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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発

人工バリア等の信頼性向上に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
真田昌慶、岸裕和、杉田裕、他

岩石の強度回復特性・一般化応力緩和挙動に関する研究(V)

本研究では、「強度回復試験」、「一般化応力緩和試験」「引張強度試験」を、稚内層珪質泥岩を用いて実施した。その結果、強度回復を表す構成方程式で適切な定数の値を用いることにより、押し込み試験での軸応力の変化を表現できることを示した。一般化応力緩和挙動については、気乾状態と湿潤状態で試験を行った。粘弾性的な挙動は、気乾状態よりも湿潤状態の方が、また、一般化応力緩和試験を開始するまでの載荷速度が大きいほど顕著であることがわかった。さらに引張特性については圧裂引張試験と一軸引張試験を実施した。圧裂引張強度については層理面に対する載荷方向の影響が大きいことがわかった。

JAEA-Research 2012-025 2012
川口昌尚、中西達郎、岸裕和、他

地層処分を対象としたグラウト材料の開発(2)

地層処分で使用される支保工やグラウトにはセメント系材料を用いることが考えられるため、長期的に岩盤の変質を引き起こし、地層処分システムの長期性能に影響を及ぼす可能性が指摘されている。さらに、地層処分施設の操業にあたっては、湧水量が厳しく制限されることが想定されることから、微細な亀裂に対しても注入可能なグラウト材料の開発が必要となってくる。このため、平成19年度より、既存のグラウト材料と同等以上の施工性・止水性を有し、岩盤への影響を最小限に抑える低アルカリ性(pH≦11)のグラウト材料の開発に取り組んでいる。ここでは、平成21年度にとりまとめを行ったJAEA-Data⁄Code 2010-005の続編として、それ以後のグラウト材料に関する室内試験結果を取りまとめデータ集として報告するものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-007 2012

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安全評価手法の高度化に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
M. Ochs, Y. Tachi, D. Trudel, et al.

Kd setting Approaches for Horonobe Mudstone systems : Applications of TSMs and Semi–quantitative Estimation Procedures

地層処分性能評価における信頼性の高いパラメータ設定に資するため、原子力機構では具体的な地質環境条件に対する収着パラメータ(Kd)の設定手法の開発を進めている。この設定において、実験条件から性能評価条件におけるKdを評価するため、専門家の判断、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルといった条件変換手法が重要となる。本報告では、半定量的推定手法、熱力学的収着モデルを用いたKd設定と不確実性評価を、具体的な設定を試行しつつ検討した。対象とした系は、複数の幌延泥岩環境に対するCs, Ni, Am, Th の4核種のKd設定である。本検討を通じ、実際の環境条件に対する分配係数設定手法を提示することができ、同時に、既存のデータや現象理解に関する重要な課題を抽出することができた。さらに、これら分配係数設定手法を、花崗岩など他の岩種に適用する際の課題についても議論された。

JAEA-Research 2012-044 2013
早野明、澤田淳

ニアフィールド岩盤を対象とした核種移行遅延性能の評価手法に関する検討

地層処分事業におけるニアフィールド岩盤を対象とした核種移行遅延性能の評価手法は、調査段階毎に構築および更新される地質環境モデルとその不確実性や、評価結果の反映先を考慮して設定されると考えられる。そのため、それらに対して柔軟に対応できるように、複数の評価手法をオプションとして準備しておくことが肝要であると考える。上記のことを踏まえ本研究では、調査の進展に応じて構築される地質環境モデルとその不確実性に柔軟に対応できる評価手法の整備に資することを目的として、ニアフィールド岩盤を対象とした核種移行遅延性能を簡略的かつ定量的に評価する手法を検討した。次に、検討した評価手法の適用例を示すために、超深地層研究所計画の地表からの調査段階において取得された調査データを活用した核種移行解析を試行した。そして、地質環境モデルの不確実性が評価結果に与える影響を考察するとともに、地質環境調査へのフィードバックを示した。

JAEA-Research 2012-038 2013
柴田雅博、澤田淳、舘幸男、他

概要調査段階における設計・性能評価手法の高度化 —NUMO–JAEA共同研究報告書(2011年度)—(共同研究)

原子力機構(JAEA)と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて、原子力機構が蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定するとともに、必要な開発課題と今後の計画を明らかにすることを目的として、2011年度に共同研究を実施した。実施テーマと概要は以下の通り。(1)対象母岩の選定に関する検討:母岩特性のうち水理に着目し、母岩特性を評価するための項目、および地下水移行時間の評価手法について、地質環境の調査・評価と関連付けた上で整理した。(2)シナリオの構築に関する検討:シナリオ構築手順を具体化するとともに、ガラス固化体の溶解と核種の浸出、オーバーパックの腐食、緩衝材の長期変遷について、現象理解に関する最新の知見を構造的に整理した。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討:緩衝材の分配係数と拡散係数、母岩の分配係数を対象として、パラメータ設定の方法論を検討し、その方法論に従った試行を行った。(4)知識情報の品質確保に関する検討:知識情報の品質を確保するための考え方や手法を、(2)シナリオの構築で検討した状態設定に対する論拠に関する情報を例として検討した。

JAEA-Research 2012-032 2012
A. Kitamura, K. Fujiwara, R. Doi, et al.

Update of JAEA-TDB: Additional Selection of Thermodynamic Data for Solid and Gaseous Phases on Nickel, Selenium, Zirconium, Technetium, Thorium, Uranium, Neptunium Plutonium and Americium, Update of Thermodynamic Data on Iodine, and Some Modifications

高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)について、ニッケル、セレン、ジルコニウム、テクネチウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウムおよびアメリシウムの固相および気相に関する熱力学データを追加選定した。選定した熱力学データは、経済協力開発機構原子力機関(OECD⁄NEA)による熱化学データベースプロジェクトで採用されたGibbs標準自由エネルギーの加減算によって得られた平衡定数である。併せて、熱力学データベースの信頼性向上のために、ヨウ素の熱力学データの収集および更新、テクネチウム(W)の親化学種の変更、およびセレンの熱力学データの追加を行った。このJAEA-TDBのテキストファイルとして、PHREEQC、EQ3⁄6、Geochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。これらのテキストファイルは、本報告書付属のCD-ROMに収納されるとともに、インターネット(http:⁄⁄migrationdb.jaea.go.jp⁄)でも公開され利用できるようになる予定である。

JAEA-Data⁄Code 2012-006 2012

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地質環境特性調査・評価手法に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
下茂道人、熊本創、露口耕治、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究)研究坑道掘削に伴う地下水流動場及び地下水水質の変化を考慮した地下水流動のモデル化・解析(2009年度)

本研究では、超深地層研究所計画における地下水流動場の把握を目的とした水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析技術の高度化に関する研究開発の一環として、サイトスケール(研究所用地周辺を含む2km四方の領域)に着目し、それを包含するローカルスケール(研究所用地周辺を含む約9km四方の領域)を対象とした水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析を実施した。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場に影響を与える水理地質構造の推定及び深度1,000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道掘削時のグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。さらに、研究坑道掘削が地下水の水質分布に与える影響の程度を把握することができた。

JAEA-Research 2012-043 2013
窪島光志、石橋正祐紀、笹尾英嗣、他

超深地層研究所計画 地質・地質構造に関する調査研究 —深度300mまでの地質・地質構造—

日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を岐阜県瑞浪市において進めている。本計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」および「深地層における工学技術の基盤の整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標として定め、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画である。現在は、第2段階および第3段階における調査研究を進めている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築および研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書は、今後の調査研究に資するため、第2段階における地質・地質構造の調査研究結果に基づき、深度300mまでに認められた地質・地質構造を取りまとめた。また、本取りまとめ結果は、第2段階で更新された地質構造モデルに反映した。

JAEA-Research 2012-037 2013
田上雅彦、山田泰広、山下佳彦、他

地質構造発達プロセスに基づく地質モデリング技術の開発(共同研究)

瑞浪超深地層研究所の周辺には北西-南東走向の断層が発達しており、これらの断層が地下水流動に影響を与えていることがわかっている。これらの断層は、研究所北側をほぼ東西に走る月吉断層の右横ずれ運動に伴って形成されたプルアパート構造に関連したものである可能性が指摘されているが、これらの断層の過去の活動履歴やその分布については、十分に明らかにされていない。本共同研究では、瑞浪超深地層研究所で確認されている地質構造を事例として、アナログモデル実験ならびに数値シミュレーションを用いた地質構造の再現を試みた。まず、瑞浪超深地層研究所内およびその周辺において確認されている断層や剪断割れ目について古応力解析を実施し、運動像と形成時期を推定した。その結果と既往の研究をふまえて地質構造発達史を整理した。次に、現状の地質構造を再現するためのアナログモデル実験及び数値シミュレーションを実施した。再現された断層の配列・分布・発達密度といった三次元的な幾何特徴を現状の地質構造モデルと対比し、未調査地域における地質構造の発達状況を考察した。

JAEA-Research 2012-036 2013
常盤哲也、杉本慎吾

GPS観測データを用いた東北沖太平洋地震前後における北海道北部の地殻変動解析

本研究は、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による北海道北部地域の地殻変動を把握することを目的とし、原子力機構および国土地理院で取得したGPS観測データ(2010年10月1日から2011年5月31日)を基にして、地震発生時付近の地殻変動に関する解析を行った。その結果、地震発生前後の地殻変動は、北北西–南南東方向で変位し、その大きさは西側ほど大きい傾向が認められた。つまり幌延町周辺を固定点とした場合、東側は北側へ、西側は南側へ変位していることが分かった。観測期間が半年という短い期間であるが、この傾向はほぼ東西圧縮場である従来の地殻変動と異なる結果である。

JAEA-Data⁄Code 2012-033 2013
稲垣大介、常盤哲也、村上裕晃

幌延深地層研究計画 平成23年度地下施設計測データ集

日本原子力研究開発機構は、幌延深地層研究計画に基づき、地下施設の建設とともに第2段階の調査研究を実施している。本調査研究では、計測データを当該切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを適用しており、掘削ごとに岩相および割れ目などの壁面観察や、簡易弾性波探査・シュミットハンマー反発度試験・エコーチップ硬さ試験および点載荷試験等の原位置試験を行い、特定断面では地中変位測定・ロックボルト軸力測定・吹付コンクリート応力測定および覆工コンクリート応力測定等のデータを取得している。また、第1段階で実施した地下施設の坑道掘削に伴う湧水量の予測解析結果の妥当性を確認することを目的として、掘削工事の進行に伴う湧水量や水質の変化に関するデータを取得した。本報告書は、2011年度(平成23年度)に実施した換気立坑、東立坑、250m水平坑道で得られた調査・計測データをとりまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-029 2013
川本康司、窪島光志、石橋正祐紀、他

超深地層研究所計画 瑞浪超深地層研究所 深度300m〜500mの研究坑道の壁面地質調査データ集

本データ集は、2008年度から2011年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の深度300mから深度500mまでの研究坑道において実施した壁面地質調査の結果を取りまとめたものである。調査の結果、主立坑および換気立坑とも後期白亜紀の土岐花崗岩が分布するが、部分的にペグマタイトやアプライト、ランプロファイアー岩脈が分布する。

JAEA-Data⁄Code 2012-025 2013
西尾和久、島田顕臣

「平成24年度 東濃地科学センター 地層科学研究 情報・意見交換会」資料集

日本原子力研究開発機構 東濃地科学センターにおいては、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(以下、地層科学研究)を実施している。地層科学研究を適正かつ効率的に進めていくため、研究開発の状況や成果、さらに今後の研究開発の方向性について、大学、研究機関、企業の研究者・技術者等に広く紹介し、情報・意見交換を行うことを目的とした「情報・意見交換会」を毎年開催している。本報告書は、平成24年11月14日に岐阜県瑞浪市で開催した「平成24年度 東濃地科学センター 地層科学研究 情報・意見交換会」で用いた発表資料を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2012-049 2013
松岡稔幸、程塚保行、山田信人

研究坑道の掘削工事振動を利用した逆VSP探査

日本原子力研究開発機構東濃地科学研究ユニットが進めている超深地層研究所計画の第2段階の調査研究の一環として、地下構造物周辺の地質構造を三次元的に把握する技術の整備を目的とした、瑞浪超深地層研究所の研究坑道の掘削工事に伴う振動を利用した逆VSP探査を実施している。本報告書では、取得した坑道の掘削工事に伴う振動を利用した逆VSP探査データに対して、複数の手法によるデータ処理・解析を適用し、本探査手法の適用性について検討した。その結果、適用した複数のデータ処理・解析手法(VSP-CDP変換、VSPマイグレーション、IP変換法、地震波干渉法)から、研究坑道周辺における堆積岩と花崗岩の不整合面などの水平方向に分布する地質構造や高角度傾斜の断層を抽出することができた。地下構造物周辺の地質構造を三次元的に把握する上では、坑道の掘削工事に伴う様々な振動を利用し、複数のデータ処理・解析手法を適用することが効果的であることが示された。

JAEA-Research 2012-028 2012
中山雅、澤田純之、佐藤治夫、他

幌延深地層研究計画における低アルカリ性セメント系材料の適用性 —250m調査坑道における原位置吹付け施工試験—

高レベル放射性廃棄物の処分施設は、地下300m以深に建設されることから、坑道の空洞安定性確保や周辺岩盤のゆるみ領域の抑制、掘削に伴う湧水量の抑制のため、セメント系材料を用いた吹付けやグラウトが必要となる。従来の地下構造物に一般的によく用いられるセメント系材料として、普通ポルトランドセメント(以下、OPC)がある。このセメントはセメント硬化体の細孔溶液中に含まれるアルカリ成分により、pHが12〜13程度の高アルカリ性を呈する。地層処分施設においては、上記の高アルカリ成分が地下水に溶出した場合、緩衝材を構成するベントナイトや周辺の岩盤を変質させ、人工バリアおよび天然バリアとしての性能に影響を与えることが懸念されている。このような影響を低減するために、幌延深地層研究計画においては、低アルカリ性セメント(以下、HFSC)を開発し、化学的特性、機械的特性、施工性、鉄筋の耐腐食性などについて検討を実施してきた。HFSCはポゾラン反応により、浸出液のpHの低減を指向しており、OPCにポゾラン材料であるシリカフュームおよびフライアッシュを混合したセメント系材料である。これまで、幌延の地下施設の140m調査坑道において、吹付け施工試験を実施し、施工性を確認した。本報告においては、250m調査坑道において実施した同様の施工試験について報告する。その結果、HFSCは良好な施工性を示し、地下坑道への適用性が確認された。

JAEA-Research 2012-023 2012
安藤賢一、田中達也、橋本秀爾、他

岩盤中の透水性構造分布に着目した水理地質構造モデルの構築手法の検討(岩盤の水理に関する調査研究)

本研究では、超深地層研究所計画の第1段階や広域地下水流動研究におけるボーリング調査結果を用いて、土岐花崗岩中の透水性構造分布に起因する水理学的な不均質性を考慮したブロックスケールの水理地質構造モデルを構築した。また、構築したブロックスケールの水理地質構造モデルに基づき、モデル化領域を対象とした等価な水理特性を算出し、既往の単孔式水理試験結果との比較することで算出した等価な水理特性の妥当性を確認した。

JAEA-Research 2012-022 2012
石橋正祐紀、栗原新、松岡稔幸、他

超深地層研究所計画におけるサイトスケール地質構造モデルの構築 —第2段階におけるShaft180からStage300地質構造モデルへの更新—

本報告書では、超深地層研究所計画の第2段階において実施してきている、地質構造モデルの変遷について整理した結果を取りまとめた。第2段階においては、研究坑道の掘削に伴う研究坑道の壁面地質調査結果や研究坑道から実施したボーリング調査結果などに基づき、第1段階に構築した地質構造モデル(SB3地質構造モデル)の更新を行なっている。現在までに、Shaft180地質構造モデル、Pilot500地質構造モデル、Substage200地質構造モデル、Stage300地質構造モデルと4回の更新を実施してきている。地質構造モデルは、各段階の調査データを基に更新した地質・地質構造の空間分布を示しているため、前段階に構築した地質構造モデルと比較することで、調査の進展に伴う地質・地質構造の分布、情報の過不足、不確実性の変遷を総合的に評価する上で有効である。

JAEA-Research 2012-018 2012
小坂寛、三枝博光、栗原新、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究) サイトスケールの地下水流動解析及び粒子追跡解析

深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として進めている、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画では、第1段階(地表からの調査予測研究段階)、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)及び第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の3段階に区分して、繰り返しアプローチに基づく調査研究を実施している。本研究では、調査の進展に伴う情報量の増加に応じた、地下水の流速分布及び移行特性の変化を把握すること、及び不連続構造分布の地質学的解釈の違いや岩盤の水理的不均質性の有無が、地下水流動特性に与える影響を評価することを目的として、第1段階及び第2段階において構築された地質構造モデル及び水理地質構造モデルに基づき、地下水流動解析及び粒子追跡解析を実施した。結果として、調査の進展に伴う情報量の増加により、地下水の流速分布及び移行特性の不確実性が低減されたことを確認した。また、不連続構造分布の地質学的解釈の違い及び岩盤の水理的不均質性の有無が地下水流動特性に与える影響を確認した。これらの結果に基づき、次期調査に向けてターゲットとなる不確実性要因の特定及びターゲットに対する調査方法を提案した。

JAEA-Research 2012-012 2012
大丸修二、竹内竜史、尾上博則

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究) 主立坑断層を対象とした水理学的調査

日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究の一環として、結晶質岩を対象とした超深地層研究所計画を進めており、現在は、第2段階および第3段階における調査研究を進めている。第2段階における調査研究の一環として、第1段階において構築した地質構造モデル、水理地質構造モデル及び地下水の地球化学概念モデルの妥当性の確認と更新を目的として、2010年度に瑞浪超深地層研究所の深度300m研究アクセス坑道100m計測横坑においてボーリング調査を実施した。主立坑断層を対象としたボーリング調査のうち、長期揚水試験の結果では、主立坑断層を境として水圧応答の傾向が大きく異なることが確認され、主立坑断層がその直交方向に対して低透水性であり、水理学的な境界を形成する地質構造であることが確認された。単孔式水理試験の結果では、母岩の変質を伴う割れ目帯において、9.4E-7m⁄sから3.8E-11m⁄sの透水係数を確認した。今回の結果から、母岩の変質を伴う割れ目帯は、透水係数が土岐花崗岩の上部割れ目帯の平均的な値である1E-7m⁄sオーダーの区間と、それよりも4オーダー程度低い主立坑断層近傍の区間に分類されることが分かった。

JAEA-Research 2012-008 2012
徳安真吾、松岡稔幸、程塚保行

自然電位測定を用いた瑞浪超深地層研究所周辺の水理地質構造の推定に関する研究

本研究では、深度300m研究アクセス坑道掘削前の先行ボーリング時に1,000L⁄min以上の湧水が発生した2008年10月の自然電位測定結果について、ノイズ除去に有効なデータ処理方法の検討および、処理後の自然電位測定結果から水理地質構造の推定を行った。次に、立坑排水の一時的な停止による立坑内水位上昇後の、立坑内の地下水排水作業期間である2006年3月から4月に実施した既存の自然電位測定結果について、今回検討したデータ処理を適用し、水理地質構造の推定を行った。これらを総合して、自然電位測定の地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布の推定への適用性について評価を行った。その結果、ノイズ除去に有効なデータ処理方法を示すとともに、このデータ処理によって研究坑道の掘削に伴う地下水流動に起因する自然電位変化を抽出し、地下水流動を規制する断層や割れ目帯の分布を推定することができた。

JAEA-Research 2012-007 2012
下茂道人、熊本創、小坂寛、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究) 研究坑道掘削に伴う地下水流動場及び地下水水質の変化を考慮した地下水流動のモデル化・解析(2008年度)

本研究では、超深地層研究所計画における地下水流動場の把握を目的とした水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析技術の高度化に関する研究開発の一環として、ローカルスケール(研究所用地周辺を含む約十km四方の領域)を対象とした水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析を実施した。モデル化・解析に用いたデータは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)で得られた調査データ、及び第2段階における研究坑道を深度200mまで掘削時の調査データである。モデル化・解析の結果、研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺の地下水流動場に影響を与える水理地質構造の推定、及び深度1000mまでの研究坑道の掘削に伴う湧水量や周辺地下水位の低下量を予測することができた。また、研究坑道掘削時のグラウトが周辺の地下水流動場の変化に与える影響の程度を解析的に把握することができた。また、研究坑道掘削に伴う地下水の水質分布に与える影響の程度を把握することができた。

JAEA-Research 2012-004 2012
丹野剛男、佐藤稔紀、真田祐幸、他

結晶質岩を対象としたクラックテンソルによる等価連続体モデル化手法に関する研究

日本原子力研究開発機構では、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)の岩盤力学研究の一環として、結晶質岩を対象とし、坑道の掘削に伴って周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価を地上からの調査段階で実施する方法の構築を課題の一つとして設定している。この課題を達成するために、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、割れ目の力学特性やその幾何学的分布が岩盤の変形に支配的な影響を及ぼす結晶質岩について、クラックテンソルモデル(等価連続体モデルの一つ)による研究を進めている。あわせて、クラックテンソルによる相対誤差に基づいたREV(Representative Elementary Volume:代表要素体積、寸法効果を定量的に表現する指標であり、不連続体を等価な連続体とみなして解析・解釈する際の最小体積の意味)の検討を実施し、第3段階における試験計画の策定や、モデル化の際の要素の大きさの設定にREVの検討結果を適用することを試みている。2010年度は、クラックテンソルモデルに基づき、REVの検討を実施した。また、クラックテンソルのトレースと電中研式岩盤等級との関係を調査し、設計時に設定した岩盤等級に基づく物性分布評価の妥当性を検討した。

JAEA-Research 2012-002 2012
小松満、西垣誠、瀬尾昭治、他

土中水分観測手法としての光ファイバー計測技術の開発 (共同研究)

本研究は、地下水流動解析の上部境界条件として必要となる地下水涵養量を土壌に浸透した水分量から求める手法に着目し、その算定手法の体系化と現場で安定して長期間計測可能なシステムの構築を目的として実施した。計測システムの開発においては、多点かつ長距離にわたる計測が可能な光ファイバーの歪計測原理を、サクションによる圧力計測、土中湿度計測、吸水膨張材を適用した体積含水率計測の3方式に適用する場合についてそれぞれ検討した。さらに、浅層における降水の土中への浸透量を直接的に計測する手法として、現地水分量の計測結果から直接浸透量を算定する手法と、不飽和透水係数の値から浸透量を推定する手法について現地に計測機器を設置してその有効性を確認した。

JAEA-Research 2012-001 2012
井尻裕二、納多勝、笹倉剛、他

瑞浪超深地層研究所における工学技術に関する検討(平成20年度) (委託研究)

超深地層研究所計画では、「研究坑道の設計・施工計画技術の開発」、「研究坑道の建設技術の開発」、「研究坑道の施工対策技術の開発」、「安全性を確保する技術の開発」を目的として、工学技術に関する研究を進めている。本研究では、これら4項目の工学技術研究として、深度300mまでの研究坑道の施工によって取得された計測データを用いて、設計の妥当性の検討や施工管理のための計測結果の分析と課題の抽出、地山安定化対策の有効性に関する評価などを行うとともに、研究坑道掘削工事で適用されている技術の抽出と有効性評価を実施し、今後の技術開発の方向性について検討を加えた。

JAEA-Technology 2012-018 2012
常盤哲也、杉本慎吾

北海道北部におけるGPS観測データを用いた地殻変動解析

本研究では、GPS観測データを利用して、幌延地域を含む北海道北部を対象とした地殻変動の特徴を把握するための解析調査を実施した。調査内容は、北海道北部内の33点分のGPS連続観測システムのデータを用いて、2000年10月から2010年10月までの約10年間の観測点座標を算出し、その座標データを用いて、各観測点の変位速度、および、歪速度推定を行った。その結果、本地域は東西に近い圧縮場であり、面積歪速度、最大せん断歪速度はそれぞれ、-70〜-10×10-9と50〜120×10-9strain⁄year であった。

JAEA-Data⁄Code 2012-024 2012
大丸修二、竹内竜史、尾上博則、他

超深地層研究所計画の第2段階における単孔式水理試験結果

超深地層研究所計画の第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)で実施された単孔式水理試験の試験結果(試験区間数:79区間)をデータセットとして取りまとめた。データセットには、試験区間深度、区間長、地質・地質構造、試験結果(代表値)、試験手法、解析方法などの情報を一覧表で示した。

JAEA-Data⁄Code 2012-020 2012
稲垣大介、澤田純之、常盤哲也、他

幌延深地層研究計画 平成22年度地下施設計測データ集

幌延深地層研究計画では、換気立坑、東立坑および140m、250m水平坑道の掘削とともに、第2段階の調査研究を実施している。本調査研究では、計測データを当該切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを実施しており、毎掘削断面において、岩相および割れ目などの壁面観察や、簡易弾性波探査・シュミットハンマー反発度試験・エコーチップ硬さ試験および点載荷試験等の原位置試験を行い、特定断面では地中変位測定・ロックボルト軸力測定・吹付けコンクリート応力測定および覆工コンクリート応力測定等のデータを取得している。また、第1段階で実施した地下施設の坑道掘削に伴う湧水量の予測解析結果の妥当性を確認することを目的とし、掘削工事の進行に伴う湧水量や水質の変化に関するデータを取得した。本報告書は、2010年度(平成22年度)に実施した東立坑(GL-210mから-250mまで)、ならびに250m水平坑道で得られた調査・計測データをとりまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-019 2012
武田匡樹、竹内竜史

超深地層研究所計画における表層水理観測データ集 —2009年度—

東濃地科学研究ユニットでは、超深地層研究所計画の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得すること、および研究坑道掘削に伴う浅層の地下水環境の変化を把握することを目的として、表層水理観測を実施している。本観測では降水量、蒸発散量算出のための気象要素、河川流量、地下水位および土壌水分を正馬川流域、正馬川上流域、正馬川モデル流域および瑞浪超深地層研究所用地で観測している。本報告では、2009年度の正馬川流域、正馬川モデル流域および瑞浪超深地層研究所用地で得られた気象要素、降水量、河川流量、地下水位および土壌水分について、欠測や異常値を示すデータに対して補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」として取りまとめ、DVD-ROM化した。

JAEA-Data⁄Code 2012-016 2012
武田匡樹、竹内竜史

広域地下水流動研究における表層水理観測データ集 —2009年度—

東濃地科学研究ユニットでは、広域地下水流動研究の一環として、地下水流動解析における上部境界条件を与える岩盤浸透量を水収支解析によって算出すること、および水理地質構造モデルのキャリブレーションに必要なデータを取得することを目的として、表層水理観測を実施している。本観測では降水量、河川流量を柄石川流域および日吉川流域で観測している。本報告では、2009年度の表層水理観測で得られた降水量、河川流量について、欠測や異常値を示すデータの補正・補完を行うとともに、補正・補完前後のデータを取りまとめた。また、補正・補完前のデータを「観測データセット」、補正・補完後のデータを「補正・補完データセット」として取りまとめ、DVD-ROM化した。

JAEA-Data⁄Code 2012-015 2012
國丸貴紀、森川佳太、久野義夫、他

花崗岩試料を用いた収着・拡散試験および間隙率測定

物質移動に関する調査研究では、第3段階の調査研究として、研究坑道周辺の数10m〜100m程度のブロックスケールを対象に、物質移動に関する現象の把握、物質移動特性の取得、物質移動モデルの構築・更新に必要な調査・評価技術を体系的に整備することを目標としている。本試験は、上記の一環として、割れ目の特徴と物質移動特性の関係を把握することを目的に、深度300m研究アクセス坑道において掘削したボーリング孔から採取したコアを利用して花崗岩中の拡散試験、粉砕花崗岩への収着試験、水飽和法および水銀圧入法による間隙率測定を実施した。本報告では、これらの試験結果を取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-013 2012
川本康司、窪島光志、石橋正祐紀、他

超深地層研究所計画 瑞浪超深地層研究所 研究坑道の壁面調査データ集

本データ集は、2004年度から2008年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の深度300mまでの研究坑道において実施した壁面調査の結果を取りまとめたものである。研究坑道では、浅部から深部に向かって、瑞浪層群の明世累層(戸狩部層、月吉部層)、本郷累層、土岐夾炭累層と、深度約166m〜168m付近の不整合面を境として土岐花崗岩が分布する。

JAEA-Data⁄Code 2012-009 2012
上野孝志、徳安真吾、川本康司、他

超深地層研究所計画 瑞浪超深地層研究所 研究坑道におけるボーリングデータ集

本データ集は、2005年度から2011年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の研究坑道において実施した23本のボーリング調査の掘削仕様各種データの取得結果を取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-008 2012
萩原大樹、新宮信也、栗田和昭、他

MSB-2号孔・MSB-4号孔における地下水の間隙水圧および水質観測(2010年4月〜2011年3月)

日本原子力研究開発機構は、岐阜県瑞浪市に建設中の瑞浪超深地層研究所において、研究坑道掘削による地下水水質への影響把握を目的とした調査研究を進めている。その一環として、研究所用地内において掘削した浅層ボーリング孔(MSB-2号孔およびMSB-4号孔)に多区間間隙水圧モニタリングシステム(MPシステム)を設置して、地下水採水・水質分析および間隙水圧・水温測定を2003年度から月1回の頻度で実施している。これまでの観測結果から、研究坑道の掘削に伴い、両観測孔において間隙水圧低下と水質変化が生じていることを確認している。本報告書では、2010年度のMSB-2号孔およびMSB-4号孔における地下水採水・水質分析および間隙水圧・水温測定結果を示した。また、合わせて、広域地下水流動研究においてDH-2号孔で実施している地下水採水・水質分析および間隙水圧・水温測定の結果を付した。

JAEA-Data⁄Code 2012-005 2012
水野崇、岩月輝希、天野由記、他

MSB-2号孔・MSB-4号孔における地下水の間隙水圧および水質観測(2004年4月〜2006年3月)

研究所用地内の地表から掘削したボーリング孔(MSB-2号孔およびMSB-4号孔)にMPシステム(Westbay instruments 社製)を設置して、地下水の間隙水圧測定および水質観測を2003年度から月1回の頻度で実施している。本報告書では、2004年度および2005年度に両孔において取得された地下水の間隙水圧および水質データを共有し、散逸を防止することを目的としてとりまとめた。なお、本報告書内において使用したデータについては、電子ファイルとしてCD-ROMに収録した。

JAEA-Data⁄Code 2012-004 2012
新宮信也、萩原大樹、増田薫、他

超深地層研究所計画における地下水の地球化学に関する調査研究 —瑞浪層群・土岐花崗岩の地下水の地球化学特性データ集—(2010年度)

日本原子力研究開発機構は岐阜県瑞浪市で進めている超深地層研究所計画において、研究坑道の掘削が周辺の地下水の地球化学特性に与える影響を把握することを目的とした調査研究を行っている。本データ集は、超深地層研究所計画において、2010年度に実施した地下水の採水調査によって得られた地球化学データを取りまとめたものである。また、データのトレーサビリティーを確保するため、試料採取場所、試料採取時間、採取方法および分析方法などを示し、あわせてデータの品質管理方法について示した。

JAEA-Data⁄Code 2012-003 2012
狩野智之、竹内竜史

超深地層研究所計画における地下水の水圧長期モニタリング(2010年度)

超深地層研究所計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階における調査研究を進めている。本研究では、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤整備」および「深地層における工学技術の基盤整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標としている。そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築および研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を目標としており、その一環として、地下水の水圧長期モニタリングを実施している。本報告書は、2010年度に実施した地下水の水圧長期モニタリングデータを取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-002 2012
狩野智之、竹内竜史

広域地下水流動研究における地下水の水圧長期モニタリング(2010年度)

広域地下水流動研究は、広域における地表から地下深部までの地質・地質構造、岩盤の水理や地下水の水質を明らかにするために必要な調査・解析技術などを開発することを目標として、1992年度より調査研究を開始し、2004年度末をもって主な現場調査を終了した。2005年度からは、土岐花崗岩における水理学的・地球化学的な基礎情報の取得および地下水流動解析結果の妥当性確認のためのデータ取得を目的として、既存の観測設備を用いた表層水理観測および既存のボーリング孔を用いた地下水の水圧長期モニタリングを継続している。本報告書は、2010年度に実施した地下水の水圧長期モニタリングデータを取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-001 2012
長谷川健、國友孝洋、橋詰茂、他

超深地層研究所計画の工学技術へのACROSSの応用に関する検討 —最終報告書—

陸域地下構造フロンティア研究プロジェクトの一環として研究開発されたアクロスは地震研究をその目的としていたが、そこで培われた技術(信号の送受信技術ならびにデータの解析技術)は非常に汎用性に富むものであり、超深地層研究所計画における工学技術の一環として、「研究坑道周辺の地質環境の時間的変化の把握」や「コンクリートライニングの健全性の評価」に利用可能かどうかについて2007年度から3年間を目途に検討を進めた。その結果、研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術としてのアクロスの適用性を検討するためには、さらに2年程度の観測データの蓄積が必要であることが明らかになった。本最終報告書では、弾性波アクロスについては2011年12月末まで、電磁アクロスについては2011年9月中旬までの観測で得られたデータに基づき、研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術としてのアクロスの適用性について検討した。その結果、弾性波アクロスは研究坑道周辺の地質環境の時間的変化を把握するための技術として利用できる可能性が高いが、電磁アクロスについては利用可能性が低いとの結論を得た。

JAEA-Evaluation 2012-001 2012
中山雅、天野健治、常盤哲也、他

幌延深地層研究計画 平成23年度調査研究成果報告

幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施されている。平成23年度は、「幌延深地層研究計画平成23年度調査研究計画」に従って、調査研究および地下施設の建設を継続した。研究開発は従来通り、「地層科学研究」と「地層処分研究開発」に区分して実施した。具体的には、「地層科学研究」では、地質環境調査技術開発、地質環境モニタリング技術開発、深地層における工学的技術の基礎の開発、地質環境の長期安定性に関する研究、という研究課題を設定し、「地層処分研究開発」では、人工バリアなどの工学技術の検証、設計手法の適用性確認、安全評価モデルの高度化および安全評価手法の適用性確認、という研究課題を設定している。本報告書はそれらを取りまとめたものである。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。

JAEA-Review 2012-035 2012
國丸貴紀、見掛信一郎、西尾和久、他

超深地層研究所計画 年度計画書(2012年度)

日本原子力研究開発機構東濃地科学研究センターでは、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。2012年度は、第2段階および第3段階の調査研究を進めていく。本計画書は、2010年に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づいた2012年度の超深地層研究所計画の調査研究計画、施設建設計画、共同研究計画などを示したものである。

JAEA-Review 2012-028 2012
中山雅、澤田純之

幌延深地層研究計画 平成24年度調査研究計画

本計画は、原子力機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している。原子力機構の第2期中期計画では高レベル放射性廃棄物の処分技術に関する研究開発について、「「地層処分研究開発」と「深地層の科学的研究」の2つの領域において、他の研究開発機関と連携して研究開発を進め、地層処分の安全確保の考え方や評価にかかわる様々な論拠を支える「知識ベース」を充実させる」こととしている。本計画では、深地層の科学的研究として、「深地層環境の深度(地下350m程度)まで坑道を掘削しながら調査研究を実施し」、「地上からの精密調査の段階に必要となる技術基盤を整備し、実施主体や安全規制機関に提供する」計画である。また、地層処分研究開発として、「深地層の研究施設等を活用して、実際の地質環境条件を考慮した現実的な処分概念の構築手法や総合的な安全評価手法を整備する」こととしている。さらに、「業務の合理化・効率化の観点から、幌延深地層研究計画にかかわる研究坑道の整備等に民間活力の導入を図る」こととしている。本計画は、全体で20年程度とし「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」に分けて実施することとしている。平成24年度は、地下施設の建設および第2段階および第3段階の調査研究を継続する。

JAEA-Review 2012-023 2012
國丸貴紀、見掛信一郎、西尾和久、他

超深地層研究所計画 年度報告書(2010年度)

日本原子力研究開発機構東濃地科学研究センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2010年度は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めるとともに、第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の調査研究を開始した。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」および第3段階(研究坑道を利用した研究段階)における2010年度に実施した1)調査研究、2)施設建設、3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2012-020 2012
丹野剛男、引間亮一、真田祐幸、他

超深地層研究所計画における岩盤力学に関する調査研究 年度報告書(2010年度)

超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で実施している結晶質岩における深地層の研究施設の建設を伴う研究プロジェクトである。本研究プロジェクトは、地表からの調査予測研究段階(第1段階)、研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)、研究坑道を利用した研究段階(第3段階)の3段階からなる。本報告は、2010年度に実施した以下の岩盤力学に関する調査研究項目の概要をまとめたものである。1.深度300m地点におけるボーリングコアを用いた初期応力測定 2.換気立坑の掘削ずりを用いた岩盤物性評価 3.岩盤力学モデルの構築 4.クラックテンソルによる等価連続体モデルに関する検討 5.結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための現象論的研究 6.結晶質岩における長期岩盤挙動評価のための理論的研究 7.第3段階における原位置試験計画策定のための海外調査事例の整理 8.掘削体積比エネルギーを用いた原位置岩盤物性評価に関する研究 9.種々の計測結果に基づく深部岩盤中の応力場評価に関する基礎的研究

JAEA-Review 2012-017 2012

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地質環境の長期的安定性に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
高取亮一、安江健一、谷川晋一、他

日本列島における環流旧河谷分布データベースの作成

日本原子力研究開発機構では、河成段丘の発達に乏しい内陸山地部における第四紀後期の隆起量を推定するために、山地部を流下する穿入蛇行河川において蛇行切断により取り残された旧河谷地形(環流旧河谷)を用いた隆起速度の推定手法の研究開発を進めている。本報告は、その基礎資料とする目的で、日本列島全域を対象とした2万5千分の1地形図の判読によって約1,000箇所に及ぶ環流旧河谷地形を抽出し、GISで利用可能なデータベースを作成したものである。データベース作成に際しては、還流旧河谷の位置、開析程度、比高、基盤地質などについて整理を行った。抽出の結果、日本列島全域にわたって環流旧河谷の分布が認められ、従来隆起速度が未知の山地部において、同一の地域・水系において様々な比高を持つ環流旧河谷が分布することを確認した。また、現河床からの比高が高い環流旧河谷ほど離水時河床面の開析が進んでいる傾向が認められ、開析が進んでいる環流旧河谷ほど離水時期が古い可能性が示唆される。

JAEA-Data⁄Code 2012-028 2013
浅森浩一、丹羽正和、花室孝広、他

地質環境の長期安定性に関する研究 年度報告書 (平成23年度)

本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第2期中期計画期間(平成22年度〜平成26年度)の2年目である平成23年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第2期中期計画期間においても第1期中期計画に引き続き、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めている。本報では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果および今後の課題などについて述べる。

JAEA-Research 2012-024 2012
市川康明、丹野剛男、引間亮一、他

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究(2010年度) (委託研究)

岩盤は断層や節理などの様々なスケールの不連続面群と鉱物を非均質に内包した複合材料であり、結晶質岩についてミクロな視点で岩石をみると、個々の結晶粒子と粒界および粒子内における微視亀裂の集合体である。結晶質岩の変形・破壊に関わる時間依存性挙動を含む力学的な挙動は、個々の結晶の形状・物性に基づく変形挙動と粒界および鉱物粒子内の微視亀裂の進展による変形挙動に起因している。石英や長石等のケイ酸塩鉱物を主成分とする岩石の破壊と、それに伴う亀裂の進展の機構については、1970年代から力学的要因のみならず化学的要因と結び付けて研究がされている。このように岩盤の長期挙動の研究では、応力と化学反応が連成した現象を理解することが重要である。そこで本研究では、以下の研究を行った。1)非線形破壊力学の解説、2)石英の圧力溶解現象に関する室内実験、3)石英の溶解速度式の導出に関する理論的研究、4)亀裂性岩盤を対象とした均質化理論の構築

JAEA-Research 2012-003 2012
草野友宏、浅森浩一、梅田浩司

日本列島における地下水・温泉ガスのヘリウム同位体比データベースの作成

断層運動や隆起・侵食作用の原因となる地殻変動は、地質環境の長期的な安定性を評価する上で考慮すべき重要な外的要因である。これまでの研究によって地殻変動や火成活動が活発な地域ではマントル起源物質が地表から放出されている事例が数多く報告されている。本稿では代表的なマントル起源物質の一つであるヘリウム同位体に着目して、これらと地殻変動や火成活動の関連性を定量的に検討するための基盤情報として、国内においてこれまでに測定された地下水・温泉ガスのヘリウム同位体比を取りまとめたデータベースを作成した。このデータベースは、地下水井や温泉井から採取された遊離ガスおよび溶存ガスの希ガス同位体および主成分化学組成などについて、108件の学術論文などにより公表されている1728件のデータを取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2012-017 2012
浅森浩一、丹羽正和、花室孝広、他

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(平成24年度)

本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に関する研究についての第2期中期計画期間(平成22年度〜平成26年度)における平成24年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画−第2期中期計画に基づき、第1期中期計画期間(平成17年度〜平成21年度)における研究成果、平成22年度及び平成23年度の研究成果、関係研究機関の動向や大学などで行われている最新の研究成果、実施主体や規制機関からのニーズなどを考慮しつつ策定した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進していく。

JAEA-Review 2012-024 2012

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