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2025年12月
米国SMR(高速炉)
「NRCはテラパワー社のNatrium炉に対する最終安全評価を完了」 米国原子力規制委員会(NRC)は、テラパワー社がワイオミングにNatrium発電所ケンメラー1号機を建設する申請について、すでに前倒しされていたスケジュールより1か月早く、最終安全評価を完了した。NRCは2024年5月に同社の許可申請に対する正式な審査を開始した。当初は2026年8月を審査完了目標期日としていたが、今年に入りプロセスを加速し、今年末までの完了を目指す計画を発表していた。NRCによれば、商業用原子炉の認可基準確立に完全なリスク情報に基づく性能ベース(RIPB)アプローチが採用されるのは今回が初めてである。NRCは今後数週間のうちに建設許可の発行について審議し、承認されれば原子力プラントの建設が可能となる。なお、非原子力部分については既に建設が進められている。
米国原子力規制委員会(NRC)、テラパワー、World Nuclear News
ロシア核燃料
「最新世代遠心分離機が3番目のサイトで稼働開始」 ロスアトムの燃料部門TVELは、セヴェルスクのシベリア化学コンビナート(SCC)の同位体分離プラント(Isotope Separation Plant)において、新型9+世代ガス遠心分離機が初めて稼働を開始したと発表した。これはロスアトムの4つのウラン濃縮施設の中で3番目に最新世代の遠心分離機を導入する施設であり、当該遠心分離機の試運転は2027年に完了である。ロスアトムによれば4番目に改修される施設はイルクーツク地方のアンガルスク電解化学プラント(Angrask electrolysis Chemical Plant)になる。
TVEL、World Nuclear News
米国SMR
「DOE、軽水炉型SMRプロジェクト2件を資金援助対象に選定」 米国エネルギー省(DOE)は、米国における先進軽水小型モジュール炉(SMR)の早期導入を支援するため、テネシー峡谷開発公社(TVA)社とHoltec Government Services(ホルテック)社を選定したと発表した。両社はそれぞれ4億ドルを受け取り、初期プロジェクトを前進させ後続プロジェクトおよび関連サプライチェーンの拡大を促進しながら、米国のエネルギー供給能力拡大に貢献する。TVA社はテネシー州クリンチリバーサイトにGVH社製のBWRX-300を、ホルテック社はミシガン州パリセード原子力発電所サイトに2基のSMR-300を、それぞれ導入する計画である。DOEは、今回の選定は2030年代前半に新たな原子力発電を実現し、国内サプライチェーンを強化し、トランプ大統領の「原子力ルネサンスの推進」および「米国のエネルギー支配力強化」アジェンダに関する大統領令を前進させることに寄与するものであるとしている。
米国エネルギー省(DOE)、テネシー峡谷開発公社(TVA)、Holtec International、World Nuclear News
欧州新型炉規制
「欧州6つの原子力規制機関、Nuward設計に関する共同早期審査の第二段階を完了」 欧州の6つの原子力規制機関が、フランスのNuward小型モジュール炉(SMR)設計に関する共同早期審査の第2段階を完了した。第1段階の審査は、多国間の規制枠組の相違点や収束点を特定することを目的にフランス、フィンランド、チェコの規制機関で実施され、第2段階ではポーランド、スウェーデン、オランダの規制機関が加わった。今回指摘された多くの相違点は、ガイダンスレベルや規制要件の実施方法の違いに起因するもので、規制要件自体の違いによるものではなかった。12月2日に公表された第2段階の最終報告書には、実施されたプログラム、実施された方法および得られた主な教訓が記されている。
フランス原子力安全・放射線保護局(ASNR)、World Nuclear News
米国溶融塩炉
「INL、高速炉型の溶融塩実験炉用燃料を世界で初めて製造」 アイダホ国立研究所(INL)は、世界初の溶融塩高速炉試験に向けた濃縮燃料塩の本格生産を開始した。この技術は2030年代にも陸上・海上両方の用途で導入される可能性がある。塩化物溶融塩実験炉(MCRE)プロジェクトは、サザン・カンパニー社、テラパワー社、コア・パワー社、米国エネルギー省(DOE)による官民共同事業である。このプロジェクトは、DOEの国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)がINL内に建設中の試験施設「米国運転試験研究所(LOTUS)」において実施される初の原子炉実験となる予定である。
アイダホ国立研究所(INL)、World Nuclear News
インドSMR
「3種類のSMR初号機の建設候補地選定」 バーバ原子力研究センター(BARC)が開発中の3種類の小型モジュール炉(SMR)の初号機の建設候補地が国会で明らかにされた。PWR技術に基づく200MWeのBharat Small Modular Reactor(BSMR-200)と55MWeのSmall Modular Reactor(SMR-55)が西インドのマハラシュトラ州にあるタラプール原子力発電所の敷地に、水素製造のための化学プロセスと連結することを目的とした熱出力5MWの高温ガス炉は、南インドのアーンドラ・プラデーシュ州のBARCのヴィシャーカパトナム研究開発サイトでの建設がそれぞれ提案されている。
インド議会下院、World Nuclear News
米国SMR
「Deep Fission社、カンザス州で地下設置SMRの実証へ」 Deep Fission社は、地下設置小型モジュール炉(SMR)の実証試験場所としてカンザス州のグレートプレーンズ工業団地を選定した。実証試験後、同地に本格的な商業プラントを建設する計画である。同社はプロジェクトの着工を12月9日に予定しており、米国エネルギー省(DOE)の認可を得た上で、2026年7月4日までに臨界を達成する方針。同社が「Gravity」と名付けた原子炉は、最適化されたボーリング孔に地下1マイル(1.6km)の深さで設置されるPWR型SMRである。同社は、DOEの原子炉パイロットプログラムの一環として試験用原子炉を建設・運営する目的で、DOEとその他の取引契約(OTA:Other Transaction Agreement)を締結した後、実証試験地の発表を行った。
Deep Fission、World Nuclear News
米国SMR(マイクロリアクター)
「INL、マイクロ炉MARVELにおける民間実験テーマを選定」 アイダホ国立研究所(INL)は、マイクロ炉MARVELで実施されるエンドユーザー向け実験について最初の選定を行った。選定されたのはAmazon Web Services Inc、DCX USA/アリゾナ州立大学、General Electric Vernova、Radiation Detection Technologies Inc、Shepherd Power/NOV/ConocoPhillipsの5チームで、データセンター、商用炉および先進炉での技術応用、原子炉で生成されたプロセス熱の利用に関するプロジェクトが含まれている。今後、実施計画の策定、実施可能性の評価を行い、プロジェクト実施の最終合意は2026年の予定である。MARVELは、米国エネルギー省(DOE)が開発中の熱出力85kW、最大20kWの電力を生成するナトリウム・カリウム冷却マイクロ炉で、2027年後半までに稼働予定である。
アイダホ国立研究所(INL)、World Nuclear News
英国SMR
「GVH社のBWRX-300、GDA審査第2段階の完了」 英国原子力規制局(ONR)、英国環境庁(EA)、天然資源ウェールズ(NRW)は、GEベルノバ日立(GVH)社のBWRX-300原子炉設計が包括設計審査(GDA)プロセスの第2段階を完了したことを発表した。規制当局は、2024年1月に開始されたこの第2段階において、安全性、セキュリティ、核物質防護、環境保護に関する根本的な欠如は確認されず、英国における導入を妨げるような問題はないと結論づけた。ONRの責任者は、米国とカナダの規制当局との協力によって審査が促進されたと述べた。現在のところ同原子炉を英国に導入する計画はないが、今後その導入を希望する組織が現れた場合、規制当局は安全上重要な建設の開始や環境許可が発行される前に、さらに詳細な設計審査の期間を設ける必要がある。
英国原子力規制局(ONR)、GEベルノバ日立(GVH)、World Nuclear News
米国・韓国SMR(高温ガス炉)
「X-エナジー社、16基のSMR用に斗山社の鍛造品を確保」 高温ガス炉型小型モジュール炉(SMR)Xe-100の開発企業である米国X-エナジー社は、韓国原子力部品設計・製造企業である斗山エナビリティ社と、X-エナジー社の原子炉向け主要部品に関する予約契約を締結した。本契約に基づき、X-エナジー社は16基のXe-100のため斗山エナビリティの鍛造品を優先的に確保する。SMRの主要部品製造に必要な中~大型鍛造品は、長期生産リードタイムを要する材料である。両社間では、SMR用鍛造品及びモジュールの製造開始に関する追加契約が今後締結される見込みである。
斗山エナビリティ、World Nuclear News
米国SMR(高速炉)、新型炉燃料
「オクロ社、Aurora用の金属燃料施設の組み立て開始へ」 オクロ社は、米国エネルギー省(DOE)Idaho Operations Officeが、ナトリウム冷却高速炉(SFR)「Aurora-INL」の初期炉心用金属燃料を製造するためのAurora燃料製造施設(A3F)に関する予備的安全解析書(PDSA:Preliminary Documented Safety Analysis)を承認したと発表した。これによりINLの材料・燃料複合施設(MFC)敷地内で同施設の組み立てが開始される。オクロ社は9月末にDOEの燃料製造パイロットプログラムで選定されており、同プログラムの下での初のPDSA承認となった。次のステップは、最終設計および建設内容に基づいてPDSAを更新した安全解析書(DSA)である。DSAは建設期間中に提出され、施設完成後に最終的な建設状況を反映する形で更新、最終段階で施設の稼働開始に向けた審査が実施される。
オクロ
ロシア高温ガス炉、新型炉燃料
「ロスアトム、HTGR用燃料について一連の過酷な試験を成功裏に完了」 ロスアトムは、高温ガス炉(HTGR)用の燃料サンプル(被覆燃料粒子が均一に分散された黒鉛円柱)の燃料健全性を確認するため、1700℃までの一連の試験を実施した。ロシアは現在、大規模水素生産を主目的とした次世代HTGR技術を開発中であり、主要プロジェクトは自国技術による200MWt級HTGRを4基備えた原子力発電所の開発である。ロスアトムは2025年初頭、TRISO燃料ペレットを生産するパイロット工業ラインを立ち上げた。
Atom Media、Nuclear Engineering International
米国SMR(高速炉)
「オクロ社とLANL、プルトニウム高速炉臨界試験を実施」 オクロ社は、戦略的パートナーシップ・プロジェクト(SPP)の下、米国エネルギー省(DOE)国立臨界実験研究センター(NCERC)において、ロスアラモス国立研究所(LANL)と共同で、数日間にわたってプルトニウム燃料を用いた高速炉の臨界試験を実施していることを発表した。今回の試験は、DOEの原子炉パイロットプログラム(RPP)で選定されたプルトニウム燃料の高速試験炉プロジェクトである、オクロ社の「Pluto」炉にとって初めて公開された技術的成果であり、余剰プルトニウムを商用先進炉燃料として適格化するためのLANLとの大規模共同プログラムの第一歩である。
オクロ
米国新型炉燃料
「ウレンコUSA社、初のLEU+生産と新規カスケード稼働開始により米国核燃料供給を推進」 ウレンコUSA社は、米国の核燃料供給を推進する2つの新たなマイルストーンを、12月に達成したことを発表した。まず、12月11日に、米国における商業用ウラン濃縮施設として初めて、ウラン235を8.5%に濃縮したウラン(LEU+)の初回生産を完了した。2026年半ばには、顧客向けのLEU+の商業規模生産を開始する計画である。また、12月16日に、新たな3基目の遠心分離機カスケードが低濃縮ウラン(LEU)の生産を開始した。同社は、2025年から2027年にかけて70万分離作業単位(SWU)の能力を増強する計画の一環として、新たな遠心分離機カスケードの設置に取り組んできたが、2025年に設置した3基のカスケードが全て予定より早く稼働したことになる。
ウレンコUSA
英国核燃料サイクル
「英国、プルトニウム処分計画において初期のマイルストーンを達成」 英国原子力廃止措置機関(NDA)は、プルトニウム残渣の缶を安定廃棄物形態へ安全に処理する実処理ステップを初めて実施したと発表した。これは同国のプルトニウム遺産を恒久的に処分する上で重要な一歩となる。2025年1月、英国政府は国内の民生用プルトニウム備蓄を原子力発電所の混合酸化物燃料(MOX燃料)製造に使用せず、廃棄処分する決定を下した。この備蓄は数十年にわたり実施された使用済燃料の再処理によって生じたものである。英国の民間プルトニウム備蓄量約140トンは現在、規制要件に従いカンブリア州セラフィールド施設に保管されている。
英国原子力廃止措置機関(NDA)、World Nuclear News
欧州SMR(鉛冷却高速炉)
「ニュークレオ社、EuratomとLFRの保障措置審査プロセスを開始」 ニュークレオ社は、鉛冷却高速炉(LFR)について、欧州連合(EU)内で保障措置を監督する欧州原子力共同体(Euratom)との間で、設計段階からの保障措置(safeguards-by-design)に関する取り組みを正式に開始した。同社は、保障措置審査プロセスに約2年を要すると見込んでおり、フランス原子力安全・放射線防護機関(ASNR)を含むフランス原子力規制当局とのその他の認可手続きと並行して進める。同社は、2027年末までにフランス環境省へ提出予定の認可申請書に、保障措置の考慮事項を原子炉施設の設計に組み込むことを目指している。
ニュークレオ、World Nuclear News
日本・カザフスタン原子力政策
「日・カザフスタン首脳会談、革新炉研究協力強化等で一致」 「中央アジア+日本」対話・首脳会合に出席するため来日中のトカエフ・カザフスタン共和国大統領と高市首相は、日・カザフスタン首脳会談を実施し、「将来に向けた拡大された戦略的パートナーシップの更なる相乗効果に関する共同声明」に署名した。この中に記載された重点協力3分野の一つ「グリーン・強靭化」の中で、原子力機構(JAEA)とカザフスタンの国立原子力センター(NNC RK)及び核物理学研究所(INP)との協力の拡大を歓迎し、高温ガス炉や高速炉などの革新炉の研究や人材育成を含む原子力エネルギーの平和利用における協力の強化を支援すると謳われている。
外務省、World Nuclear News
米国核燃料
「セントラス社、商業用低濃縮ウラン(LEU)濃縮事業を開始」 セントラス・エナジー社は、オハイオ州パイクトン施設における商業用低濃縮ウラン(LEU)濃縮活動を支援するため、国内遠心分離機の製造を開始したと発表した。同社は、数十億ドル規模のウラン濃縮施設(パイクトン)の拡張を進める中で、米国およびKHNP(韓国水力原子力)を含む国際顧客との契約に基づく、23億ドル規模の条件付きLEU販売にかかる受注残への対応を図っている。さらに将来的には、高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の商業規模生産も目標としている。
セントラス・エナジー
中国SMR(高温ガス炉)
「CNNC、HTGR産業アライアンスを発足」 中国核工業集団公司(CNNC)の子会社であるChinergyは、12月11日に北京で、高温ガス炉(HTGR)産業アライアンスを発足した。同アライアンスは、産業チェーンの上流から下流セグメントにわたる60以上の組織を統合し、産業界の強みを結集することで、HTGR技術を、従来の単一目的である発電から、熱供給や水素製造といった多様な用途へと発展させることを目指しており、特に、石油化学への活用や原子力による水素製造などの分野でのブレークスルーを優先するとしている。中国では江蘇省徐圩(Xuwei)原子力発電所において、HTGRと2基のPWRを組み合わせ産業用熱供給と発電を両立させる第1期プロジェクトの発電設備部分の建設契約が9月に締結されている。
中国核工業集団公司(CNNC)、World Nuclear News
インド原子力政策
「民間企業の原子力分野参入を可能にする法案の立法プロセスを完了」 インドの変革にむけた原子力の持続可能な利用と発展に関する法案(Sustainable Harnessing and Advancement of Nuclear Energy for Transforming India:SHANTI)が、インド議会の下院、上院で可決され、ムルム大統領の裁可によって12月20日、法案が正式に成立した。新法案では、民間部門による原子力発電参入を禁止していた1962年の原子力法などを廃止し、規制当局の監督下で原子力分野への民間企業の限定的な参加を可能とした。また、インドの原子力規制機関である原子力規制委員会(AERB)に法的地位を認めている。
インド議会下院(Lok Sabha)、インド政府(報道局)、World Nuclear News
米国SMR(マイクロリアクター、高温ガス炉)
「NANO社とUIUC、KRONOS MMRに関する協力を拡大」 NANO Nuclear Energy社は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)を代表して、同大学の理事会と覚書(MOU)を締結したことを発表した。本MOUは、キャンパス内に先進研究炉としてKRONOS MMRを開発・建設・運転するための協力を目的とする。本協力には州の資金援助による製造・研究センター(manufacturing and research center)の設立も含まれており、同センターはシカゴ郊外のオークブルックに設置される予定である。
NANO Nuclear Energy、Nuclear Newswire