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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発

全項共通

著者 タイトル(クリックで要旨) 投稿、発表先 発表年
梅木博之、日置一雅、大澤英昭、他

地層処分研究開発成果とりまとめ:CoolPep H22

独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下、JAEA)は、国が示した中期目標や関連する計画・方針に従って定めたJAEAの中期計画(平成17年10月1日〜平成22年3月31日)に基づき、平成21年度までに進めてきた地層処分の研究開発の成果を取りまとめたCoolRepH22を作成し、平成22年3月に地層処分研究開発部門ホームページ上で公開した。本稿では、これまでにJAEA地層処分研究開発部門のホームページで公開したCoolRepH22の内容を示す。

JAEA-Review 2010-073 2011
M. Yui, H. Ishikawa, A. Watanabe, et al.

Information Basis for Developing Comprehensive Waste Management System —US–Japan Joint Nuclear Energy Action Plan Waste Management Working Group Phase I Report— (Joint Research)

本報告書は日米原子力エネルギー共同行動計画廃棄物管理ワーキンググループのフェーズIの活動をまとめたものである。このワーキンググループでは、日米両国間の既存の技術基盤を集約するとともに、今後の協力内容を共同で策定することに主眼を置いている。第一に、両国における核燃料サイクルに関する政策的および規制の枠組みを概観するとともに、様々な先進燃料サイクルシナリオの調査を行い、これらを取りまとめた。第二に、廃棄物管理および処分システムの最適化について議論を行った。さまざまな区分の廃棄物を対象とした処分システム概念のレビューを行うとともに、最適化において検討すべき要因について議論を行った。これらの作業を通じ、最適化に関する潜在的な協力可能分野と活動の抽出を行った。

JAEA-Research 2010-015 2010
地層処分研究開発部門

平成21年度 研究開発・評価報告書 評価課題「地層処分技術に関する研究開発」 (中間評価)

独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年10月31日内閣総理大臣決定)及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成21年2月17日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定、平成18年1月1日改正、平成21年8月19日改正)等に基づき、平成21年7月3日に「地層処分技術に関する研究開発」に係る中間評価を地層処分研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、地層処分研究開発・評価委員会は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」等に則り事前に定めた評価手法に従い、第1期中期計画期間の研究開発の実施状況及び次期中期計画の見通しについて、研究開発の必要性、有効性、効率性等の観点から評価を行った。その結果、第1期中期計画期間における研究開発の着実な進展や、地層処分技術の信頼性の向上と実用化に向けた成果の重要性等を確認する一方、国民との相互理解の促進や総合的な技術力の維持・強化等の観点から、今後の研究開発を着実に進めていくための提言を行った。

JAEA-Evaluation 2010-001 2010
能登屋信、笹尾英嗣、太田久仁雄、他

地層処分知識マネジメントシステムの開発 —知と技の伝承への挑戦— (会議報告)

地層処分研究開発部門では、平成22年3月末に、第1期中期計画期間(平成17年10月〜22年3月)の研究成果取りまとめ(CoolRep H22)とともに、世界に先駆けて開発した知識マネジメントシステム(KMS)のプロトタイプを機構ホームページ上に公開した。これにより、地層処分に係る知識ベースへのアクセスを通じて、地層処分の安全性を支える論拠や知識を効率的に統合・利用することが可能となり、わが国の地層処分計画の着実な推進を支援するための方策が一段と強化された。このKMSプロトタイプおよびCoolRep H22の概要や活用方法などについて、最新の研究成果なども織り込みながら、より実践的なスタイルで紹介し、地層処分の関係者などから広くご意見をいただくために「地層処分知識マネジメントシステムの開発」に係る報告会を、平成22年6月16日に東京都江東区で開催した。本資料は、その概要を取りまとめたものである。

JAEA-Conf 2010-004 2010

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人工バリア等の信頼性向上に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
T. Fujita, N. Taniguchi, H. Matsui, et al.

Horonobe Underground Research Laboratory Project Synthesis of Phase I Investigation 2001-2005 Volume “Geological Disposal Research”

本報告書では、堆積岩で塩水系地下水を対象とした幌延深地層研究計画において段階的に得られる地質環境条件を一つの適用例として、第1段階である地上からの調査で得られた情報をもとに処分場の設計技術や性能評価技術それぞれの適用性について論じるとともに、必要に応じて実施した技術の改良や代替技術の開発状況を取りまとめた。

JAEA-Research 2011-001 2011
林克彦、岸裕和、小林保之、他

地層処分施設における多連設坑道の設計手法に関する検討(IV)

本検討では、坑道の掘削順序の影響に関する解析的検討、および昨年度の追加として幌延の岩石試験で得られたひずみ軟化データを反映した解析検討を実施した。掘削順序の影響に関する解析的検討では、2次元モデルによる検討の範囲であるが、ある程度離隔を持った坑道掘削を先行して行い、後ほど坑道間の坑道掘削を行う方法が望ましいこと、ただし使用する掘削機械や実施工レイアウトなどを参考に、より現実的かつ詳細な検討が必要であることを示した。またひずみ軟化データを反映した解析検討では、幌延の岩石試験で得られた実測データを参考にしたモデルを適用することで、より信頼性の高いEDZを示すことができた。さらに、既往の多連設坑道の設計手法に関する検討から、設計実務への適用を指向した設計手法の体系化(案)を作成した。

JAEA-Research 2010-059 2011
松本一浩、藤田朝雄

緩衝材の侵入現象モデルの適用性に関する検討(II)

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、緩衝材の物理的安定性に影響を及ぼす事象として、岩盤亀裂内への緩衝材の流出⁄侵入現象が考えられている。本報告では、既往の固相拡散理論に基づく侵入現象モデルの適用性を評価するために、飽和条件の自由膨潤挙動(一次元拡散挙動)の実験を行い、実験と侵入現象モデルの前提となる固相拡散理論との整合性について検証を行った。また、それらの結果に基づいて模擬亀裂内の侵入挙動についても評価を行った。さらに、本検討結果に関して専門家のレビューを踏まえ、今後の課題を明確にした。

JAEA-Research 2010-058 2011
林克彦、野口聡、岸裕和、他

高レベル放射性廃棄物処分施設における坑道支保工に用いるセメント系材料の低減化技術に関する研究 (共同研究)

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において支保工やグラウトに用いられるセメント系材料は、地下水に溶出し高アルカリ環境を生じさせる。このような高アルカリ環境は、緩衝材や埋め戻し材に使用されるベントナイトや周辺岩盤に変質を生じさせ、処分システムの長期的な性能の確保に不確実性を増大させる結果になることが懸念されている。本研究は、セメント系材料の高アルカリ影響に対するセメント量の低減化の観点から、処分システムの長期的な性能に配慮した材料を主体とする支保構造の技術的成立性について、原子力機構および清水建設の双方が所有する知見を最大限に活用し、検討・評価するものである。それに基づき、将来の高レベル放射性廃棄物処分施設への適用に向けた実現可能性について課題を取りまとめた。

JAEA-Research 2010-057 2011
木村誠、九石正美、藤田朝雄、他

緩衝材中の化学影響評価に向けた熱–水–応力–化学連成解析モデルの開発

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、廃棄体定置後から緩衝材が再冠水に至るまでの過渡的な期間にニアフィールドで形成される塩濃縮・析出現象をはじめとする緩衝材中の化学影響に重きを置いた熱–水–応力–化学連成解析モデルの高度化を進めている。本報告では、1)モデルで考慮されている連成事象の理論・法則や制約条件を整理、2)米国で開発が進められている気液二相流を考慮した連成解析コードとの比較解析を通じた解析モデルの適用性を確認、3)これまで実施してきた塩濃縮試験結果を整理とこの試験に対応した解析モデルの適用による検証解析、4)仮想的地質環境におけるニアフィールドのガラス固化体からの崩壊熱の発生や地下水の浸潤に伴うニアフィールドへの本解析モデルの適用、を実施した。これらのことより、開発・高度化を進めているモデルにより崩壊熱の発生に伴う地下水の浸潤過程において、緩衝材内が不飽和状態にある期間内にはオーバーパックと緩衝材の境界で塩類が濃縮・析出し、長期的には濃縮塩類が溶解・逸散するというシナリオに整合する傾向を示すとともに、本モデルの適用性を確認した。

JAEA-Research 2010-034 2010
棚井憲治、菊池広人、中村邦彦、他

ベントナイト系材料の標準的室内試験法構築に向けての試験法の現状調査と試験による検討 —日本原子力研究開発機構⁄電力中央研究所共同研究成果報告— (共同研究)

低レベル放射性廃棄物処分、TRU廃棄物ならびに高レベル放射性廃棄物の地層処分では、施設の構成要素の一つとしてベントナイト系材料が用いられる。ベントナイト系材料に求められている特性としては、低透水性、膨潤性などがあり、ほとんどの場合、室内試験結果により評価されている。ところが、乾燥密度などの指標が同一でも、ベントナイトの室内試験結果には幅があるため、施工時の特性評価には不確実性が存在する。さらに施工時の不確実性は、長期的な特性評価の不確実性を増大させる可能性がある。一方、ベントナイトの室内試験法の中には規格化または標準化されていないものがあり、そのことが、室内試験によるベントナイトの特性評価の不確実性の原因の一つである可能性がある。そのため、標準的なベントナイトの室内試験法の設定が望まれている。そこで、本研究では、ベントナイト系材料の試験で得られる物性値の不確実性の要因分析を実施し、試験における問題点や留意事項を取りまとめた。

JAEA-Research 2010-025 2010

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安全評価手法の高度化に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
佐藤久、安原英明、澤田淳

花崗岩の割裂により作成した引張り亀裂の特性評価

高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価における核種移行評価に際しては、地下水の移行経路にあたる岩盤の間隙中での地下水流速が重要なパラメータのひとつとなる。亀裂性岩盤中の透水特性や物質移行特性を評価するためには、岩盤内に存在する亀裂の評価が重要である。花崗岩は、ほぼ直交する3方向の、俗に“石目”と呼ばれる面に沿った方向に引張り性の亀裂が発達しやすい。この“石目”は、割れやすい方向からrift面、grain面、hardway面と呼ばれている。本研究では、花崗岩中に発達する引張り亀裂の幾何学的特徴を把握することを目的に石目毎の引張り亀裂作成し特性を評価した。その結果、rift面がその他の面よりも表面粗さが小さく、grain面が最も特徴的な標高分布特性を表すことが確認された。また、圧裂試験時に作製したスリットの方向に相関のある亀裂形状の異方性が確認できた。一方、亀裂形状から推定される亀裂開口幅分布に関しては、スリットの方向や石目に特有の傾向は見られなかった。

JAEA-Research 2010-069 2011
M. Ochs, Y. Tachi, C. Ganter, et al

Development of Mechanistic Sorption Model and Treatment of Uncertainties for Ni Sorption on Montmorillonite⁄Bentonite

地層処分性能評価における信頼性の高いパラメータ設定に資するため、原子力機構では、ベントナイト系を対象として、統合された収着・拡散モデル(ISDモデル)及びデータベースの開発を進めている。この現象論的モデル⁄データベース開発の主要な目的は、収着・拡散パラメータの整合的な説明と予測、不確実性評価のためのツールを提供することである。本報告は、Niのモンモリロナイト⁄ベントナイトへの収着を例として、モデル概念や表面化学種の選定を含む熱力学的収着モデルの開発、並びに不確実性の取り扱いに焦点をあてる。熱力学的収着モデルの不確実性の定量化のため、1)最適化手法と統計的手法から計算される熱力学収着モデルパラメータの不確実性、2)収着分配係数のモデル化結果と実測データとの直接的な比較により評価される包括的な誤差の2つの異なった手法を検討、両者の比較を行った。ISDモデル⁄データベース開発におけるモデルの不確実性の定量化法としては、後者の包括的誤差評価が、現時点での最良の手法と評価された。

JAEA-Research 2010-052 2011
Y. Tachi, T. Suyama, M. Ochs, et al.

Development of JAEA Sorption Database (JAEA-SDB) : Update of Data Evaluation Functions and Sorption⁄QA Data

原子力機構では、地層処分性能評価の重要パラメータである緩衝材や岩石中の収着データを集約した収着データベース(JAEA-SDB)の開発を進めている。本報告では、性能評価におけるKd設定のための統合的手法の構築の基礎として、JAEA-SDBの開発と更新の現状について報告する。JAEA-SDBの現状として、データベースの構造、内容、今回拡充した複数のパラメータ依存性の評価手法を含む機能、さらには、操作方法並びに性能評価への適用法などをまとめる。Kdデータと信頼度情報の更新については、Kd設定や現象論モデル開発との関連性に着目して実施し、その結果、JAEA-SDBに含まれるKdデータは約28,540件となり、全体に対して約39%のデータに対して信頼度情報が付与されたこととなる。今回更新されたJAEA-SDBによって、収着データベースから利用可能な関連データ群の速やかな抽出、Kd設定の際に参照すべきデータの適切な選定が、一層の効率性、追跡性、透明性をもって可能となると考えられる。

JAEA-Data⁄Code 2010-031 2011
蛯名貴憲、稲垣学、加藤智子

GoldSimを用いたTRU第2次取りまとめ解析モデルの構築

TRU廃棄物処分技術検討書—第2次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ—(以下、「TRU第2次取りまとめ」という)で実施された安全評価解析では、核種移行解析コードTIGERを用いて人工バリアおよび天然バリアでの核種移行解析について決定論的な解析が実施された。TIGERでの核種移行解析では、人工バリア、母岩および断層の各移行経路は個別に解析する必要があり、入出力に関する品質管理が課題であった。一方、汎用的シミュレーションソフトウェアGoldSimでは、バリア構成毎やシナリオ毎に特化した解析モデルと、これを用いた評価結果は一元的に管理される。今後、核燃料サイクルの最適化等に伴いTRU廃棄物に関する諸解析の実施が予測される事から、本検討ではGoldSimを用いてTRU第2次取りまとめの解析モデルを構築し、TIGERによる解析結果との比較を行い、本検討で作成された解析モデルの信頼性についての確認を実施した。

JAEA-Data⁄Code 2010-029 2011
T. Suyama, C. Ganter, S. Kunze, et al

Evaluating and Categorizing the Reliability of Distribution Coefficient Values in the Sorption Database (4)

放射性廃棄物の地層処分安全評価において、人工バリアであるベントナイトや天然バリアである岩石中での核種の収着現象は、核種の移行遅延を支配する重要な現象である。日本原子力研究開発機構(JAEA)では、バッチ法収着試験によって得られた収着分配係数を公開文献から抽出・整理して、収着データベース(JAEA-SDB)として整備を進めてきた。将来の性能評価におけるニーズへの対応を念頭に、データベースに含まれるKdデータの信頼度評価、実際の地質環境に対するKd設定におけるデータベース適用に着目して、データベースの改良・更新を継続的に実施してきている。本報告書では、JAEA-SDBに含まれる重要核種(Th, Np, Am, Se, Cs)のKdデータのうち、地質環境に広く存在する凝灰岩系岩石を対象として、これまで報告してきた信頼度評価手法に従って評価を実施した。その結果として、560のKdデータに対して、新たな信頼度情報が付与された。この信頼度評価手法は、収着データベースから利用可能な関連データ群を速やかに抽出し、Kdデータ設定の際に参照すべきデータを適切に選定する上で、有効な手法となると考えられる。

JAEA-Data⁄Code 2010-026 2011
加藤智子、板津透、鈴木祐二

第2期中期計画期間(平成22年度〜平成26年度)における地層処分生物圏評価研究の進め方

地層処分生物圏評価において対象とする期間は非常に長く、処分場からの核種が表層環境に到達する時刻における生物圏の状態を正確に予測し、モデル構築に反映することは困難である。IAEA-TECDOC-1077では、人間の生活様式や、自然事象に起因する気候、地形、植生、帯水層を含む水循環の変化が予測できる期間においては、実際の環境の特徴もしくは予測できる範囲内での変化に基づくモデル構築が可能であるが、期間が遠い将来に及ぶ場合には、様式化された生物圏評価モデルが必要となることを述べている。このような場合、IAEA BIOMASSプロジェクトで提唱された生物圏評価モデル構築のアプローチ(BIOMASS アプローチ)は、生物圏の不確実性への対処の観点からも特に有効な手法となる。このことから、評価対象期間を、人間の生活様式の変化が予測できる期間、自然事象に起因する水循環の変化が予測できる期間、それ以降に区分し、国内外における生物圏評価の考え方や進め方に関する現状把握を踏まえつつ、BIOMASS アプローチ等にしたがって生物圏評価を行う際に重要となると考えられる課題を整理し、当面5ヵ年で原子力機構において重点的に実施する研究項目と具体的な検討の進め方を示した。

JAEA-Review 2010-075 2011
鐵桂一、澤田淳

研削により測定した50cmスケール岩体中の天然亀裂の形状と開口幅の分布に関する研究

本研究では、天然の単一亀裂を含む50cmスケール花崗岩の平面研削を繰り返して得られた岩石内亀裂の画像データを元に、亀裂の開口幅を計測した。開口幅の計測は、ガウジなどの亀裂内の充填物を含まない空隙のみを対象とした。これより、50cmスケールの天然岩石亀裂の亀裂表面間の幅で表される亀裂幅と、開口幅の諸特性値を取得することができた。また、亀裂幅が小さい箇所ほど充填物の比が大きく、開口幅が閉塞しやすい傾向があった。これにより亀裂の開口部によるチャンネル構造は、亀裂幅に比べ局所化することが分かった。

JAEA-Research 2010-041 2010
下茂道人、熊本創、伊藤章、他

亀裂を有する堆積岩の水理・物質移行評価のための試験手法の検討と解析 (共同研究)

高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの性能評価において、天然バリアを構成する岩盤中における水理・物質移行特性を適切に評価することが重要である。本件では岩石基質(マトリクス)部の間隙率が高くかつ亀裂が発達しており、多孔質媒体と亀裂性媒体の双方の特徴を併せ持った性質を有する堆積岩について、亀裂を含む岩石ブロック試料の採取方法の具体的な手順、及び対象とする亀裂の抽出、観察、原位置での試験方法、ブロック試料の固定化方法などについて、具体的な方法を整理した。さらにブロック状の岩石試料の採取前後で実施する原位置試験と、ブロック試料採取後に実施する透水・トレーサー試験の方法を検討した。また堆積岩が分布する広域的なスケールでの地下水流動場の評価検討のために、異なる性質のデータを複合的に用い、順解析と逆解析を組み合わせた水理地質構造モデルの不確実性について検討し、これらのデータの有効性について取りまとめた。

JAEA-Research 2010-040 2010
笹本広、石井智子、佐藤久夫、他

鉄共存下でのベントナイトの変質に関わる実験的研究

高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおいて、オーバーパック(鉄)と緩衝材(ベントナイト)の相互作用による緩衝材変質への影響を評価することが必要である。本研究では、鉄共存下におけるベントナイト(スメクタイト)の変質に関わる現象理解の向上を図るため、鉄–ベントナイト反応に関わる室内試験を行った。試験にあたっては、文献調査により、既往の知見を整理し、変質に影響を与える主要因を抽出し、それらをパラメータとした室内試験を実施した。その結果、懸濁系で顕著な変質が生じる条件、変質生成物として推定される鉱物、懸濁系と圧縮系での変質挙動の違い等が明らかになった。

JAEA-Research 2010-030 2010
川村淳、牧野仁史、笹尾英嗣、他

高レベル放射性廃棄物地層処分に係わる天然現象影響に関する研究

日本原子力研究開発機構は、天然現象についてより現実的な影響評価を実施するための技術を整備しておくことという目的のために、高レベル放射性廃棄物地層処分への天然現象(地震・断層活動、火山・地熱活動、隆起・侵食⁄沈降・堆積および気候・海水準変動)の影響を評価するための作業フレームを整備・高度化した。本報告では、作業フレームに則り、上記に挙げた天然現象に対して地質環境条件と天然現象の特性との関係の定量化および処分環境における性能評価パラメータと地質環境条件との関係の定量化に関する情報整理を実施した。また、天然現象影響に関する研究を対象として、知識マネージメントの検討手法の一つである討論ダイヤグラムを用いた検討を試行し、今後の課題の抽出も試みた。その結果、天然現象とそれに起因する地質環境条件の変化については、既存の現象や現在の地質環境条件をモダンアナログとして用いるとともに地史の情報を組合わせることにより、作業フレームに基づく統一的な情報整理の手法が適用可能であり、より適切なシナリオの選択が可能となる見通しを得た。また、討論ダイヤグラムの試行により、安全評価において重要な天然現象研究や地質環境に関するデータや知見などについて、その過不足も含めて効率的に課題点が抽出できる見通しを得た。

JAEA-Research 2010-027 2010
小田好博、綿引孝宜、佐藤久、他

塩淡境界部における塩濃度分布の移流・分散および密度流解析

高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの評価において、地下水の挙動を適切に把握することは非常に重要である。塩水系地下水の分布を原位置で把握するためには多大な調査が必要となるため、多くは解析コードによって評価されるが、塩水系地下水と淡水系地下水が存在する場合、密度流が発生し、移流・分散と連成させた複雑な解析が必要とされる。この解析コードの検証については、これまでも室内試験との比較を通じて積極的に行われてきたが、室内試験で得られるデータの定量性が低かったために、解析コードの比較・検証も定性的にならざるを得なかった。今回、小型MACRO試験装置を用いた塩水楔試験において、塩淡境界(遷移帯)の塩濃度分布等について定量的データが得られたことから、密度流と移流・分散を連成して解析可能なDtransu2D・ELを用いて解析を行い、比較を行った。その結果、塩水楔の先端位置に関しては比較的良い一致が見られたが、上端位置については過大評価の傾向が見られた。また遷移帯の幅については試験結果では先端側から上端側に向かい大から小になるのに対し、解析では逆に小から大になる傾向が見られた。

JAEA-Research 2010-020 2010
A. Kitamura and Y. Yoshida

Preparation of Text Files of JAEA-TDB for Geochemical Calculation Programs

高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)を整備した。このJAEA-TDBのテキストファイルとして、PHREEQC、EQ3⁄6、Geochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。これらのテキストファイルは、本報告付属のCD-ROMに収納されるとともに、インターネット(http:⁄⁄migrationdb.jaea.go.jp⁄)でも公開され利用できるようになる予定である。

JAEA-Data⁄Code 2010-011 2010

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地質環境特性調査・評価手法に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
K. Ota, H. Abe and T. Kunimaru

Horonobe Underground Research Laboratory Project Synthesis of Phase I Investigations 2001-2005 Volume “Geoscientific Research”

幌延深地層研究計画は、北海道幌延町で進めている堆積岩を対象とした総合的な研究開発計画であり、第1段階「地上からの調査研究段階」における調査研究を2001年3月から2006年3月までの約5年間にわたって実施した。深地層の科学的研究では、幌延町内に主たる調査研究の実施領域である研究所設置地区を選定し、空中および地表からの様々な調査研究の展開を通じて、地区・用地の選定における要件や条件に係る技術的知見を取得するとともに、堆積岩を対象とした地上からの調査・評価技術の整備を図った。また、坑道掘削前の深部地質環境を把握し、地下施設を安全に建設・維持するための設計・施工計画を策定するとともに、第2段階以降における調査研究の課題や方向性を具体化した。本報告書は、第1段階における調査研究によって得られた成果を網羅的に取りまとめたものである。ここで取りまとめた成果は、処分事業と安全規制の両面を支える地層処分技術の知識基盤として有効に活用されるものである。

JAEA-Research 2010-068 2011
H. Saegusa and T. Matsuoka

Final Report on the Surface-based Investigation Phase (Phase I) at the Mizunami Underground Research Laboratory Project

本報告書は、結晶質岩を対象として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で進めている深地層の研究施設計画である超深地層研究所計画における第1段階(地表からの調査予測研究段階)の調査研究成果をまとめたものである。この報告書では、第1段階の目標に対して調査研究の成果を適切に取りまとめるとともに、課題を抽出・整理し、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)以降の調査研究の必要性について言及した。具体的には、結晶質岩(硬岩)を対象とした調査・評価のための方法論を示すともに、重要な調査技術や解析技術を整備した。また、処分事業の基盤技術となる技術的知見やノウハウなどを整理した。さらに、第1段階において残された課題を整理し、第2段階以降の調査研究の必要性を明確化した。ここで取りまとめる成果は、地層処分技術の知識基盤として整備されるばかりでなく、処分事業ならびに安全規制の両面を支える技術基盤の強化を図っていくうえで、有効に活用されるものである。

JAEA-Research 2010-067 2011
中司昇、畑中耕一郎、佐藤治夫、他

地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究 —平成21年度成果報告— (共同研究)

原子力機構と原子力環境整備促進・資金管理センターは、原子力環境整備促進・資金管理センターが受注した「地層処分実規模設備整備事業」の工学技術に関する研究を共同で実施するため、「地層処分実規模設備整備事業における工学技術に関する研究」について共同研究契約を締結した。本共同研究は深地層研究所(仮称)計画に含まれる地層処分研究開発のうち、処分システムの設計・施工技術の開発や安全評価手法の信頼性確認のための研究開発の一環として実施されている。本報告は、上記の共同研究契約に関わる平成21年度の成果についてまとめたものである。平成21年度は、平成20年度に策定した全体計画に基づき、ブロック式緩衝材定置試験設備の一部および人工バリア可視化試験装置を製作した。また、幌延深地層研究センターのPR施設(ゆめ地創館)の隣接地において、試験および展示を行うための設備建屋を建設し、仮設建屋に展示していた実物大の緩衝材ブロックおよびオーバーパックを移設した。

JAEA-Research 2010-060 2011
中安昭夫、新里忠史、安江健一、他

沿岸域における自然現象を把握するための調査・解析手法に係る既存情報の収集・整理

本研究では、隆起速度、沈降速度、侵食速度、堆積速度、気候・海水準変動に係る調査・解析手法、並びに酸素同位対比曲線・海水準変動曲線の作成手法に関する既存情報を収集・整理し、それら手法の適用条件を整理することにより、沿岸域における自然現象の調査・解析手法の選定手順を知識として整理するための基礎情報を取りまとめた。その結果に基づいて、沿岸域において自然現象を把握するために適用可能若しくは適切と考えられる調査手法を検討した。その結果、侵食速度に係る手法では海成段丘面の侵食速度と周辺地域における侵食過程のシミュレーションが重要である事が分かった。気候変動については、湖沼堆積物が主な調査対象であり、海水準変動については、海成段丘面の調査と音波探査などの結果から隆起・沈降–海水準変動曲線ならびに古地理図を作成する検討手順が適切と考えられる。

JAEA-Research 2010-056 2011
中山雅、佐藤治夫、杉田裕、他

幌延深地層研究計画における低アルカリ性セメント系材料の適用性 —140m調査坑道における原位置吹付け施工試験—

地層処分施設は、地下300m以深に建設されることから、坑道の空洞安定性確保や掘削に伴う湧水量の抑制のため、セメント系材料を用いた支保工が検討されている。従来の地下構造物に一般的に用いられるセメント系材料であるOPCはセメント硬化体の細孔溶液中に含まれるアルカリ成分により、pHが12-13程度の高アルカリ性を呈する。地層処分施設においては、上記の高アルカリ成分が地下水に溶出した場合、人工バリアおよび天然バリアの性能に影響を与える可能性がある。このような影響を低減するために、原子力機構では、HFSCを開発し、化学的特性、施工性などについて検討を実施してきた。現在までの検討結果から、HFSCが幌延URLの設計基準強度を上まわる強度発現が可能であること、OPCと同等の施工性を有することが示されたので、幌延URLの坑道において、吹付け施工試験を実施した。その結果、HFSCはOPCと同等もしくは良好な施工性を示し、地下坑道への適用性が確認された。これまで、低アルカリ性セメントを用いた小規模な吹付け施工試験は海外で例があるものの、今回実施した幌延の地下施設での原位置試験のように、低アルカリ性セメントを実際の坑道の工事に使用した本格的な施工は世界初である。

JAEA-Research 2010-055 2011
小島圭二、大西有三、渡辺邦夫、他

深部地質環境の調査解析技術の体系化に関する研究 —平成21年度— (委託研究)

本研究では、地表から地下深部にいたる地質環境を把握するための調査・解析技術の体系化を目標に、(1)「第2次取りまとめに基づく深部地質環境の調査・解析技術の実用化に向けた課題に関する研究」、(2)「調査・解析手法の高度化・体系化に関する研究」を、継続実施するとともに、これまでの研究成果の取りまとめを行った。(1)に関しては、処分技術、地質環境、安全評価の各分野の課題について、具体的な試験・調査と計測・解析を実施するとともに、これまでの成果を取りまとめた。また、その成果を踏まえて、安全評価の分野も加えた中間分野の研究課題を抽出して、ニアフィールド(NF)コンセプトの再構築に関する具体的検討と、これまでの成果の取りまとめを行った。(2)に関しては、日本原子力研究開発機構(JAEA)の調査研究計画の中から抽出された課題に基づき、調査・解析技術の高度化・実用化の研究開発の観点から、基礎的な要素技術の研究開発の成果を取り込み、より具体的な現場の技術課題に資する研究を実施して、実用化に向けた研究開発を進展するとともに、これまでの成果を取りまとめた。これらの調査研究の進展とあわせて、平成21年度は、これまでに委員会で実施してきた研究開発の「総括報告書」の取りまとめを行った。

JAEA-Research 2010-049 2011
及川寧己、相馬宣和、當舎利行、他

岩芯を用いた応力測定と掘削振動計測による掘削影響領域の評価に関する基礎的研究 (共同研究)

地下深部で掘削した坑道の周辺では、岩盤に加わる力の変化や発破の影響などで新たな亀裂が発生し、岩盤の性質が変化する。この性質が変化した領域を「掘削影響領域」と呼んでいる。掘削影響領域の範囲や性質の変化は、処分場の性能評価や地下施設の設計に大きな影響を及ぼすため、その調査や評価が必要となっている。しかし、現状の掘削影響領域の調査では、実際の坑道において、専用機器等を用いた大がかりな調査を行うことから、多大な時間とコストを費やしている。そこで、掘削影響領域を簡便かつ安価に調査するための手法の開発を目的として、ボーリング掘削のみで得られる情報(本研究では、ボーリングによって採取した岩芯およびボーリング時の振動)を最大限に活用する手法の開発に必要な基礎的研究を行った。本報告書は、2008年度〜2009年度の2年間で実施した共同研究の成果をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。次に第2章では、原子力機構の瑞浪超深地層研究所、深度200mボーリング横坑で行われたボーリング掘削で採取された岩芯を用いてAcoustic Emission⁄Deformation Rate Analysis法(AE⁄DRA法)により周辺岩盤の応力状態の把握を試みた。続いて第3章では、瑞浪超深地層研究所、深度200mボーリング横坑で行われたボーリング掘削振動を取得し、弾性波伝搬速度推定法と反射イメージング法により空洞周辺の地質構造評価を試みた結果を報告した。

JAEA-Research 2010-048 2011
鶴田忠彦、松岡稔幸、程塚保行、他

超深地層研究所計画 地質・地質構造に関する調査研究(2008年度)報告書

地層処分研究開発部門東濃地科学ユニットでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階」、「第2段階」および「第3段階」からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階における調査研究を進めている。超深地層研究所計画は、「深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備」及び「深地層における工学技術の基盤の整備」を第1段階から第3段階までを通した全体目標として定め、そのうち第2段階では、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の一つとして調査研究を進めている。本報告書は、第2段階目標に基づき、2008年度に実施した地質・地質構造に関する調査研究の成果を取りまとめたものである。

JAEA-Research 2010-039 2011
小坂寛、三枝博光、尾上博則、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究)長期揚水試験計画策定のための水理地質構造のモデル化・地下水流動解析

日本原子力研究開発機構では、「地層処分技術に関する研究開発」のうち、深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画では、断層の水理特性を把握することを目的として、2010年度に研究坑道から掘削するボーリング孔を利用した長期揚水試験を計画している。本研究では、長期揚水試験における揚水区間の選定や揚水期間の設定などの試験計画策定に資することを目的として、長期揚水試験を模擬した水理地質構造のモデル化及び地下水流動解析を実施した。このモデル化・解析においては、揚水区間、揚水期間、及び揚水量に着目した感度解析を行い、これらの違いによる水圧観測孔における水圧応答傾向の変化の程度を確認した。結果として、断層を境とする揚水区間の違いにより、水圧観測孔での水圧応答は異なる傾向を示すことが明らかとなった。一方、揚水期間の違い(2週間及び4週間)により、水圧観測孔での水圧応答傾向に顕著な差は見られなかった。また、揚水期間の違いによる各ボーリング孔における最大水頭低下量の変化は、大きいところでも20%程度であり、揚水期間の違いが水圧観測孔での水圧応答に与える影響は小さいことが明らかとなった。これらの結果に基づき、長期揚水試験における揚水区間や揚水期間などの提言を行った。

JAEA-Research 2010-037 2011
弥富洋介、保科宏行、瀬古典明、他

放射線グラフト重合法により作製した捕集材を用いた瑞浪超深地層研究所における湧水処理の検討(2008年度成果報告書) (共同研究)

東濃地科学センター瑞浪超深地層研究所(以下、研究所)では、研究坑道掘削工事に伴う湧水に含まれる天然由来のフッ素およびホウ素について、環境基準値以下の濃度まで除去した後、湧水を河川に放流している。一方、量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用研究開発ユニットでは、放射線グラフト重合法で作製した捕集材により、海水や温泉水などに含まれる低濃度の希少金属捕集の実績があることから、2006年度から共同で湧水中のフッ素・ホウ素の効率的な除去方法について検討を行ってきた。これまでの研究によって、捕集材を用いて湧水中のフッ素・ホウ素の除去が可能であり、ホウ素除去については、イオン交換樹脂よりも高速処理が可能であることが明らかになっている。しかし、吸着性能は湧水のpHに大きく影響することから、2008年度はホウ素除去について中性域の湧水を用いた捕集材の再生利用試験を行い、吸着性能を把握した。その結果、2009年度行った再生利用試験結果よりも吸着性能が向上したが、再生利用時の性能は低下した。その理由として、フッ素除去後の湧水を用いたため、一度吸着したホウ素を溶離する際に、フッ素除去処理に使用する薬剤等が十分に除去できなかったためと考えられる。さらに、本研究を実施するにあたって設定した目標と、これまで得られた成果との比較および研究所の排水処理を取り巻く状況について考察し、本研究の取りまとめを行った。

JAEA-Technology 2010-045 2011
萩原大樹、齋正貴、竹口真人、他

MSB-2号孔・MSB-4号孔における地下水の間隙水圧および水質観測(2009年4月〜2010年3月)

日本原子力研究開発機構は、岐阜県瑞浪市に建設中の瑞浪超深地層研究所において、研究坑道の掘削が周辺の地下水水質に与える影響の把握を目的とした調査研究を行っている。本報告は、瑞浪超深地層研究所用地内に地上から掘削したボーリング孔であるMSB-2号孔およびMSB-4号孔に設置された多区間間隙水圧モニタリングシステム(Westbay社製MPシステム)を用いた、地下水水質分析および間隙水圧測定の2009年度の結果を取りまとめたものである。地下水水質分析および間隙水圧の測定は、ともに月1回の頻度で実施した。その結果、地下水水質と間隙水圧に関するデータを蓄積するとともに、2003年度から継続的に観測している地下水水質および間隙水圧の研究坑道の掘削に伴う変動を、2009年度においても把握することができた。

JAEA-Data⁄Code 2010-032 2011
稲垣大介、石井英一、新沼寛明、他

幌延深地層研究計画 平成21年度地下施設計測データ集

幌延深地層研究計画では、第2段階の調査研究として、換気立坑、東立坑および140m、250m水平坑道の掘削を進めている。本調査研究では、切羽や後続施工箇所の設計・施工にフィードバックする情報化施工プログラムを実施しており、毎掘削断面において、岩相および割れ目などの壁面観察や、簡易弾性波探査・シュミットハンマー反発度試験・エコーチップ硬さ試験および点載荷試験等の原位置試験を行い、特定断面では地中変位測定・ロックボルト軸力測定・吹付けコンクリート応力測定および覆工コンクリート応力測定等のデータを取得している。また、第1段階で実施した地下施設の坑道掘削に伴う湧水量の予測解析結果の妥当性を確認することを目的とし、掘削工事の進行に伴う湧水量や水質の変化に関するデータを取得した。本報告書は、2009年度(平成21年度)に実施した東立坑(GL-140mから-210mまで)、ならびに140m水平坑道で得られた調査・計測データを取りまとめたものである。

JAEA-Data⁄Code 2010-027 2011
國丸貴紀、見掛信一郎、西尾和久、他

超深地層研究所計画 年度報告書(2009年度)

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。第2段階の調査研究では、研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築および研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握、研究坑道の施工・維持・管理にかかわる工学技術の有効性の確認を目的とした調査研究を進めるとともに、第3段階(研究坑道を利用した研究段階)の調査研究計画の策定を進めている。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」における2009年度に実施した1)調査研究、2)施設建設、3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2011-007 2011
西尾和久、弥富洋介、島田顕臣

「平成22年度 東濃地科学センター 地層科学研究 情報・意見交換会」資料集

日本原子力研究開発機構 東濃地科学センターにおいては、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(以下、地層科学研究)を実施している。地層科学研究を適正かつ効率的に進めていくため、研究開発の状況や成果、さらに今後の研究開発の方向性について、大学、研究機関、企業の研究者・技術者等に広く紹介し、情報・意見交換を行うことを目的とした「情報・意見交換会」を毎年開催している。本資料は、平成22年10月19日に岐阜県瑞浪市で開催した「平成22年度 東濃地科学センター 地層科学研究 情報・意見交換会」にて用いた発表資料を取りまとめたものである。

JAEA-Review 2010-069 2011
松井裕哉、丹野剛男、平野享、他

クラックテンソルによる瑞浪超深地層研究所研究坑道の掘削影響予測解析(2009年度)

予察的解析の妥当性評価を目的として、壁面観察結果に基づきクラックテンソルを算定し、地中変位計測と比較して、その妥当性を評価し、立坑内から実施したパイロットボーリング調査や地表からの調査段階で設定したクラックテンソルの比較を行った。1)2004年度の予察的解析で設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析値は地中変位計測値よりも小さい値を示した。一方、壁面観察結果から設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析の結果、計算された最大値は計測値に近い値を示した。2)これは、2004年度の評価で十分考慮できていない非常に連続性の高いNE系の割れ目の情報が新たに考慮されたためである。換気立坑より掘削したパイロットボーリング調査結果に基づきクラックテンソルを求めて両者と比較した結果、パイロットボーリング調査で把握された割れ目の方向分布は壁面観察の方向分布と近いこと、求められたクラックテンソルは両者の中間に位置することがわかった。3)パイロットボーリングデータにおける深度350mと深度500m間の割れ目の統計量の関係より深度500mにおけるクラックテンソルを推定した。推定されたクラックテンソルを用いて深度500mにおける換気立坑と水平展開坑道の変形解析を行った結果、2004年度の結果よりも岩盤のヤング率は低減し、支保工に作用する応力は増加した。

JAEA-Research 2010-043 2010
T. Kunimaru, K. Ota, W.R. Alexander, et al.

Groundwater⁄Porewater Hydrochemistry at Horonobe URL: Data Freeze I — Preliminary Data Quality Evaluation for Boreholes HDB-9, 10 and 11 —

高レベル放射性廃棄物の地層処分における品質マネジメントシステムは、サイト特性調査の初期段階から必要とされる重要なツールの一つであり、その整備・適用によって効果的・効率的に調査・評価が可能となり、さらには調査・評価結果の信頼性が確保できると考えられる。幌延深地層研究計画では地上からの地質環境の調査・評価に適用可能な品質マネジメントシステムの整備を進めている。具体的には、国外のサイト特性調査で構築された地下水水質データの品質保証の手法に加え、間隙水水質データに適用できる品質評価手法を新たに提案し、この手法も用いて地上からのボーリング調査(HDB-9〜11孔)において取得した地下水・間隙水水質データの品質評価を実施した。この結果、掘削水による地下水・間隙水の汚染、採水時の時系列的な水質データの欠損、コア試料の酸化など、水質データの品質低下の原因が明らかになった。また、地下水の地球化学特性の品質評価において、今後、取得すべき情報や改善すべき項目などが明確にされた。

JAEA-Research 2010-035 2010
尾上博則、三枝博光、本島貴之、他

超深地層研究所計画(岩盤の水理に関する調査研究)割れ目ネットワークモデルを用いた突発湧水に着目した地盤リスクマネジメントに関する研究

深部岩盤中に地下施設を建設する上では、事前調査によって突発湧水が建設コストや工程などに与える影響を評価することが重要である。本研究では、超深地層研究所計画で建設が進められている研究坑道を事例として、割れ目ネットワークモデルと金融工学理論を統合した突発湧水のリスク評価手法を構築した。構築したリスク評価手法を用いて、調査の進展に伴う突発湧水リスクの変化の定量的評価を行った。その結果、突発湧水リスクの特性の把握、ならびに突発湧水リスクを効果的に低減させるために有効な調査方法を示すことができた。さらに、乖離量という概念を用いて、本リスク評価手法の建設プロジェクトの事後評価への適用可能性を示すことができた。

JAEA-Research 2010-021 2010
竹内竜史、三枝博光、大山卓也、他

超深地層研究所計画 岩盤の水理に関する調査研究(2008年度)報告書

日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階;地表からの調査予測研究段階」、「第2段階;研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階;研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画である。現在は、第2段階における調査研究として、「研究坑道の掘削を伴う調査研究による地質環境モデルの構築及び研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を段階目標の1つとして調査研究を進めている。
本報告書は、2008年度に実施した岩盤の水理に関する調査研究の成果を取りまとめたものである。主な内容としては、研究坑道掘削に伴う地下水流動状況の変化の把握を目的として継続的に実施した水圧モニタリング、湧水量計測の結果を示すとともに、地下水涵養量推定手法の開発を目的とした表層水理観測の結果を示した。また、地下水圧モニタリングなどで得られた情報を用いて、サイトスケール及びブロックスケールの水理地質構造モデルの妥当性確認及びその更新に関わる方法論を整備することを目的としたモデルの構築及び解析結果を示すとともに、研究坑道の設計・施工への迅速な情報提供を目的としたモデル化・解析技術として、GEOMASSシステムの有用性を示した。

JAEA-Research 2010-018 2010
中村隆浩、真田祐幸、杉田裕、他

幌延深地層研究センター東立坑140m小型試錐座における水圧破砕法による初期地圧の評価

幌延深地層研究センターの地下施設周辺岩盤の応力場を把握するため、東立坑の深度140mの小型試錐座において3本のボーリング孔を掘削し、水圧破砕法により初期地圧の評価を試みた。水圧破砕試験の結果、ボーリング孔軸を含む縦き裂はどこにも生じなかった。これは、当該岩盤に天然き裂が多く含まれていることが一つの原因と考えられた。応力状態が測定位置によらず一様であると仮定し、き裂面の法線応力と初期地圧の関係から初期地圧状態を評価した。主応力はいずれも鉛直方向あるいは水平方向から30度程度傾いた結果が得られた。

JAEA-Research 2010-017 2010
山本陽一、前川恵輔

1986年〜2009年幌延気象観測統計

幌延深地層研究センターでは、幌延深地層研究計画の一環として幌延町内で気象観測を実施している。幌延町での気象観測は、1986年10月に開進気象観測所で開始され、その後、問寒別、上問寒、幌延市街地、北進の各気象観測所および北進蒸発散量観測タワーと順次整備され、計6地点で気象観測が行われた。本報は、1986年〜2009年に日本原子力研究開発機構が幌延町内で観測した気象観測データを取りまとめて電子化し、累年統計を行ったものである。また、統計化された気象データを用いて、幌延町の気象特性について検討した。取得データは1時間データ、日統計データ、月統計データとして整理し、「観測データセット」としてCD-ROMに収録した。

JAEA-Data⁄Code 2010-014 2010
齋正貴、萩原大樹、松島博之、他

超深地層研究所計画における地下水の地球化学に関する調査研究 —瑞浪層群・土岐花崗岩の地下水の地球化学特性データ集— (2004年4月〜2008年3月)

このデータ集は、2004年4月から2008年3月までに瑞浪超深地層研究所における研究坑道内、地上から掘削したボーリング孔(MSB-2号孔、MSB-4号孔およびMIZ-1号孔)から採取した地下水の地球化学特性データをとりまとめたものである。また、本データ集では、データを用いた様々な目的の解析を行う過程でデータの確認ができるように、試料採取地点、試料採取時間、採取方法および分析方法などを示した。

JAEA-Data⁄Code 2010-010 2010
浅井秀明、長谷川健

アクロスワークショップ「アクロス技術の現状と今後の展望」講演資料集

アクロス(ACROSS, Accurately Controlled Routinely Operated Signal Systemの頭文字をとったもの)は地震研究をその目的とし、日本原子力研究開発機構(当時は動力炉・核燃料開発事業団)東濃地科学センターの陸域地下構造フロンティア研究プロジェクトにおいて1996年より様々な研究開発が行われ、2005年に完了した。そこで培われた技術(信号の送受信技術ならびにデータの解析技術)は非常に汎用性に富むものであることから、研究坑道掘削による坑道周辺の地質環境の時間的変化や研究坑道の健全性の監視技術として利用可能かどうかについて2007年度から3年間を目途に検討を進めた。東濃地科学研究ユニットは、今までの検討成果を紹介するとともに、各方面のアクロス技術の研究を紹介して頂き、アクロス技術と今後の展望に関して外部専門家と議論することを目的としたアクロスワークショップ「アクロスの現状と今後の展望」を、2010年2月24日〜25日に開催した。本報告書は、ワークショップで用いられた発表資料を収録したものである。

JAEA-Review 2010-050 2010
M. Nakayama, H. Sanada, T. Yamaguchi, et al.

Horonobe Underground Research Laboratory Project Investigation Program for the 2008 Fiscal Year (Translated Document)

本計画は、調査研究の開始から調査研究の終了まで20年程度の計画とし、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施することとしており、平成20年度は第2段階の4年目にあたる。

JAEA-Review 2010-044 2010
中山雅、真田祐幸、佐野満昭、他

幌延深地層研究計画 平成22年度調査研究計画

本計画は、原子力機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているものであり、深地層環境における調査研究を実施し、その成果は地層処分の実施主体や安全規制機関に提供される。研究内容は地層科学研究と地層処分研究開発からなり、地下施設の建設と並行して調査研究を実施している。平成22年度は、研究所用地やその周辺において、地下施設の建設および第2段階の調査研究を継続し、第3段階の具体的な調査研究計画を策定する。また、完成した一部の坑道を利用して第3段階の調査研究を開始する計画である。なお、本計画で実施する地下深部の地質環境を対象とした研究は、地球科学の幅広い分野にわたり、学術研究の発展にも広く寄与することから、国内外の関連する研究機関の専門家の参加を積極的に得つつ進めていく。

JAEA-Review 2010-041 2010
中山雅、佐野満昭、真田祐幸、他

幌延深地層研究計画 平成21年度調査研究成果報告

幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの段階に分けて実施している。平成21年度は、「幌延深地層研究計画平成21年度調査研究計画」に従って、「地層科学研究」では、地質環境調査技術開発、地質環境モニタリング技術開発、深地層における工学的技術の基礎の開発、地質環境の長期安定性に関する研究を、「地層処分研究開発」では、人工バリアなどの工学技術の検証、設計手法の適用性確認、安全評価モデルの高度化および安全評価手法の適用性確認、という研究を実施した。本報告書はそれらを取りまとめたものである。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。

JAEA-Review 2010-039 2010
竹内真司、國丸貴紀、見掛信一郎、他

超深地層研究所計画 年度計画書(2010年度)

独立行政法人日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、地層処分技術に関する研究開発のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階:地表からの調査予測研究段階」、「第2段階:研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階:研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる。2010年度は、第2段階の調査研究を進めていくとともに、第3段階の調査研究を開始する。本計画書は、2010年に改訂した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づき、2010年度の超深地層研究所計画の1)調査研究計画、2)施設建設計画、3)共同研究計画などを示したものである。

JAEA-Review 2010-029 2010

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地質環境の長期的安定性に関する研究

著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
草野友宏、浅森浩一、黒澤英樹、他

「地質環境の長期安定性に関する研究」第1期中期計画期間(平成17年度〜平成21年度)報告書(H22レポート)

本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第1期中期計画期間の5か年(2005年度〜2009年度)に実施した研究開発にかかわる成果を取りまとめたものである。第1期中期計画では、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、(1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、(2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、(3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めてきた。本報では、それぞれの研究分野にかかわる科学的・技術的背景を解説するとともに、設定した研究課題に対してこれまでに実施してきた内容、主な研究成果及び今後の課題などについて述べる。

JAEA-Research 2010-044 2011
黒澤英樹、丹羽正和、石丸恒存、他

断層ガス(水素・二酸化炭素・メタン)原位置測定による断層破砕帯調査手法の検討(データ集)

変動地形の明瞭でない活断層やこれらの活動性を調査・評価するための技術は、地層処分のサイト選定に際して不可欠な技術基盤となる。近年、断層から放出されるガス(以下、断層ガス)の化学組成や同位体組成に断層の活動性と相関があることが指摘されている。本研究では断層ガスに含まれる水素に着目し、断層のタイプや活動性との相関を検討するため、わが国の主要な逆断層と横ずれ断層を事例に水素濃度の観測を実施してきた。本報告は、観測のために開発した携帯型測定器を紹介するとともに、現地での調査手順、観測結果(測定データセット)等を示す。

JAEA-Data⁄Code 2010-036 2011
大久保誠介、引間亮一、平野享、他

結晶質岩を対象とした長期岩盤挙動評価のための現象論的研究 (委託研究)

岩石や岩盤は、クリープや応力緩和のような時間依存性挙動を示すことが知られている。高レベル放射性廃棄物の地層処分時においては、建設時および操業時は言うまでもなく、坑道埋め戻し後も千年程度の長期にわたる坑道の安定性の評価が要求される。このため、長期にわたる岩石や岩盤の時間依存性挙動を把握することは、そのような坑道の長期安定性を評価する上で重要な課題である。そこで、岩石や岩盤の時間依存性挙動を、精密な試験や観察・計測から直接的に検討する手法(現象論的方法)で解明し、岩盤構造物の長期挙動予測評価手法を開発する研究を行ってきた。本報告書は、2009年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。つぎに第2章では、1997年度から継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。つづいて第3章では、非線形粘弾性論を拠りどころとして、岩石や岩盤の時間依存性挙動を表現するコンプライアンス可変型構成方程式とそのパラメータの取得法について総括した。また、2008年度までに得られた試験結果を踏まえて、土岐花崗岩の時間依存性挙動と中間温度(40℃〜80℃)での稲田花崗岩の時間依存性挙動に関する所見を述べた。最後に第4章では、拡張したコンプライアンス可変型構成方程式を用いた有限要素解析により、土岐花崗岩の長期挙動に関する予察的検討を行った。最後に、数値解析結果にもとづいて原位置試験計画に関する所見を述べた。

JAEA-Research 2010-031 2010
安江健一、浅森浩一、山田国見、他

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(平成22年度)

本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に関する研究についての第2期中期計画期間(平成22年4月〜平成27年3月)の初年度である平成22年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画–第2期中期計画をベースに、第1期中期計画期間(平成17年4月〜平成22年3月)における研究成果、関係研究機関の動向や大学などで行われている最新の研究、実施主体や規制機関からのニーズなどを考慮した上で策定した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果をタイムリーに反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の3つの枠組みで研究開発を推進していく。

JAEA-Review 2010-034 2010
梅田浩司、石丸恒存、安江健一、他

「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画 —第2期中期計画(平成22年度〜平成26年度)

本計画書は、深地層の科学的研究のうち、地質環境の長期安定性に関する研究における今後5か年(第2期中期計画期間、2010年〜2014年)の基本計画である。本計画の策定にあたっては、関係研究機関の動向や大学などで行われている基礎研究を精査した上で、関係法令や報告に留意しつつ、研究の基本的な考え方、研究開発の方向性、研究課題、達成目標、推進方策などを取りまとめた。さらに、実施主体や規制機関の様々なニーズのうち重要性と緊急性を考慮して研究計画の重点化を図った。なお、第2期中期計画では、調査技術の開発・体系化、長期予測・影響評価モデルの開発、年代測定技術の開発の3つの枠組みで研究開発を推進していく。

JAEA-Review 2010-030 2010

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