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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発

 高レベル廃棄物を安全に処分する考え方

高レベル放射性廃棄物による影響が将来の世代にも及ばないように、長期にわたって人間の生活環境から隔離するため、地下深部の岩盤中に廃棄物を埋設するというのが地層処分の概念です。

地層処分された廃棄物が人間やその生活環境(以下、人間環境)に影響を及ぼす可能性としては、大別して、2つの道筋(シナリオ)が想定されます。    

ひとつは、廃棄物と人間環境との物理的な距離が接近することによって、廃棄物の影響が人間に及ぶことを想定したもので、これに至る道筋を「接近シナリオ」と呼んでいます。このシナリオにおいては、火山の噴火による廃棄物の放出や地盤の急激な隆起・侵食にともなう処分場の露出などが想定されています。

もうひとつは、廃棄物から漏洩した放射性核種が地下水を介して人間環境へ運ばれることを想定したもので、これに至る道筋を「地下水シナリオ」と呼んでいます。このシナリオにおいては、核種の溶解などを支配する化学的な反応と地下水の動き、およ びそれらにともなう核種の移行が重要なプロセスとなります。

このようなシナリオとして想定される廃棄物による影響が、長期にわたって人間環境に及ばないようにするため、地層処分においては、火山活動や地殻変動などの影響が小さい安定な地域や岩盤を選定したうえで、そこに適切な多重バリアシステム(人間が作り上げる「人工バリア」の安全防護機能と地質環境が本来的に備える「天然バリア」としての隔離性・包蔵性を最適に組み合わせた多層の防護システム)を構築するという対策がとられます。具体的には、ガラス固化した廃棄物(ガラス固化体)を金属製の容器(オーバーパック)に密封したうえで、岩盤の空洞内に粘土(緩衝材)で包み込んで埋設することが考えられています。