データ集 —2012年度—

日本原子力研究開発機構東濃地科学研究ユニットでは、超深地層研究所計画の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量の水収支解析による算出、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータの取得および研究坑道掘削に伴う浅層の地下水環境の変化の把握を目的として、表層水理観測を実施している。表層水理観測は、蒸発散量算出のための気象要素、降水量、河川流量、地下水位および土壌水分の観測を、正馬川流域、正馬川モデル流域および瑞浪超深地層研究所用地で実施している。本報告では、2012年度の上記流域等で得られた気象要素、降水量、河川流量、地下水位、土壌水分について、欠測や異常値を示すデータの補正・補完を行いデータセットとして取りまとめた。また、研究坑道掘削工事における周辺環境モニタリング調査の一環で取得されている狭間川の河川流量データを用いて、2012年度の本流域の岩盤浸透量を算出した。

JAEA-Data/Code 2014-004 2014
佐藤成二、尾方伸久

広域地下水流動研究における表層水理観測データ集 —2012年度—

日本原子力研究開発機構東濃地科学研究ユニットでは、広域地下水流動研究の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量の水収支解析による算出、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータの取得を目的として、表層水理観測を実施している。観測項目は降水量および河川流量であり、柄石川と日吉川を観測流域としている。本報告では、2012年度の表層水理観測で得られた降水量、河川流量について、データの欠測や異常値を示すデータの補正・補完を行いデータセットとして取りまとめた。

JAEA-Data/Code 2014-003 2014
花室孝広

幌延深地層研究計画 平成25年度調査研究成果報告

幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施されている。平成25年度は、「幌延深地層研究計画平成25年度調査研究計画」に従って、調査研究および地下施設の建設を継続した。研究開発は従来通り、「地層科学研究」と「地層処分研究開発」に区分して実施した。具体的には、「地層科学研究」では、地質環境調査技術開発、地質環境モニタリング技術開発、深地層における工学的技術の基礎の開発、地質環境の長期安定性に関する研究、という研究課題を設定し、「地層処分研究開発」では、人工バリアなどの工学技術の検証、設計手法の適用性確認、安全評価モデルの高度化および安全評価手法の適用性確認、という研究課題を設定している。本報告書はそれらの成果を取りまとめたものである。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。

JAEA-Review 2014-039 2014
濱克宏、見掛信一郎、西尾和久、他

超深地層研究所計画 年度報告書(2013年度)

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2013年度は、第2段階および第3段階の調査研究を進めた。本報告書は、2010年度に改定した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づいた、超深地層研究所計画の第2段階および第3段階の調査研究のうち2013年度に実施した1)調査研究、2)施設建設、3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2014-038 2014
濱克宏、見掛信一郎、西尾和久、他

超深地層研究所計画 年度計画書(2014年度)

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。2014年度は、2014年2月における深度500mステージの研究坑道の掘削工事の完了に伴い、超深地層研究所計画における深度500mまでの第2段階の調査研究を一旦終了し、これまで実施してきた各種モニタリング等を含め、物質移動試験や再冠水試験等の第3段階の調査研究を進めていく。本計画書は、2010年に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」、2012年度から2013年度に実施した第3段階における調査研究計画の策定に向けた検討結果および2013年度の調査研究の進捗を踏まえて、2014年度の超深地層研究所計画の調査研究計画、施設建設計画、共同研究計画などを示したものである。

JAEA-Review 2014-035 2014
花室孝広

幌延深地層研究計画 平成26年度調査研究計画

本計画は、原子力機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している。本計画では、深地層の科学的研究として、「深地層環境の深度(地下350m程度)まで坑道を掘削しながら調査研究を実施し」、「地上からの精密調査の段階に必要となる技術基盤を整備し、実施主体や安全規制機関に提供する」こととする。また、地層処分研究開発として、「深地層の研究施設等を活用して、実際の地質環境条件を考慮した現実的な処分概念の構築手法や総合的な安全評価手法を整備する」こととしている。本計画は、全体で20年程度とし、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」に分けて実施することとしている。平成26年度は、地下施設の建設及び第2段階及び第3段階の調査研究を継続する。

JAEA-Review 2014-027 2014
笹本広

沿岸域プロジェクト:関係機関における議論の内容と得られた成果の概要

本報告では、平成19年度から平成24年度までの6年間にわたり実施された沿岸域プロジェクトについて、プロジェクトに関係した各機関による連携・協力の枠組みや各機関が参加する全体会議で議論された内容等を中心に整理した。また、沿岸域プロジェクトにおける議論も踏まえ、各関係機関により実施された調査・評価により得られた成果の例や、得られた成果の体系化に向けた取り組みの例について、その概要をまとめた。沿岸域プロジェクトにより、幌延の沿岸域における調査・評価を通じて得られた成果は、高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発において、沿岸域を対象とした調査・評価技術の体系化や沿岸域における研究開発要素の研究成果の統合に係る一例として整備された

JAEA-Review 2014-015 2014
佐藤稔紀、丹野剛男、引間亮一、他

超深地層研究所計画における岩盤力学に関する調査研究 年度報告書(2012年度)

本報告は、超深地層研究所計画の一環として、2012年度に実施した岩盤力学に関する調査研究項目の概要をまとめたものである。本報告書にとりまとめた調査研究項目は、(1)深度300m地点における円錐孔底ひずみ法による初期応力測定、(2)深度500m地点におけるボーリングコアを用いた初期応力測定、(3)深度500m地点におけるボーリングコアを用いた室内試験、(4)クラックテンソルによる等価連続体モデルに関する検討、(5)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究、(6)結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究、(7)掘削体積比エネルギーを用いた原位置岩盤物性評価に関する研究、(8)種々の計測結果に基づく深部岩盤中の応力場評価に関する基礎的研究である。

JAEA-Review 2014-009 2014

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地質環境の長期的安定性に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 投稿、発表先 発表年
生田正文、丹羽正和、高取亮一、他

宮崎平野における完新世堆積物の分析データ

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)による津波災害を契機に、津波堆積物を用いた海溝型巨大地震に関する研究が注目を集めている。一方、日向灘に面する宮崎平野は、歴史時代に日向灘あるいは南海トラフを震源とする大規模な地震による津波に襲われたことが知られている。しかしながら堆積物として津波の痕跡を確認するなど、その証拠を科学的に明らかにした地質学的な研究例は未だ無い。本研究では、宮崎平野の完新世の堆積物を事例に、津波堆積物の認定手法の高度化のほか、数千年オーダでの局所的な隆起・沈降のプロセスの解明等に取り組んでおり、これまでに堆積物の記載、採取および各種分析等を進めてきた。本データ集は、これらの結果を取りまとめ、報告するものである。

JAEA-Data/Code 2014-002 2014
安江健一、浅森浩一、丹羽正和、他

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(平成26年度)

本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に関する研究についての第2期中期計画期間(平成22年度-平成26年度)における平成26年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第2期中期計画に基づき、第1期中期計画期間(平成17年度-平成21年度)における研究開発の成果、平成22年度から平成25年度の研究開発の成果、関係研究機関の動向や大学等で行われている最新の研究成果、実施主体や規制機関のニーズ等を考慮した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進していく。

JAEA-Review 2014-033 2014

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