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国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発

投稿論文・雑誌(平成28年度分)

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全項共通(国内国外)/人工バリア等の信頼性向上に関する研究(国内国外)/安全評価手法の高度化に関する研究(国内国外)/地質環境特性調査・評価手法に関する研究(国内国外)/地質環境の長期的安定性に関する研究(国内国外) /使用済燃料直接処分に関する研究(国内国外)

全項共通

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 投稿、発表先 発表年
谷口拓海、阿部智久

「2015年度バックエンド週末基礎講座」参加報告

2015年11月7日(土)、8日(日)の2日間、宮城県仙台市の東北大学青葉山キャンパスにてバックエンド週末基礎講座が開催された。講座には大学や企業などから28名が参加し、7件の講義とグループディスカッションが行われた。本講座の概要とグループディスカッションの内容について報告する。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.73-74 2016
亀井玄人

放射性廃棄物処理・処分技術概論

近年、日本では、震災を契機として原子力に対する関心が高まり、このことから派生して地層処分をはじめ、放射性廃棄物の処理・処分も重要問題として認識されるようになってきている。このような現状を踏まえ、放射性廃棄物の発生と性状、処理技術概要、および特に高レベル放射性廃棄物を事例として、廃棄物特性に基づいた処分システムとその安全評価などについて基本的な情報を解説する。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.75-77 2016
大澤英昭、大友章司、大沼進、広瀬幸雄

フランスにおける高レベル放射性廃棄物地層処分施設の立地受容の規定因

本研究では、これまでの様々なパブリックインボルブメントの取り組みをとおして一つの候補サイトが選ばれているフランスで、高レベル放射性廃棄物の地層処分施設立地の受容の規定因を推定した。候補サイト近傍と離れた地域を対象に、886名の回答者に対してインターネット調査を行った。その結果、これまでリスク研究分野で対象とされてきた信頼、リスク認知、スティグマに加え、手続き的公正、社会的便益、個人的便益が、NIMBY問題の受容に重要な影響を与えることが明らかになった。さらに、個人的便益と感情が、社会的便益、手続き的公正、世代間主観的規範より受容に大きな影響を与えている。これらは、規定因から受容への影響は、立地の進行状況などにより変わる可能性を示唆している。

社会技術研究論文集 Vol.13 pp.86-95 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
A. Deguchi, H. Umeki, H. Ueda, Y. Miyamoto, M. Shibata, M. Naito and T. Tanaka

Progress in the Geological Disposal Program in Japan

我が国における高レベル放射性廃棄物の地層処分については、1999年に「第2次取りまとめ」として技術的信頼性が取りまとめられたが、その後10年以上が経過するとともに、東北地方太平洋沖地震などの自然事象が発生していることから、政府は、地層処分の技術的信頼性について、改めて最新の科学的知見を反映した再評価を行った。この再評価結果を受け、政府は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」を変更し、国が「科学的有望地」を提示するとともに、国が調査への協力を自治体に申し入れることを定めた。NUMOおよび関係研究開発組織(原子力機構および原子力環境整備センター)は、地層処分の技術的信頼性の向上のため研究開発を進めている。また、NUMOは、一般的なセーフティケースの構築を進めている。

5th Worldwide Review (WWR-5) on the challenging issues in deep geologic disposal of nuclear wastes Berkeley, California (USA)
LBNL-1006984 (Internet) Fifth Worldwide Review pp.12-1~12-23 (2016/12)
2016

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人工バリア等の信頼性向上に関する研究

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
多田浩幸、熊坂博夫、齋藤亮、中谷篤史、石井卓、藤田朝雄、杉田裕、中間茂雄、真田昌慶

岩石利用セグメント支保工の力学特性と坑道の安定性に関する検討

本論文では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の力学特性、支保工としての成立性について室内試験や要素試験を行い検討した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工は、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタルを利用することにより、セメント影響のさらなる低減化が期待できること、地層処分施設の支保工として地山の安定性を確保することが可能であることを示した。

土木学会論文集F2(地下空間研究) Vol. 73 No.1 pp.11-28 2017
谷口直樹

長期予測の視点から今後の腐食防食技術への期待

本稿は腐食防食学会発行の学術専門誌の巻頭言として投稿するものである。地層処分におけるオーバーパック研究者の立場から数値モデル化、腐食モニタリングについて腐食防食技術向上への期待を述べた。

材料と環境 第65巻 第9号 pp.363-364 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
H. Sasamoto, T. Isogai, H. Kikuchi, H. Satoh and D. Svensson

Mineralogical, physical and chemical investigation of compacted Kunigel V1 bentonite in contact with a steel heater in the ABM test package 1 experiment, Aspo laboratory, Sweden

圧縮ベントナイトは、高レベル放射性廃棄物の安全な処分のため、多くの国々において、人工バリア材の候補として検討されている。SKBは、スウェーデンのエスポにある硬岩研究所において、鉄製のヒータを用いて温度を上げた条件(最大で130℃程度)で、種々のベントナイトの安定性を比較するための原位置試験(ABM試験)を実施した。本報告では、日本のベントナイト(クニゲルV1)の試験結果について述べる。XRDやSEM-EDXを用いた鉱物学的調査の結果、ベントナイトの主成分であるスメクタイトが新たな粘土鉱物に変化する様子は認められなかった。しかしながら、鉄製ヒータ近傍のベントナイトには、スメクタイト層間における陽イオン交換(Na型からFe型へ)が生じていた。透水試験や膨潤試験による物理特性調査の結果、鉄製ヒータ近傍のベントナイトにおいても特性変化は生じていなかった。このような結果は、鉄−ベントナイト相互作用による影響範囲は限定的であり、陽イオン交換の発生も部分的であったことに起因すると考えられた。メチレンブルー吸着量測定、陽イオン交換容量および交換性陽イオン量といった化学特性調査の結果、これらのパラメータの水平方向での分布は一様で濃度勾配は認められなかった。

Clay Minerals Vol.52 No.1 pp.127-141 2017
Y. Takayama, S. Tachibana, A. Iizuka, K. Kawai and I. Kobayashi

Constitutive modeling for compacted bentonite buffer materials as unsaturated and saturated porous media

ベントナイトは著しい膨潤特性と難透水性を有する材料であり、放射性廃棄物の処分施設において緩衝材としての利用が想定されている。処分施設の長期にわたる力学挙動を評価するには、ベントナイトの力学挙動を表現できる構成モデルの開発が必要である。本研究では、ベントナイトを、「飽和の程度により力学特性が変化していく材料」と捉え、不飽和ベントナイトの弾塑性構成モデルを提案した。本提案モデルでは、膨潤指数および負のダイレイタンシーの表現式を飽和度の関数として表現し、さまざまなベントナイト材料に適用できるようにモンモリロナイト含有率を入力パラメータとして用いている。さらに、提案モデルにより膨潤圧試験と膨潤量試験のシミュレーションを実施した結果、ベントナイトの力学挙動を再現できることが確認された。

SOILS AND FOUNDATIONS Vol.57 No.1 pp.80-91 2017
Y. Sugita, T. Kawaguchi, K. Hatanaka, H. Shimbo, M. Yamamura, Y. Kobayashi, Y. Fujisawa, I. Kobayashi and N. Yabuki

Development of a design support system for geological disposal using a CIM concept

本論文は、原子力機構が開発を進めている、地層処分場の設計を合理的に行う設計支援システム(Integrated System for Repository Engineering: iSRE)の開発状況について国際学会において発表するものである。本システム開発の基本的な考え方として、共通のデータモデルを介してプロジェクトの3次元モデル及び関連データを共有するCIM技術を利用している。地層処分事業に適用する設計支援システムとしてのiSREの開発目標、設計要件および機能、iSREの基本構造、iSREの具体化として、保存すべきデータモデルの項目とシステム全体の構成、iSREの主要なデータベース、ならびにそれらと外部システム及び外部データベースとの連携を可能とするインターフェースの設計について示す。一部のデータベースとインターフェースの試作を行い、データモデルを作成するとともに、iSREの運用シナリオを想定しつつ、データモデルを用いたiSREの適用性の検討を行い、地層処分事業に適応するiSREの具体的な開発の見通しを得るとともに、iSREが処分場の設計に対して有用であることを確認した。

ICCCBE2016: International Conference on Computing in Civil and Building Engineering Osaka (Japan)
Proceedings of ICCCBE2016 pp.1173-1182
2016

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安全評価手法の高度化に関する研究

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
若杉圭一郎、山口正秋、小尾繁、長尾郁弥、加藤智子、鈴木祐二、江橋健、梅木博之、新堀雄一

隆起・侵食による地質・地表環境の長期的変動を考慮した地層処分の安全評価手法の開発

本研究では、我が国の幅広い地域で確認されており、かつサイト選定で影響を回避することが困難な隆起・侵食に着目し、これが高レベル放射性廃棄物地層処分に与える影響を定量的に把握するための安全評価手法を開発した。従来は、隆起速度と侵食速度が等しいとの仮定の下、処分場が一定の速度で地表に接近するという簡易な評価が行われていたが、本研究では、我が国で多く確認されている隆起速度と侵食速度が異なるケースを取り扱うことが可能なモデルを開発し、隆起・侵食に伴う起伏や処分場深度の時間変化、廃棄体ごとの風化帯/地表に到達する時間などを、地形発達モデルに基づき評価した。さらに、このモデルを用いて隆起・侵食を考慮した安全評価を試行した結果、我が国の最頻値の隆起速度(0.3mm/y)を想定したケースの総線量の最大値は、国際機関で示されている放射線防護基準のめやす値(300μSv/y)を下回った。さらに、既往のモデルによる評価との比較により、地表の起伏に起因して廃棄体が風化帯へ分散して侵入する効果を定量的に把握した。以上のことから、本評価手法を用いることにより、隆起・侵食を現象に即して取り扱うことが可能になったとともに、既往の評価の安全裕度を定量的に把握することが可能となった。

日本原子力学会和文論文誌 Vol.16 No.1 pp.15-33 2017
亀井玄人

日本原子力学会2016秋の大会 バックエンド部会企画セッション 「ガラス固化体の実力は? —地層処分におけるガラス固化体性能評価の現状—」 参加報告

国内外のガラス固化体地層処分に関する研究開発の現状と課題について、バックエンド部会の企画セッションが開催されたので、座長として参加し、その要点をまとめた。国内外の現状と今後の課題のほか、ガラス固化体の性能評価、基礎科学、計算科学の観点から研究例等が報告された。

日本原子力学会2016年秋の大会 久留米市
原子力バックエンド研究 Vol.23 No.2 pp.201-202 (2016/12)
2016
高橋裕太、大江俊昭、若杉圭一郎

逐次放射性壊変式との類似性に着目した崩壊連鎖を含む放射性核種の多孔質媒体中移行定常解の簡易表現

Simple equations of radionuclide chain migration in semi-infinite porous medium are presented. The exact mathematical expressions on the non-steady migration of nuclides in radioactive decay chains have complex structures and are impractical for quick check of the hazardous impacts driven by the chain migration. The maximum hazard is, actually, a main interest and that maxima can be given by a steady concentration. For this interest, rather simple equations which indicate the maximum concentrations of parent, daughter and grand-daughter nuclides are given for the three different constant boundary conditions; Dirichlet, Neumann, and Robin conditions. The equations are quite similar to the sequential radioactive decay formulas and applicable to overview the effect of the parameter variations such as groundwater flow, sorption characteristics, hydrodynamic dispersion, etc.

東海大学工学部紀要 Vol.56 No.2 pp.21-26 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
R. Doi, K. Uchikoshi and H. Beppu

The FeSe2(cr) solubility determined by solubility experiments of Se co-existing with Fe

FeSe2(cr)の溶解反応の平衡定数を決定するために、鉄が共存するSe溶解度試験を実施した。温度は348Kに維持した。Se濃度の安定化から平衡到達が示唆された。沈殿固相のXRD測定により検出されたSe含有固相はFeSe2(cr)だけであった。けん濁液のEhおよびpHは-188. 6 〜 -4.9mV vs. SHE、6.00-8.76の範囲におさまった。この領域では、Se42-およびFe2+が熱力学的に安定である。SITモデルによって解釈した場合、Ehおよび濃度の関係をよく説明できるのは、(4FenSe(cr)=4nFe2++Se42-+(8n-2)e-)反応に関して、n=0.50±0.01およびlogK0=-17.24±0.31のときであった。このlogK0値は、既往の熱力学データから算出される値とよく一致した。

Journal of Nuclear Science and Technology Vol.53 No.10 pp.1554-1562 2016
T. Arima, K. Idemitsu, Y. Inagaki, K. Kawamura, Y. Tachi and K. Yotsuji

Diffusion and adsorption of uranyl ion in clays: Molecular dynamics study

ウラニルイオン(UO22+)の拡散・吸着挙動は、放射性廃棄物処分の性能評価において重要である。溶液中のUO22+, K+, CO32-, Cl-, H2Oの拡散挙動が分子動力学計算によって評価された。UO22+の拡散係数が最小であり、H2Oの自己拡散係数の26%であった。高濃度の炭酸イオンを含む溶液中では、UO2CO3やUO2(CO3)2-の炭酸錯体として存在することが確認された。モンモリロナイト及びイライトと水溶液が共存する系におけるUO22+やK+の吸着・拡散挙動が分子動力学計算によって評価された。分配係数(Kd)は粘土鉱物の層電荷とともに増加し、UO22+のKdはK+のKdよりも小さいと評価された。さらに、2次元方向での拡散係数は、吸着層では比較的小さく、高い層電荷をもつイライトでは極めて小さな値を示した。

Progress in Nuclear Energy Vol.92 pp.286-297 2016
D. Rai, A. Kitamura, K.M. Rosso, T. Sasaki and T. Kobayashi

Issues concerning the determination of solubility products of sparingly soluble crystalline solids: solubility of HfO2(cr)

結晶質二酸化ハフニウム固相(HfO2(cr))の溶解度における酸濃度の影響を調査した。本研究では、(1)2種類の固相量を使用、(2)固相の酸洗浄、(3)1400℃での固相の加熱、(4)二酸化ハフニウムが非晶質(am)から結晶質(cr)に変遷するかどうかを調べるための固液混合状態での90℃での試験、を実施した。これらの処理の結果、HfO2(cr)には少量の結晶性の低い(ただし非晶質ではない)成分(HfO2(lcr))が含まれており、これがHfO2(cr)よりも溶解度を制限する固相となることが結論づけられた。溶解度データはPitzerおよびSITの両モデルで説明できた。HfO2(cr)の溶解度積の対数値も推定された。少量の結晶性の低い固相が確認されたことは、鉱物表面がしばしば構造的または組成的に不完全で、結晶固相より高い溶解度を示す一般的な傾向と整合している。本研究は溶解度データの解釈において、難溶性固体の溶解挙動が固有の固相に規定されることが観察されることに注意を払う必要があることを強調している。

Radiochimica Acta Vol.104 No.8 pp.583-592 2016
L. A. Hug, B. J. Baker, K. Anantharaman, C. T. Brown, A. J. Probst, C. J. Castelle, C. N. Butterfield, A. W. Hernsdorf, Y. Amano, K. Ise, Y. Suzuki, N. Dudek, D. A. Relman, K. M. Finstad, R. Amundson, B. C. Thomas and J. F. Banfield

A new view of the tree of life

生命の系統樹は生物学において最も重要な中心テーマの一つである。遺伝子調査によると、莫大な数のブランチの存在が示唆されているが、フルスケールに近い系統樹でさえわかりにくいのが現状である。本研究では、これまでに報告されてきた配列情報に加えて、新たに取得した未培養生物のゲノム情報を用いて、バクテリア、アーキア、真核生物を含む系統樹を更新した。系統樹の描写は、全体的な概容とそれぞれの主要な系統における多様性のスナップショットの両方について行った。その結果、バクテリアの多様化の優勢性が示され、培養されていない生物種の重要性とともに主要な放射構造においてそれらの生物種の重要な進化が集中している現象が強調された。

Nature Microbiology Vol.1 No.5 pp.16048_1-16048_6 2016
D. Rai and A. Kitamura

Evaluation of equilibrium constants for deprotonation and lactonisation of α-D-isosaccharinic acid

アルファ-D-イソサッカリン酸(ISA)の解離定数およびラクトン化定数については、文献によって大きな不一致がある。核磁気共鳴(NMR)と、α-D-イソサッカリン酸に関係するイソサッカリン酸カルシウム結晶(Ca(ISA)2(cr))の広範な実験による溶解度データとの組み合わせを基にすると、[HISA(aq) ⇔ ISA- + H+]の反応の標準状態における平衡定数の対数値(log K°)が-3.27±0.01であり、また[HISA(aq) ⇔ ISL(ISA-1,4-ラクトン)(aq) + H2O]のlog K°が0.49±0.09が信頼できる値となる。これらのデータからは、[ISL(aq) +H2O ⇔ ISA- + H+]のlog K°は-3.76 ± 0.09と導出される。信頼できる広範な実験によるCa(ISA)2(cr)の溶解度データをSIT活量補正モデルで再解釈すると、[Ca(ISA)2(cr) ⇔ Ca2+ + 2 (ISA)-のlog K°は-6.40 ± 0.09であり、[Ca2+ + ISA- ⇔ CaISA+]のlog K°は1.70 ± 0.09となる。

Journal of Nuclear Science and Technology Vol.53 No.4 pp.459-467 2016
T. Sasaki, K. Ueda, T. Saito, N. Aoyagi, T. Kobayashi, I. Takagi, T. Kimura and Y. Tachi

Sorption of Eu3+ on Na-montmorillonite studied by time-resolved laser fluorescence spectroscopy and surface complexation modeling

ナトリウム型モンモリロナイトへのEu(III)の収着に対するpH、 Eu濃度、硝酸塩濃度の影響について、バッチ収着試験と時間分解型レーザー誘起蛍光分光(TRLFS)によって調査された。0.01M硝酸ナトリウム中では分配係数(Kd)はpHにほとんど依存せず、一方で、1M硝酸ナトリウム中ではKdはpHに大きく依存した。陽イオン交換モデルと1サイトの静電補正を考慮しない表面錯体モデルを組み合せたモデルによってKdデータが解釈された。Eu表面化学種に対するTRLFSスペクトルはパラレル因子分析法(PARAFAC)により解析され、1つの外圏錯体(ファクターA)と2つの内圏錯体(ファクターB及びC)への対応が示唆された。ファクターAとBは、イオン交換サイトへ収着したEu、エッジの水酸基との内圏錯体に、それぞれ対応するものである。ファクターCは比較的高いpH、イオン強度条件で支配的であり、表面におけるEu(OH)3の析出物と評価された。

Journal of Nuclear Science and Technology Vol.53 No.4 pp.592-601 2016
T. Ohkubo, M. Ibaraki, Y. Tachi and Y. Iwadate

Pore distribution of water-saturated compacted clay using NMR relaxometry and freezing temperature depression; effects of density and salt concentration

含水飽和圧縮粘土(3種類の塩濃度で含水飽和された密度0.8および1.4g/cm3のNa型モンモリロナイト)中の間隙構造をNMR緩和法と凝固点降下法により評価した。4層状態までの層間水と層間外水との割合がそれぞれの緩和時間の閾値から計算された。低密度試料では、層間外水の割合が55%までの高い割合を示した。凝固点降下を利用した低温条件でのNMR測定の結果は、熱量測定から得られた約4nmのメソポアが、層間外水の閾値として評価された。凝固点降下とNMR緩和法で評価された層間外水の割合は、10%以内の差で一致した。-10℃での縦緩和時間(T1)と横緩和時間(T2)の相関性評価から、密度1.4g/cm3の条件下においても、高い移動度をもつバルクに近い水分子が存在することが示唆された。

Applied Clay Science Vol.123 pp.148-155 2016

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地質環境特性調査・評価手法に関する研究

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
青柳和平、石井英一、石田毅

幌延深地層研究センターの350m調査坑道における掘削損傷領域の破壊様式の検討

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分坑道や立坑、斜坑といったアクセス坑道の掘削による応力再配分の影響により、坑道壁面周辺岩盤の水理・力学特性が顕著に変化する領域が生じる。このような領域を掘削損傷領域(Excavation Damaged Zone, EDZ)と呼ぶ。EDZは廃棄体定置後の核種移行経路の一つになると想定されていることから、詳細な性状の把握が求められる。そこで、幌延深地層研究センターを対象として、ボアホール・テレビューア(borehole tereviewer, BTV)観察、コア観察および定期的な透水試験を実施して、EDZの水理・力学特性について検討した。その結果、壁面から0.2~1.0mの範囲まで、坑道掘削に起因して生じた引張割れ目が発達していたことから、EDZは坑道から0.2~1.0mの範囲まで発生したと推定される。これは、破壊様式を考慮した三次元有限要素解析にも整合的であった。坑道掘削直後の坑道周辺岩盤の透水試験の結果から、引張割れ目が発達した領域における透水係数は、その外側領域と比較して3~5オーダー高いものであることがわかった。しかし、その後の2年間は、坑道周辺岩盤の透水係数に顕著な変化は見られなかった。これらのことから、透水性の高いEDZは、坑道掘削により短期的に形成されたものと推定された。

Journal of MMIJ Vol.133 No.2 pp.25-33 2017
岡崎泰幸、青柳和平、熊坂博夫、進士正人

トンネル掘削時のトンネル支保工応力に地山の不均質性が与える影響

トンネル支保設計では、特殊な地山条件や類似例が少ないなどの理由から、解析的手法が用いられることがある。支保部材を構造計算し定量的に評価する場合、初期応力状態や地山物性を事前に精度良く把握する必要があるが地山は不均質で均質ではない。本研究では地山の不均質性に着目し、不均質性を考慮した2次元トンネル掘削解析の解析結果を初期応力分布が明らかな幌延深地層研究計画における350m調査坑道の支保工応力計測結果と比較した。その結果、坑道で発生した支保部材の限界状態を部材の一部が超過する応力計測結果は、地山の不均質性を確率的に考慮することで説明できることがわかった。また、解析結果の支保工応力のばらつきを統計処理することで、地山の不均質性がトンネル支保工応力に与える影響を定量的に評価した。

土木学会論文集 F1(トンネル工学) (インターネット) Vol.72 No.3 (特集号) pp.I1-I15 2017
松井裕哉、見掛信一郎、池田幸喜、佐々木定雄

各種計測結果に基づく再冠水試験のための止水壁の機能評価

日本原子力研究開発機構は、文部科学省・経済産業省・原子力規制委員会の第3期中長期目標に基づく研究開発を平成27年度から進めている。この一環として、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所では、深度500mに掘削した研究坑道終端部において、再冠水試験と称する坑道周辺の地質環境の回復状況を把握・評価するための原位置試験を進めている。この試験のため、研究坑道内に地下水の圧力を保持するための止水壁を構築すると同時に、温度・圧力及び変位に関する各種計測機器を止水壁内外に設置し、冠水前後のそれらの変化をモニタリングした。その結果、構築した止水壁は、最初の冠水時に、施工不良部からの漏水が生じその補修を行ったものの、補修後の冠水では当初の止水壁の設計コンセプトが概ね満足され、水圧の保持機能が発揮されていることを確認し、平成28年3月より再冠水試験に移行している。本報では、止水壁の設計・施工・計測と計測結果に基づくその機能評価の概要を報告する。

第14回岩の力学国内シンポジウム
 神戸市
第14回岩の力学国内シンポジウム講演論文集 講演番号2 (6 pages)
2017
畑浩二、丹生屋純夫、青柳和平

光計測を用いた幌延深地層研究センターの立坑周辺岩盤における長期挙動評価

北海道幌延町に位置する国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターでは、高レベル放射性廃棄物地層処分技術の信頼性向上に係わる種々な研究を実施している。その内、空洞周辺岩盤の長期挙動モデルを開発するため、深度350m以深の立坑を対象に掘削前から掘削完了後の維持管理期間にわたって力学的・水理学的挙動に着目し、光式のAEセンサ・間隙水圧センサ・温度センサを用いて長期計測を継続中である。計測結果から、掘削時には立坑壁面に近いほどAE、間隙水圧および温度の変化は大きく、壁面1.5m程度までを掘削損傷領域と評価した。一方、掘削後の維持管理段階では、力学的な損傷領域の広がりは認められないが、立坑近辺では不飽和領域が広がることが認められた。

第14回岩の力学国内シンポジウム 神戸市
第14回岩の力学国内シンポジウム講演論文集 講演番号011 (6 pages)
2017
亀村勝美、青柳和平、名合牧人、菅原健太郎、松原誠

坑道掘削時内空変位に基づく広域岩盤の初期地圧評価

日本原子力研究開発機構が高レベル放射性廃棄物の地層処分技術開発として北海道幌延町で進めている幌延深地層研究計画は、平成12年度から開始された第1段階「地上からの調査研究」に引き続き、第2段階「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究」と第3段階「地下施設における調査研究」が実施されている。こうした地下施設の設計に当たっては、掘削対象の岩盤の力学特性は勿論、初期応力を如何に設定するかが重要であり、幌延においてもこれまでに、地上からのボーリング孔を用いた水平面内の初期地圧の評価や坑道掘削(地下施設建設)時に3深度に設けられた試験坑道における水圧破砕法による初期地圧の評価が行われている。今回深度350mの周回坑道掘削時の内空変位計測結果を用いて、数百m四方の岩盤の挙動を説明できる初期応力の推定を試みた。また、推定結果の精度をより高めるために岩盤の割れ目の発達状況を考慮して内空変位計測結果を評価し、検討を行った。その結果は、他の計測結果と整合しており、本解析手法の妥当性が確認された。

第14回岩の力学国内シンポジウム 神戸市
第14回岩の力学国内シンポジウム講演論文集 講演番号012 (6 pages)
2017
青柳和平、石井英一

幌延深地層研究センターの深度の異なる水平坑道を対象とした掘削損傷領域の水理力学特性の検討

堆積軟岩を対象とする幌延深地層研究センターの深度250mおよび350mの調査坑道において生じた掘削損傷領域(Excavation Damaged Zone, EDZ)の水理・力学特性を検討することを目的として、透水試験、コア観察、BTV観察を行った。結果として、250m調査坑道ではEDZの進展幅は壁面から約1.0mであり、EDZの透水係数は、健岩部と比較して約2-3オーダー程度大きかった。一方、350m調査坑道では、EDZの進展幅は壁面から0.4mまでであったが、EDZの透水係数は健岩部と比較して約5オーダー程度大きい結果であった。これらの関係性について、地山強度比と岩盤中のせん断変形に伴う局所的なダイラタンシーの程度を評価する指標であるDuctility Index(DI)の2つの物理パラメータを基に、深度と岩種の違いによるEDZの水理力学特性を検討した。結果として、EDZの進展幅は地山強度比と関連しており、EDZの透水係数の増大は、DIの値の違いにより説明できることが示唆された。

第14回岩の力学国内シンポジウム 神戸市
第14回岩の力学国内シンポジウム講演論文集 講演番号095 (6 pages)
2017
中嶋仁慶、小山倫史、龍田圭亮、片山辰雄、青柳和平

幌延深地層研究センターの換気立坑におけるグラウト注入シミュレーションおよびその効果の検証

本論文では、幌延深地層研究センターの深度250m以深の換気立坑掘削前に、透水性の高い断層部を対象として実施したグラウト施工を対象として、有限要素法により、非定常の浸透流解析および移流・分散解析を実施し、グラウト施工後の透水係数の分布を評価した。その結果に基づきグラウトによる透水性の改善効果について検討を行い、原位置におけるルジオン試験結果との比較により解析の妥当性について検討を行った。結果として、実際のグラウト施工により、透水性の高い断層部の透水係数の4オーダー程度の改善が見られ、その値は原位置のルジオン試験結果にも概ね整合することが示された。よって、グラウトによる透水性改善の検討について、本手法の適用可能性が示された。

第14回岩の力学国内シンポジウム 神戸市
第14回岩の力学国内シンポジウム講演論文集 講演番号127 (6 pages)
2017
石橋正祐紀、笹尾英嗣、濱克宏

深部結晶質岩マトリクス部における微小移行経路と元素拡散現象の特徴

花崗岩などの結晶質岩では、割れ目周辺母岩への物質の拡散(マトリクス拡散)が、割れ目中を流れる物質の希釈や遅延に効果があることが知られている。そのため、高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価において、マトリクス拡散現象は重要なものである。国内の岩体では、肉眼観察では変質を被っていない割れ目周辺の花崗岩(健岩部)でも、花崗岩マグマが冷却し固結した際に生じる熱水による変質(初生的変質)を被っており、この影響を検討することは重要である。しかし、肉眼観察で割れ目周辺に変質が認められない健岩部に着目された研究例はない。そこで、瑞浪超深地層研究所で採取した割れ目周辺健岩部を対象として、微視的空隙の分布および、それがマトリクス拡散に与える影響を考察した。その結果、割れ目周辺健岩部では、初生的変質で斜長石中心部に選択的に微視的空隙が形成されたこと、この空隙がマトリクス拡散経路として機能する可能性があることが明らかになった。これは変動帯に位置する日本の花崗岩体の地下環境では、初生的変質に伴う微視的空隙によって、割れ目周辺の健岩部でもマトリクス拡散による物質移動の遅延が期待できる可能性を示唆する。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.2 pp.121-130 2016
村上拓馬、笹本広、水野崇

希土類元素・トリウムおよびウランの堆積岩中における保持状態:北海道幌延地域における調査例

高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価に関して、地層中における長期にわたる物質の移動現象を調査するための手法開発が重要である。本研究では、幌延地域の地下深部に分布する堆積岩(声問層および稚内層)を一例に、希土類元素、トリウムおよびウランの分布(保持)状態を調査した。また、水理地質特性や岩相の違いによるこれら元素の分布状態への影響についても検討した。その結果、声問層および稚内層中の希土類元素やトリウムは、陸域起源の砕屑物由来の鉱物や堆積物埋没後の続成作用の過程で生じた二次鉱物に保持されており、地層の違いに依らず比較的均質に分布していると考えられた。また、ウランは、堆積時あるいは続成作用の過程の中で有機物への吸着や有機物の分解に伴う還元環境の形成により地層中に固定され、現在に至るまで長期にわたり保持されてきたと推察された。さらに、水理地質特性・岩相の違いによるこれらの元素の分布状態への影響は認められなかった。

地球化学 Vol.50 No.4 pp.299-317 2016
升元一彦、竹内竜史

地中レーダを用いた坑道近傍の岩盤内の水みちとしての割れ目の評価

岩盤内に掘削した坑道周辺の割れ目群は地下水の透水経路としての問題を生じさせることから、坑道周辺に分布する水みちとなる割れ目を把握することが重要となる。筆者らは、坑道周辺に分布する割れ目の地下水状況の面的な評価を非破壊的に行う方法として地中レーダに着目し、地中レーダによる割れ目の幾何学的な分布情報および割れ目内の地下水の状態の評価を進めている。本研究では、地中レーダによる割れ目中の地下水浸透状況の評価方法の検証を目的として瑞浪超深地層研究所の深度500m研究アクセス南坑道での原位置試験を実施した。その結果、本評価手法により坑道周辺の水みちとなる割れ目の評価が可能であることを確認するとともに、水みちとなる割れ目での塩水の浸透過程を地中レーダの反射波形や卓越波数の変化で評価できることを示した。

応用地質 Vol.57 No.4 pp.154-161 2016
加藤昌治、奈良禎太、福田大祐、河野勝宣、佐藤稔紀、佐藤努、高橋学

岩石の透水試験における環境温度の制御の重要性

放射性廃棄物の地層処分において、岩盤の透水性は重要な情報となる。透水試験において温度などの周辺環境の変化が測定結果に及ぼす影響を把握することは重要である。岐阜県産の土岐花崗岩を用いて、温度条件を変化させた透水試験をトランジェントパルス法で実施した。その結果、供試体の上流側と下流側に接続されている貯留槽の圧力差は、配管や継手の容積を含めた貯留槽容積が上流側と下流側で異なることや周囲の温度が変化したときに貯留槽や配管への熱伝達が上流側と下流側で異なることなどに起因して、温度変化が起きたときにそれに敏感に反応して変化していることが観察された。透水試験においては、大きな温度の変動はもちろんのこと、微小な温度変化でさえ、実験データに影響を及ぼすことが確認された。

材料 Vol.65 No.7 pp.489-495 2016
中山雅、丹生屋純夫、南出賢司

幌延URLにおける低アルカリ性セメント系材料の適用性確認

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において、坑道の空洞安定性確保や周辺岩盤のゆるみ領域の抑制、掘削に伴う湧水量の抑制のため、セメント系材料を用いた吹付けコンクリートやグラウトが検討されている。これらの材料の影響で坑道周辺の地下水のpHが高アルカリ化することにより、緩衝材を構成するベントナイトや周辺の岩盤を変質させ、人工バリアおよび天然バリアとしての性能に影響を与えることが懸念されている。このような影響を低減するために、日本原子力研究開発機構では、普通ポルトランドセメントにポゾラン材料を混合した低アルカリ性セメント(以下、HFSC)を開発し、化学的特性、機械的特性、施工性などについて検討を実施してきた。本研究では、HFSCを吹付けコンクリートとして、幌延深地層研究センター地下施設の350m調査坑道の施工に適用し、施工性について確認した。その結果、HFSCが現地のプラントを用いて製造可能であること、地下施設の設計基準強度を上回る強度発現が可能であること、および地下施設の通常の施工に使用されているセメント系材料と同等の施工性を有することが確認され、HFSCの地下坑道への適用性が確認された。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.25-30 2016
西尾和久、大澤英昭

超深地層研究所計画における地域社会との共生に向けた活動から学んだ教訓 -手続き的公正さと分配的公正さの視点から-

日本原子力研究開発機構では、これまで20年にわたり、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の基盤研究開発を行う深地層の研究施設の1つとして超深地層研究所計画を進めてきた。本計画を1995年に公表した当時、地域社会において本計画が高レベル放射性廃棄物の処分場の設置につながるのではないかとの不信感や懸念が生じたため、原子力機構は、地域社会との共生に向けた活動を行った。本稿では、原子力機構が本計画において実施した地域社会との共生に向けた活動を、NIMBY的施設の立地選定プロセスの社会心理学的な評価フレームとして取り上げられている手続き的公平さと分配的公平さの2つの視点で規範的に分析した。その結果は、代表的な市民の参加を得た地域パートナーシップの早期の構築と、その場における熟慮を情報提供や財政的な支援で支えていくことが重要であることを示唆した。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.9-24 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
T. Sasaki, T. Koukami, T. Kobayashi, A. Kirishima, H. Murakami, Y. Amano, T. Mizuno, T. Iwatsuki, H. Sasamoto and K. Miyakawa

Determination of dissolved natural thorium and uranium in Horonobe and Mizunami Underground Research Laboratory groundwater and its thermodynamic analysis

本研究では、幌延深地層研究センター及び瑞浪超深地層研究所の両地下施設を利用し、原位置の地下水中におけるウラン及びトリウムの存在状態について、ろ過径の異なるフィルターを用いて調査した。また、ろ過後の地下水の分析結果をもとに、熱力学的な解析を行い、溶解度制限固相について考察した。その結果、幌延の地下水では、ウラン及びトリウムともに溶存状態で存在する成分に加え、コロイドとしても存在していることがわかった。また、溶存状態で存在するウラン及びトリウムの濃度は、UO2(cr)及びThO2(cr)の溶解度でそれぞれ近似される可能性が示唆された。一方、瑞浪の地下水中のウラン・トリウムについては、幌延と比べるとコロイドとして存在する可能性は低く、地下水のウラン・トリウム濃度については、明確な制限固相を特定することが困難であった。これについては、さらなる研究が必要である。

Journal of Nuclear Science and Technology Vol.54 No.3 pp.373-381 2017
A. Kirishima, A. Kuno, H. Amamiya, T. Kubota, S. Kimuro, Y. Amano, K. Miyakawa, T. Iwatsuki, T. Mizuno, T. Sasaki and N. Sato

Interaction of Rare Earth Elements and Components of the Horonobe Deep Groundwater

高レベル放射性廃棄物地層処分における性能評価上重要な核種である3価マイナーアクチニド(MA(Ⅲ))は、天然の地下水中に存在する懸濁粒子や溶存イオン、コロイドなどと吸着反応や錯形成反応などの相互作用を起こし、見かけ上の溶解度が増加する可能性が知られている。このため、これらの放射性核種と地下水中に含まれる物質との相互作用を理解しておくことは、地層中でのこれらの放射性核種の移行評価を行う上で重要である。本研究では、堆積岩地域である幌延地域の深部地下水を用いて、MA(Ⅲ)のナチュラルアナログである希土類元素(REEs)を添加し、フィルターでろ過することにより、REEsの天然地下水中における挙動を調べた。その結果、イオン半径の小さいREEsほど地下水中に多く溶存している傾向が明らかになった。また、比較的大部分のREEsはリン酸塩として存在している可能性が強く示唆された。この結果は、高レベル放射性廃棄物の廃棄体から遠い将来に放出されると予想されているMA(Ⅲ)の移行挙動を予測する上で、リン酸陰イオンが重要な役割を果たすことを示唆している。

Chemosphere Vol.168 pp.798-806 2017
D. Asahina, K. Aoyagi, K. Kim, J. T. Birkholzer and J. E. Bolander

Elastically-homogeneous lattice models of damage in geomaterials

This study involves the development of the auxiliary stress approach for producing elastically-homogeneous lattice models of damage in geomaterials. The lattice models are based on random, three-dimensional assemblages of rigid-body-spring elements. Unlike conventional lattice or particle models, the elastic constants of a material (e.g., Young's modulus and Poisson's ratio) are represented properly in both global and local senses, without any need for calibration. The proposed approach is demonstrated and validated through analyses of homogeneous and heterogeneous systems under uni- and tri-axial loading conditions. Comparisons are made with analytical solutions and finite element results. Thereafter, the model is used to simulate a series of standard laboratory tests: (a) split-cylinder tests, and (b) uniaxial compressive tests of sedimentary rocks at the Horonobe Underground Research Laboratory in Hokkaido, Japan. Model inputs are based on physical quantities measured in the experiments. The simulation results agree well with the experimental results in terms of pre-peak stress-strain/displacement responses, strength measurements, and failure patterns.

Computers and Geotechnics Vol.81 pp.195-206 2017
K. Miyakawa, E. Ishii, A. Hirota, D. Komatsu, K. Ikeya and U. Tsunogai

The role of low-temperature organic matter diagenesis in carbonate precipitation within a marine deposit

炭酸塩はその形成時に、地下水水質の変遷履歴などの古水理地質情報を記録している可能性があり、地下に形成された炭酸塩脈は、過去の環境の変遷を知る手掛かりになる。本研究では、北海道北部の新第三系海成堆積岩である声問層と稚内層中に見られる炭酸塩脈の産状のコントラストについて、炭酸の供給源の観点からその成因を検討した。炭酸塩脈は、珪藻質泥岩の声問層中にはほとんど見られないが、珪質泥岩の稚内層中には見られる。地下水中に溶存している多量のメタンは微生物活動による二酸化炭素還元反応によって形成されていることが、同位体比分析の結果から分かった。岩盤中の全有機物量は、声問層では深度の増加とともに小さくなるが、稚内層では深度によらず一定であることが分かった。これはこれらの地層境界が、有機物の続成作用区分としてダイアジェネシス期からカタジェネシス期への変化点に相当することを示唆しており、ガスや炭酸塩の炭素同位体比もまた、稚内層中では深度とともに急に重くなっていることが分かった。以上のことから、次のような炭酸塩脈の形成プロセスが考えられる。有機物の続成作用があまり進んでいない声問層では、微生物により有機物が分解され、二酸化炭素が地下水中に供給される。一方で、声問層と比較した時に、稚内層では続成作用が進んでおり、有機物が比較的分解されにくい。このため、メタン生成反応に伴う炭酸の消費が補われることがないため、同時に炭酸塩脈が形成されやすい環境であったことが推察された。

Applied Geochemistry Vol.76 pp.218-231 2017
T. Hasegawa, K. Nakata, Y. Tomioka, K. Goto, K. Kashiwaya, K. Hama, T. Iwatsuki, T. Kunimaru and M. Takeda

Cross-checking groundwater age by 4He and 14C dating in a granite, Tono area, central Japan

岐阜県東濃地域に分布する花崗岩中の地下水について、He-4法およびC-14法を利用した年代測定を行った。6本の深度1000m級のボーリング孔を利用して合計30区間から地下水試料を採取した。地下水の流動経路に沿って、He-4濃度は増加し、C-14濃度は減少する傾向があり、両者から推定される年代値には線形相関が認められた。このような複数の指標を利用して年代測定を行うことにより、信頼性の高い年代値が取得できると考えられる。

Geochimica et Cosmochimica Acta Vol.192 pp.166-185 2016
K. Aoyagi, M. Nago, K. Kamemura and K. Sugawara

Estimation of Rock Mass Stress State Based on Convergence Measurement during Gallery Excavation

Estimates of rock mass stress state and the mechanical characteristics of rock mass are important in the design of deep underground structures such as high-level radioactive waste disposal repositories. Stress measurements are conducted in boreholes to provide estimates of stress state. However, measurement results can vary highly as a result of rock mass heterogeneity, which causes difficulty in stress state evaluation. This study establishes a practical and effective method for estimating in situ stress based on the convergence measurement results obtained during gallery construction of the Horonobe Underground Research Laboratory (URL) project. The convergence was measured in various directions of the URL loop gallery to allow determination of the stress state over a large area. A back-analysis method was developed using the convergence measured during gallery excavation at 350m depth. This method was applied to estimate the stress state corresponding to the rock mass behavior around the URL. The analysis results show good agreement with the in situ stress state reported in previous studies and confirm the applicability of the proposed method.

9th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS9) Bali (Indonesia)
Proceedings of 9th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS9)   (USB Flash Drive) 10 Pages
2016
K. Nakata, T. Hasegawa, T. Iwatsuki and T. Kato

Comparison of 14C Collected by Precipitation and Gas-Strip Methods for Dating Groundwater

地下水の14C年代測定に必要な溶存無機炭酸(DIC)の回収法(沈殿法とガス化法)の違いが、14C測定値に与える影響について検証を行った。その結果、ガス化法で回収されたDICの14C値は理論的に想定される値と同等の値を示した。一方で、沈殿法で回収されたDICの14C値は、理論値より高い値を示し、回収処理中に現代炭素による汚染が生じることが確認された。汚染の程度は、使用した試薬の量などから算出することができた。地下水の14C年代測定については、調査目的に応じてDIC回収方法を選択する必要があると考えられた。

Radiocarbon Vol.58 No.3 pp.491-503 2016
M. Tsuji, S. Kobayashi, T. Sato, S. Mikake and H. Matsui

Post-grouting with colloidal silica at great depth of the Mizunami Underground Research Laboratory, Japan

本論文は、瑞浪超深地層研究所(MIU)の大深度地下において実施したコロイダルシリカを用いたグラウト(CSG)の適用性を示している。瑞浪超深地層研究所では、深度300mにおけるポストグラウト試験で3年以上にわたりその耐久性と適用性が確認された。さらに、スウェーデンのプロジェクトとこの試験に関して、CSGの適用性を比較した結果、MIUにおいてスウェーデン式の理論的設計の適用性が示された。これを受け、MIUの深度500mの坑道においてさらなる湧水抑制とグラウチング手法の開発のためにスウェーデン式のグラウチング設計法を用いたCSGを実施し、このポストグラウチングによって湧水の低減が図られ、グラウチングした岩盤の透水係数は10-9m/sより小さいと評価された。

Nordic Grouting Symposium Oslo (Norway)
Proceedings of 8th Nordic Grouting Symposium pp.171-185
2016
A. Hayano and E. Ishii

Relationship Between Faults Oriented Parallel and Oblique to Bedding in Neogene Massive Siliceous Mudstones at The Horonobe Underground Research Laboratory, Japan

幌延URLの立坑掘削の先行ボーリング調査と、その後の立坑および水平坑道の掘削時に実施される坑道壁面の割れ目観察の結果に基づき、塊状珪質泥岩からなる新第三紀の稚内層における層理面に平行な断層(層面断層)と層理面に交差する断層(交差断層)の分布が示された。幅数mmから数cm程度の明瞭な断層ガウジを伴う層面断層は、少なくとも数十メートルにわたって分布していることが確認された。そして、層面断層が交差断層に切られていたことは、層面断層が形成された後、交差断層が形成されたことを示しており、既往研究の結果と矛盾しない。ある一定の大きさを持ち、より先に存在した層面断層は、後に形成される交差断層の進展を規制するメカニカルレイヤーとして機能していた可能性があり、層面断層の近傍において交差断層が終結する産状から示唆される。

World Multidisciplinary Earth Sciences Symposium (WMESS2016) Prague (Czech Republic)
IOP Conference Series: Earth and Environmental Science 44 pp.022004_1 - 022004_8 (2016/10)
2016
E. Ishii

The role of bedding in the evolution of meso- and microstructural fabrics in fault zones

すべり面の変位センスは古応力場の解析など様々な研究で重要であり、最近はテクトニック・ノンテクトニックな断層の区別においても重要な情報として着目されている。すべり面沿いの破断ステップを形成する二次割れ目は広く観察される地質構造であり、変位マーカーのずれやガウジ中の非対称構造が使用できない場合は変位センスの決定に欠かせない指標である。本研究は一見、正断層に見える層面すべりが逆断層であることを詳細な微視的観察と鉱物化学分析より明らかにした。層面すべり面沿いには粘土鉱物のすべりとオパールCTのpressure solutionによる延性変形が全般的に起こっており、すべり面の形成過程において、脆性的な岩石に一般的なR面の発達ではなく、P葉理の発達が先行しておこっている。このような現象は過去に報告例がないが、溶解しやすい鉱物と粘土鉱物が共存する堆積岩において広く起こり得る現象であり、断層・地すべり調査にかかわる多くの研究者・技術者にとって有益な情報となり得る。

Journal of Structural Geology Vol.89 pp.130-143 2016
T. Tokiwa, K. Aoyagi and T. Fujita

Excavation damaged zone inferred by geophysical surveys on drift floor of Horonobe URL

Seismic refraction surveys were carried out on the floor of a drift in the Horonobe URL of Japan for understanding of the extent of EDZ. As a result, the extent of the low velocity zone ranges from 1.5 to 3.0 m; the extent on the center line of the drift is the largest. On the other hand, the extent of the EDZ on the drift wall is less than 1.0 m from previous studies. Thus, it is considered that the excavation damage on the drift floor is much larger than that of on the drift wall. Also, the result of the numerical analysis is consistent with that tendency. Furthermore, we also suggest the conceptual model of the EDZ showing the extent, hydraulic and mechanical properties of rock mass, and characteristic of the fracture from the results of this research and previous studies.

2016 ISRM International Symposium (EUROCK 2016) Cappadocia (Turkey)
Proceedings of 2016 ISRM pp.901-906
2016
K. Aoyagi, T. Tokiwa and T. Fujita

A study of efficient excavation limiting the extent of an excavation damaged zone in Horonobe URL

In excavation of a repository for high-level radioactive waste, it is important to limit the extent of the excavation damaged zone (EDZ) with efficient excavation rate. The objective of this study is to reveal the relationship among the extent of the EDZ, excavation direction related to in situ stress orientation, and excavation rate in detail. From the result of seismic refraction survey, the extent of the EDZ is estimated within 0.5m into the gallery wall. The excavation rate of the gallery excavated almost parallel to the maximum principal stress was 1.1 to 1.3 times faster than that of the gallery excavated almost perpendicular to the maximum principal stress. Considering the excavation rate, fracture length, and the extent of the EDZ, excavation of galleries parallel to the maximum principal stress leads to limit the development of the EDZ with efficient excavation.

2016 ISRM International Symposium (EUROCK 2016) Cappadocia (Turkey)
Proceedings of 2016 ISRM pp.1023-1028
2016
T. Sakaki, M. Komatsu and R. Takeuchi

Extending Water Retention Curves to Quasi-Saturated Zone Subjected to a High Water Pressure up to 1.5 Megapascals

瑞浪超深地層研究所で実施される再冠水試験では、飽和度は回復プロセスを理解するために観測するキーパラメータの1つとなる。本報では、水圧上昇による気泡の圧縮に伴う準飽和帯での飽和度増加プロセスを取りまとめた。砂試料を用いた室内試験によって水圧上昇と飽和度との関係を計測し飽和過程における気泡の圧縮効果について分析した結果、水圧-飽和曲線はボイルの法則を用いた気泡の圧縮を基に推定された関係に従うことを確認した。この観測結果に基づいて、正圧の範囲での水圧-飽和曲線を定義するための数学モデルを構築した。

Vadose Zone Journal Vol.15 No.8 (Internet) 7pages 2016
Y. S. Togo, Y. Takahashi, Y. Amano, H. Matsuzaki, Y. Suzuki, Y. Terada, Y. Muramatsu, K. Ito and T. Iwatsuki

Age and speciation of iodine in groundwater and mudstones of the Horonobe area, Hokkaido, Japan: Implications for the origin and migration of iodine during basin evolution

ヨウ素の地層中での移行挙動を理解するうえで、化学状態(価数及び局所構造・結合状態)を把握することは重要である。ヨウ素は環境中で一般的には陰イオンの形態を取りやすく、地層への収着性が低い元素であるとともに、陰イオンの他にさまざまな化学形態をとり、各形態で挙動が異なるため、移行挙動の予測は極めて難しい。そこで、本研究では固液両相の化学形態を分析し、表層土壌圏及び地下岩石圏でのヨウ素の挙動解明を試みた。その結果、有機物が熟成される過程でヨウ素イオンが地下水中に溶出されることが示唆された。また、表層で有機態として固相へ分配されたヨウ素は、深層で無機態となって液相へと溶出するが、一部は有機ヨウ素として固相に残ることが明らかとなった。

Geochimica Cosmochimica Acta Vol.191 pp.165-186 2016
M. Ishibashi, H. Yoshida, E. Sasao and T. Yuguchi

Long term behavior of hydrogeological structures associated with faulting: An example from the deep crystalline rock in the Mizunami URL, Central Japan

断層周辺に発達するダメージゾーンは、選択的な物質移動経路となりうることから、これらの水理学的な特長およびその長期変遷を把握することは重要である。そこで、本研究では瑞浪超深地層研究所の深度300mおよび500mにおける調査結果に基づき、ダメージゾーン中の透水性割れ目の特徴とその長期変遷について検討を行った。ボーリング調査や坑道壁面観察の結果から、断層周辺岩盤は3つのステージを経て現在に至ると考えられ、それぞれのステージでダメージゾーン中の透水性割れ目の透水性が変化していたと考えられる。1stステージは初生的な割れ目が形成されるステージ、2ndステージは断層運動に伴いダメージゾーンが形成されるステージ(透水性が増加)、3rdステージは割れ目充填鉱物が形成され、ダメージゾーン内の割れ目が充填または閉塞されるステージ(透水性の低下)である。3rdステージでは、割れ目内に未固結の充填物も形成され、これがダメージゾーン中の透水性割れ目の透水性をより低下された可能性がある。以上より、日本のような変動帯において、断層影響を評価する上では断層の発達ステージを考慮して検討することが重要である。

Engineering Geology Vol.208 pp.114-127 2016
T. Motoshima, T. Fujita, K. Aoyagi, M. Shirase and M. Nago

Design and verification of support system for underground excavations under anisotropic stress conditions

This study addresses and demonstrates the economic support design scheme considering in-situ stress orientation and excavation direction, based on the work carried out in the Horonobe Underground Research Laboratory (URL) project. In the URL, the tunnel at the 350 m level is laid out in a loop. In construction of a loop tunnel in a rock mass under anisotropic in-situ stress conditions, the in situ stress orientation and the excavation direction are expected to affect the convergence associated with the excavation-induced stress redistribution. This suggests that it is possible to achieve economic optimization by selecting a tunnel layout, in which only a small displacement and stress are allowed, based on in-situ stress orientation obtained from the surface investigation. Therefore, in this study, a comparison between the predicted convergence used for the support design and the measured convergence during excavation was conducted in order to verify the validity of the convergence predicted from the orientation and magnitude of the in-situ stress obtained from the surface based investigation. The comparison results indicated a positive correlation between the predicted and the measured convergence. These results suggest the validity and reliability of the in-situ stress obtained from the surface investigation and the support design using the in situ stress data.

7th International Symposium on In-Situ Rock Stress Tampere (Finland)
Proceedings of 7th International Symposium on In-Situ Rock Stress (RS 2016) p. P13-4
2016
T. Fujita

Observational method of shafts in Horonobe Underground Research Center

当該学会のパンフレット(TUNNELLING ACTIVITIES IN JAPAN 2016)において幌延深地層研究センターで実施した三次元地質情報・施工情報可視化システムによる立坑の情報化施工について紹介する。

World Tunnel Congress 2016 San Francisco (USA) 2016
R. Honda, K. Yanagizawa, M. Okubo, Y. Asai and T. Tanaka

Modeling coseismic groundwater level change with the constraint of gravity data

東濃地震科学研究所とその周辺の3観測点において2003年からFG-5重力計による絶対重力測定が行われてきた。この期間中に2つのタイプの地下水位変化が観察されている。1つは瑞浪超深地層研究所の500メートル立坑の掘削に伴う12年間で80メートル程度の水位低下、もう一つは地震時の水位変化である。一般に地下水位が上昇する場合重力値は増加し、逆もまた然りである。それにもかかわらず3観測点での重力値は長期的水位低下に対して全く減少を示さない。明瞭な地震時重力変化は2例のみ観測されている。1つは2004年紀伊半島南東沖地震(Tanaka et al., 2006, G3)であり、他方は2011年東北地方太平洋沖地震であった。重力観測点間の距離は2キロ以内である。2011年東北地方太平洋沖地震に際して地震時の重力の減少がこれら3観測点で同様に約10マイクロガルであった。これは質量が等価的にこれら3観測点から離れたことを示唆する。透水性の構造を明らかにした既存の水理地質学的研究に基づいて、我々は重力と地下水位データの両方を説明可能な地震時地下水流動のモデルを提案する。我々のモデルの基本的なコンセプトは、「水は地球の重力により下方に流れる」ということである。

2016 National Ground Water Association Groundwater Summit Denver (USA) 2016
Y. Ozaki

Interview on EAGE Asia Pacific newsletter

本記事は、欧州物理探査学会(EAGE)の広報誌での技術者・研究者紹介の記事である。本記事は学生向けの内容であり、なぜ地球科学分野に興味を持ったのか、現在の仕事の内容やこの仕事を選んだ理由、これまで身に付けた知識の現在の仕事への活用などに関して述べている。

EAGE NEWSLETTER ASIA PACIFIC 2016 No.1 p.9 2016
K. Ino, U. Konno, M. Koduka, A. Hirota, Y. Togo, A. Fukuda, D. Komatsu, U. Tsunogai, A. Tanabe, S. Yamamoto, T. Iwatsuki, T. Mizuno, K. Ito and Y. Suzuki

Deep microbial life in high-quality granitic groundwater from geochemically and geographically distinct underground boreholes

瑞浪超深地層研究所の深度300mの花崗岩中の地下水を対象として、ボーリング孔を利用した微生物特性の調査を行った。ボーリング孔から得られた地下水は、当初、好気性の水素酸化に関わるHydrogenophaga spp.が優勢種であったが、3年後にはNitrospirae門の微生物が優勢種となった。後者の微生物種は系統学的に深部地下水や陸域の温泉水において観察される種であり、この地域の土着の微生物種と考えられた。

Environmental Microbiology Reports Vol.8 No.2 pp.285-294 2016
D. Aosai, D. Saeki, T. Iwatsuki and H. Matsuyama

Efficient condensation of organic colloids in deep groundwater using surface-modified nanofiltration membranes under optimized hydrodynamic conditions

地下水中の有機コロイドは、放射性核種の移動に関わる重要な因子である。その濃度は、一般的に低濃度なため直接的に分析することが難しい。本研究では、瑞浪超深地層研究所で得られる地下水に対して、ナノサイズの濾過手法に関わるろ過材やろ紙の目詰まりを避けるための濾過条件の検討を行った。その結果、有機コロイドの5倍濃縮時の回収率を従来の約62%から92%に改良することができた。また、濃縮回収率の向上により、有機コロイドに対する熱分解質量分析法の適用が可能になった。

Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects Vol.495 pp.68-78 2016

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地質環境の長期的安定性に関する研究

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
K. Tokuyasu, K. Yasue, T. Komatsu, I. Tamura and Y. Horiuchi

Characteristics of Electron Spin Resonance Signal of Quartz from Sediments and Adjacent Bedrocks

日本の山地では、一般的に隆起による高度増大に伴い侵食速度が増大する傾向がある。侵食速度が隆起速度と動的平衡状態にある山地では、時間が経っても平均高度が一定に保たれるため、山地から平野にかけての地下水流動は時間経過によって変化しないと考えられる。一方、隆起開始から時間が十分に経過しておらず動的平衡状態に至っていない山地は、今後、高度の増大に伴って地下水流動が変化する可能性がある。放射性廃棄物の地層処分においては、このような地形変化に伴う地質環境を把握することが重要な検討課題となるため、本研究では、砕屑粒子をその周辺の基盤岩中の石英の電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance; ESR)信号特性を比較し、石英の供給源を推定する手法の有効性について検討した。ESR測定の結果、堆積物とその起源となり得る基盤岩のESR特性が類似していたことから、石英粒子のESR信号特性を用いる方法は堆積物の供給源推定に有効であると考えられる。

高崎量子応用研究所 研究年報 2015 3-32 p.189 2017
清水麻由子、佐野直美、鈴木和博

JAEA東濃地科学センターのJEOL JXA-8530F FE-EPMA を用いた鉱物分析と年代測定

東濃地科学センターのJEOL JXA-8530F FE-EPMAを用いて、モナザイト CHIME年代測定法の実用化と重鉱物を用いた後背地解析手法の構築を行った。CHIME年代測定では、本装置が備えるH型分光器の利点をいかし従来よりも短時間で測定できるよう、X線の干渉補正係数を求め干渉補正を行った。CHIME年代測定を行う上で問題になるThやUの特性X線の干渉補正には、これらの純物質を測定して補正係数を求めるのが最も近道であるが、日本では法規制によりこれらの純物質が使用できない場合もある。そこで、天然のモナザイトの測定データから干渉補正係数を求める方法を考案した。このようにして求めた干渉補正係数を用いて補正を行い、年代既知のモナザイトのCHIME年代を求めた。その結果、誤差の範囲で既存研究の結果と一致した。更に、重鉱物の存在比と化学組成から後背地解析を行う手法も整備した。短時間で可能な限り多くの鉱物粒子を測定するため、1スポットを約3分半で測定できるよう条件を設定した。露頭記載やESR信号測定が既になされている砕屑性堆積物試料にこの手法を適用したところ、これらのデータと整合的な結果を得ることができた。

名古屋大学年代測定研究 1 pp.36-43 2017
熊谷秀平、梅田浩司、鎌滝孝信、小岩直人、藤田奈津子

青森県鰺ヶ沢町にみられるイベント堆積物

日本海沿岸の古地震・古津波研究の一環として、青森県の日本海沿岸における過去の津波痕跡に関する調査を実施している。平成28年度に実施した青森県鰺ヶ沢町鳴沢川周辺での津波堆積物調査の結果、有機質シルト層の中に水流によって運ばれてきたと考えられるイベント堆積物(砂層)が見出された。そのため、イベント堆積物の空間分布の調査および年代測定を行い、津波堆積物の可能性に関するより詳細な検討を実施した。採取されたほとんどの地点でのボーリングコア試料には、沖積低地に堆積した有機質シルトや泥炭を主体とした細粒堆積物中に砂を主体とした粗粒堆積物が数枚挟まれることが明らかになった。調査の結果、津波は美ノ捨地区の北側から押し寄せ、逆に洪水は南側から押し寄せ、それぞれ堆積物を残すような規模で発生していたと解釈することができた。

東北地域災害科学研究 Vol.53 2017
亀田純、清水麻由子

海溝型地震・津波発生における粘土鉱物の役割

The very large slip on the shallow portion of the subduction interface during the 2011 Tohoku-oki earthquake (Mw 9.0) caused a huge tsunami along the northeast coast of Honshu, Japan. In order to elucidate the mechanics of such tsunamigenic slip, the Integrated Ocean Drilling Program Expedition 343 (Japan Trench Fast Drilling Project, JFAST), was carried out one year after the earthquake and succeeded in recovering rocks constituting the active plate boundary fault. Mineralogical analyses using X-ray diffraction revealed that the shallow portion of the megathrust is significantly enriched in smectite (60-80wt.%) compared to the surrounding sediments. This mineralogical feature is a fundamental reason for realizing the weak fault zone under various slip conditions as demonstrated by laboratory friction experiments. The smectite-rich deposits are broadly distributed in the northwestern Pacific Ocean, and may therefore potentially enhance conditions for large shallow slip during earthquakes, which would result in large tsunamis for this region.

粘土科学 Vol.54 No.3 pp.105-113 2016
永田和宏、松原章浩、國分陽子、中村俊夫

加速器質量分析による日本刀の14C年代と暦年代

本研究では、鋼で作られた4種類の日本刀に含まれる炭素の同位体である放射性同位体14Cと安定同位体の12Cと13Cを加速器質量分析計により定量した。そして、14Cの放射性壊変による濃度減少を利用した放射性炭素年代法により14C年代を求め、さらに暦年較正により暦年代を決定した。また、この暦年代と茎に刻印された作者の活動時期とを比較し、刀の製作年代を検証した。放射性炭素年代より求めた暦年代と、作者名や作者が活動した年代に木炭の樹齢を考慮すると、最も古くかつ確率密度の高い年代が刀の制作年代に対応することが分かった。

鉄と鋼 Vol.102 No.12 pp.736-741 2016
徳安佳代子、古田定昭、國分陽子、梅田浩司

光ルミネッセンス測定装置への密封β線源の導入と放射線管理 -日本原子力研究開発機構土岐地球年代学研究所での例-

地質試料の年代測定を行うため、日本原子力研究開発機構土岐地球年代学研究所に光ルミネッセンス測定装置(Riso TL/OSL DA-20)が導入された。本装置では、試料に人工放射線を繰返し照射して試料に蓄積された線量を求めるため、密封線源を装置へ据付ける必要がある。しかし、本装置の放射線管理に関する情報はほとんどない。そこで本稿では、線源を受入れるまでの流れを紹介するとともに、線源の据付や使用における放射線管理について報告する。

日本放射線安全管理学会誌 Vol.15 No.1 pp.80-87 2016
丹羽正和

地層処分と地質環境の長期安定性:地震・断層活動に伴う地下水流動系の変化に関する検討事例

地震や火山活動といった地殻変動が活発な日本列島では、これら地殻変動によって生じる地質環境の長期的な変化を適切に予測・評価することが、地層処分の信頼性向上にとって必要不可欠となる。地震を引き起こす断層については、その活動性評価に加え、周辺岩盤中の地下水流動を把握する観点からも重要な調査対象となる。本稿では、地質環境の長期的な変化について評価した研究事例として、瑞浪超深地層研究所周辺における地下水圧変化の観測データに基づき、2011年東北地方太平洋沖地震に伴い断層の透水性が変化したかどうかを検討した。地下水圧変化の潮汐成分から計算した結果、観測した地域では地震に伴う断層の透水性の変化は認められないことが明らかとなった。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.93-97 2016
谷川晋一、三箇智二、安江健一

河川の土砂運搬作用を考慮した河床縦断面形のシミュレーション

従来の河川地形変化のモデル(拡散過程のモデル)は、特に下流域における土砂運搬量を適切に表現出来ていなかった。この問題を解決するため、河川の土砂運搬能力を、河床堆積物の粒径と河川流量の関数として下流側へ増大させる数理モデルを提案し、これに基づくシミュレーションプログラムを開発した。さらに本研究では、仮想の河川における河床縦断面形発達のシミュレーションを実施し、開発したプログラムの有効性を確認した。また、合流による河床上昇の問題を解決できることも確認した。本シミュレーション手法は、河川における地形発達過程の理解の一助になるものと考えられる。

地形 Vol.37 No.2 pp.189-207 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
T. Yokoyama, K. Misawa, O. Okano, H. Minowa and T. Fukuoka

Photostimulated luminescence applicable to pre-screening of potassium-rich phases in chondritic breccias

角礫岩コンドライト等の惑星物質中からは、アルカリに富む物質が認められることがある。このアルカリに富む物質は、肉眼で惑星物質中の他の構成要素と識別することが困難であるため、宇宙化学的及び同位体化学的研究を実施するためには、これらを簡便に分離・同定する手法の確立が必要であった。本研究では、40Kの放射壊変に伴うβ線によってイメージングプレートが感光する原理を利用し、アルカリに富む物質の同定手法を確立した。感光実験の結果、対象試料中にカリウムがおよそ30μg(放射能にしておよそ1mBq)含まれていれば約50日間の曝射でイメージングプレートの感光が確認され、アルカリに富む物質の同定が可能であることが分かった。本手法は非破壊・非汚染で簡便にカリウムに富む物質を選別することを可能とし、40K-40Caや40K-40Ar(39Ar-40Ar)年代測定等の対象試料の選別に極めて有効な手法である。

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry Vol.310 No.1 pp.81-89 2016
M. Niwa, K. Shimada, K. Aoki and T. Ishimaru

Microscopic features of quartz and clay particles from fault gouges and infilled fractures in granite: Discriminating between active and inactive faulting

断層ガウジの活動性の評価に資するため、ガウジの粒径分析と、電子顕微鏡(SEMおよびTEM)を用いた微小粒子の観察を行った。ガウジの粒径分布は、大局的には繰り返し活動している活断層のガウジの方が細粒粒子の割合が増加する。石英粒子のSEM観察では、活断層のガウジの方が新鮮な結晶面を残す粒子が多く見られた。一方、ガウジ中の粘土鉱物のTEM観察では、活断層ガウジの粒子の方が摩耗または溶食により円摩されている傾向がある。このような傾向が生じるのは、繰り返しの断層活動により、相対的に弱い粘土鉱物が摩耗または溶食の影響を大きく受けるのに対し、花崗岩岩片の破砕、細粒化の進行により新鮮な結晶面を持つ石英粒子がガウジに多く供給されたためと考えられる。

Engineering Geology Vol.210 pp.180-196 2016
S. Tonai, S. Ito, Y. Hashimoto, H. Tamura and N. Tomioka

Complete 40 Ar resetting in an ultracataclasite by reactivation of a fossil seismogenic fault along the subducting plate interface in the Mugi Melange of the Shimanto accretionary complex, southwest Japan

地震源性の化石断層である南阿波断層の活動年代を調べるために、粘土鉱物のK-Ar年代測定を行った。メランジェの基質の頁岩から得られたK-Ar年代は85から48Maであり、砕屑性雲母鉱物の量の減少に伴って年代が若くなる傾向を示した。対照的に、断層の中心部から採取したウルトラカタクレーサイトのK-Ar年代は明らかにメランジェより若く、29から23 Maとなり、かつ粒径との相関は見られなかった。このことは、23から29Maの間にウルトラカタクレーサイトから40Arが完全に散逸したことを意味する。ウルトラカタクレーサイトにおける40Arの散逸は、断層が再活性化した際に起こった摩擦による加熱もしくは熱水の侵入によるものと思われる。この結果は、付加複合体中の整合層からテクトニックメランジェを分離する地震源性断層が、付加の進行中のみならず、付加が完了した後にも滑った可能性を示す。

Journal of Structural Geology Vol.89 pp.19-29 2016
M. Niwa, K. Shimada, H. Tamura, K. Shibata, S. Sueoka, K. Yasue, T. Ishimaru and K. Umeda

Thermal Constraints on Clay Growth in Fault Gouge and Their Relationship with Fault-zone Evolution and Hydrothermal Alteration: Case Study of Gouges in the Kojaku Granite, Central Japan

花崗岩中にしばしば発達する熱水変質起源の粘土鉱物脈は、断層活動や地すべりの際のすべり面となり得るので、粘土鉱物脈の性状や分布、発達過程を把握することは、花崗岩地域における原子力施設の耐震安全評価等において非常に重要である。本研究では、敦賀半島に分布する断層ガウジおよび粘土鉱物脈の鉱物分析、およびK-Ar年代測定を行い、粘土鉱物の発達過程について検討した。観察・分析の結果、これらの粘土鉱物は、花崗岩が貫入後、冷却していく過程で形成された地質学的に古いものであることが明らかとなった。

Clays and Clay Minerals Vol.64 No.2 pp.86-107 2016

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使用済燃料直接処分に関する研究

国内
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
長田正信、近沢孝弘、赤堀邦晃、北村暁、舘幸男

諸外国における使用済燃料直接処分のソースターム評価 -(1)使用済燃料および構造材からの瞬時放出率の評価

わが国では、使用済燃料の全量を再処理し、そこで発生する高レベル放射性廃液のガラス固化体を深地層中へ埋設することとしている。一方で、将来のエネルギー情勢の変化に柔軟に対応するため、使用済燃料を直接地層中に埋設処分する手法(直接処分という)についても技術的成立性を検討している。直接処分の安全性を評価するためには、処分後のある時期に閉じ込め機能が喪失した際に、使用済燃料から地下環境中へ放出される核種の種類や放出量等(総称してソースタームという)を設定する必要がある。しかし、これらの詳細な検討は、国内では未実施である。このことを受け、わが国における直接処分の安全評価に資することを目的として、ソースタームのうち瞬時放出に着目し、本分野での先進諸外国の安全評価事例を調査した。諸外国における安全評価の内容を比較した結果、引用する試験データは各国でほぼ同様であったが、最終的なソースターム設定は、各国の事情(炉型や想定燃焼度等)を加味した結果として各国間で違いがみられた。また、設定値が含む不確実性の表現も各国で異なり、推奨値に加え悲観的値を設けるケースや、中央値と標準偏差を与えるケース等の違いがみられた。本調査内容は、わが国における直接処分の安全評価のための基盤情報として有効である。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.31-54 2016
北村暁、近沢孝弘、赤堀邦晃、舘幸男

諸外国における使用済燃料直接処分のソースターム評価 - (2)使用済燃料および構造材の溶解速度評価

わが国では、従前の高レベル放射性廃棄物の地層処分に加えて、使用済燃料を直接深地層中に処分する方策(以下、直接処分)など、代替処分オプションに関する調査・研究が開始されている。このことを受け、直接処分の安全評価に必要となるパラメータのうち、使用済燃料および構造材(ジルカロイ被覆管や制御棒など)の溶解速度の設定に資することを目的として、直接処分の安全評価を進めている欧米各国の設定値を一覧するとともに、設定根拠および不確実性評価について調査した。欧州各国は設定にあたって欧州委員会主催のプロジェクトの成果を踏まえていることから、その内容についても概説した。溶解速度設定の根拠となる実測値については、各国とも共通して用いられているものが多く、得られた設定値についても類似しているものが多く見受けられた。また、不確実性については定量的な評価が難しいことから、各国とも保守的にパラメータを設定している様子が見受けられた。以上の内容は、わが国の直接処分の安全評価における溶解速度の設定の基盤情報として有効である。

原子力バックエンド研究 Vol.23 No.1 pp.55-72 2016

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国外
著者 タイトル(クリックで要旨) 発表先 発表年
A. Kitamura and K. Akahori

Effect of carbonate concentration on the dissolution rates of UO2 and spent fuel - A review

日本では、使用済燃料の再処理を経て生成するガラス固化体の地層処分の代替オプションのひとつとして、使用済燃料そのものを深地層中に処分(直接処分)する可能性について、検討を開始している。キャニスターが破損したのちに使用済燃料に接触する水の組成について、現在日本で想定している炭酸濃度が10-2 mol dm-3であり、これは欧州各国の設定値より約1桁高い値となっている。使用済燃料の溶解速度は炭酸濃度に依存し、ウラン(Ⅵ)の炭酸錯体の生成により促進されると考えられる。日本での代替オプションのひとつである直接処分システムにおける信頼性の高い使用済燃料溶解速度を設定するために、二酸化ウランおよび使用済燃料の溶解速度に及ぼす炭酸濃度の影響をレビューした。

Materials Science and Technology 2016 Salt Lake City (USA)
Advances in Materials Science for Environmental and Energy Technologies Y pp.133-144 (2017/10)
2016

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