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新型炉に関する国際情報

2025年6月

米国SMR(マイクロリアクター)

「ウェスチングハウス社のマイクロリアクターeVinci、予備安全設計報告書のDOE承認を初めて取得」 ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニー(ウェスチングハウス社)は、同社のマイクロリアクターeVinciの予備安全設計報告書(PSDR)について、米国エネルギー省(DOE)から承認を受けた。この重要なマイルストーンにより、ウェスチングハウス社は、アイダホ国立研究所(INL)の国立原子炉イノベーションセンターのマイクロリアクター実験機実証用(NRIC-DOME)テストベッド向けに、承認済みPSDRを取得した初のマイクロリアクター開発企業となった。

ウェスチングハウス

イタリア、スロバキアSMR(鉛冷却高速炉)

「ニュークレオ社とヤヴィス社、スロバキアにおける先進炉開発で合弁契約を締結」 ニュークレオ社と、スロバキア国営原子力・廃止措置会社ヤヴィス(JAVYS)社は、共同出資会社として「使用済核燃料利用開発センター(CVP)」を設立する株主契約を締結した。今回の動きは、2025年1月にヤヴィス社およびスロバキア原子力エンジニアリング大手VUJE社と包括的な協力協定を結んだことに続くものであり、スロバキアのボフニチェ サイトにおける第4世代の鉛冷却高速炉(LFR-AS-200)4基の建設に向けた具体的な前進を意味する。

ニュークレオ、World Nuclear News

オランダSMR(高温ガス炉)原子力船

「海洋建設エンジニアリング会社Allseas社、小型モジュール炉(HTGR)の導入を目指す」 オランダの海洋建設エンジニアリング会社であるAllseas社は、船舶と陸上向けの小型モジュール炉の設計、開発、導入のための5か年計画を立ち上げた。同社はTRISO燃料を使用した25MWeクラスの高温ガス炉を選定、初年度は設計研究を完了し、その後はプロトタイプ開発や事前認可協議に着手するとしている。協議には規制当局、国際海事機関、IAEA、船級協会が参加し、オランダ応用科学研究機構(TNO)、NRG-Pallas、デルフト工科大学、オランダ船主協会などの研究機関とも連携する方針。

Allseas、World Nuclear News

米国新型炉燃料

「オラノ社、米国ウラン濃縮施設の開発支援のため、テネシー州オークリッジにプロジェクトIKE事務所を開設」 オラノUSA社は、米国ウラン濃縮施設の開発を支援するため、テネシー州オークリッジに、IKEプロジェクト(数十億ドル規模のウラン濃縮施設)のオフィスを開設した。同プロジェクトはテネシー州最大の単独投資案件であり、濃縮ウランを生産することで、米国の低炭素エネルギーの未来を推進し、同国のエネルギー自立と国家安全保障を強化するとしている。オラノUSA社のジャン=リュック・パレイエ(Jean-Luc Palayer)CEOは、オラノ社が60年にわたりアメリカで培ってきた原子力の専門知識と実証済みの遠心分離機技術を応用することで、高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)や低濃縮ウラン(LEU/LEU+)を含む先進核燃料の生産を迅速に立ち上げることができると強調した。

オラノUSA

米国原子力政策

「DOEが2025年度2回目のGAINバウチャーを交付」 米国エネルギー省(DOE)が「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」イニシアチブにおいて2025年会計年度2回目のバウチャー(利用権)を米国企業に交付すると発表した。この中にはアルゴンヌ国立研究所(ANL)と協力し、ナトリウム冷却高速炉用ポンプ向け新素材の試験を実施するHayward Tyler社、オークリッジ国立研究所(ORNL)と提携し、セラミック被覆TRISO燃料核の炭素・酸素含有量を評価する代替手法の検証を行うスタンダード・ニュークリア(Standard Nuclear)社が含まれている。

米国エネルギー省(DOE)

英国SMR(鉛冷却高速炉)

「ニュークレオ社のLFR設計、英国GDA審査プロセスへの参加承認」 ニュークレオ社は、電気出力200MWの商業規模鉛冷却高速炉(LFR)である「LFR-AS-200」について、2024年12月に英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)に包括的設計審査(GDA)への参加を申請していたが、DESNZがこれを受理した。これは先進モジュール炉(AMR)としては初の受理となる。

ニュークレオ、World Nuclear News

英国SMR

「国内向けSMRの展開にロールス・ロイスSMR社を選定」 2年にわたる英国の小型モジュール炉(SMR)コンペティションにおいてロールス・ロイスSMR社が、英国初のSMRを建設する優先入札者に選ばれた。また実施段階に移行したことに伴いGreat British Nuclear(GBN)はGreat British Energy-Nuclear(GBE-N)に名称変更された。GBE-Nは今年後半にロールス・ロイスSMR社との契約を目指し、開発会社を設立、今年後半に建設用地を割り当て、2030年半ばに送電網に接続する計画である。

英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)、ロールス・ロイスSMR

米国原子力政策

「原子力エネルギーに関するトランプ大統領令から導き出される9つの重要ポイント」 5月23日、トランプ大統領は米国の原子力産業を活性化させるための4つの大統領令を発表したが、米国エネルギー省(DOE)のマイケル・ゴフ(Michael Goff)筆頭次官補代理が大統領令から得られる9つの重要なポイントについてDOEのホームページ上で説明している。
1. 原子炉の認可手続きを迅速化する
2. 2050年までに米国内で新たに300ギガワットの原子力発電容量を追加する
3. 原子炉の試験をより迅速に行うための基盤を整える
4. AI用途や軍事基地向けに米国製の原子炉を導入する
5. 燃料のリサイクルと再処理を検討する
6. 国内の原子力燃料生産を強化する
7. 米国の原子力人材を育成・拡充する
8. 使用済核燃料の管理方法を評価する
9. 米国の原子力エネルギー輸出を拡大する

米国エネルギー省(DOE)

米国SMR(マイクロリアクター、高温ガス炉)

「NuCube Energy社とユタ・サンラファエル・エネルギー研究所が試験用原子炉に関する覚書を締結」 ユタ州エネルギー開発局(OED)傘下のユタ・サンラファエル・エネルギー研究所(USREL)とNuCube Energy(NuCube)社は、ユタ州オレンジビルのUSREL内に、NuCube社のマイクロリアクターを1基設置するための協力を定める覚書(MOU)の締結を発表した。NuCube社の原子炉設計はTRISO燃料やヒートパイプ技術など、原子炉内の可動部品使用を最小限に抑える革新技術を駆使し、安全性・信頼性を向上させているとしている。

NuCube Energy

米国SMR(高速炉)

「米国NRC、オクロ社の運転認可に関する報告書を審査対象として受理」 米国原子力規制委員会(NRC)は、オクロ(Oklo)社が提出した「原子炉を運転するための資格に関する報告書」を正式に受理し、審査を開始したことをオクロ社が発表した。本報告書は、同社の小型高速炉Aurora powerhouse(オーロラ)の運営者に対する特定プロセスの認可取得を規制当局に求めるもので、個々のサイトごとに運転者を認可する代わりに、オーロラ技術そのものに対して運転者を認可する。このアプローチにより、運転者は中央拠点から複数のプラントを監視し、必要に応じてサイト間を移動できる。オーロラの高度な自動制御と固有の安全機能により、オクロ社はこの手法で運用コストを効率化できる。

オクロ

米国SMR(高速炉)

「オクロ社、アラスカ州アイルソン空軍基地に電力を供給する予定受注者に選定」 送電網から独立した遠隔地へのエネルギーを供給する小型高速炉Aurora powerhouse(オーロラ)を開発しているオクロ社は、国防兵站局エネルギー部(DLA-Energy)から包括的な評価プロセスを経て、アラスカ州アイルソン空軍基地へ電力と熱を供給する予定受注者に選定された。今後合意が成立すれば、同社はオーロラの設計・建設・所有・運営を行い、長期電力購入契約に基づいて同基地に電力と熱の両方を供給する。

オクロ

米国新型炉燃料

「スタンダード・ニュークリア社、先進燃料サプライチェーンを確保するための資金を調達」 ウルトラ・セーフ・ニュークリア・コーポレーション(USNC)からTRISO燃料技術を引き取ったスタンダード・ニュークリア(Standard Nuclear)社は、自社のサービスや製品を外部に公表しないまま事業を進めるステルスモード状態であったが、米国内の先進的核燃料サプライチェーンの確保を目的とした4200万米ドルの資金調達に成功と発表。同社の戦略的パートナーには、Radiant Industries社、Antares社、Nano Nuclear Energy社、Jimmy Energy社、米国エネルギー省(DOE)国立研究所、国防総省(DOD) が含まれているとのこと。

スタンダード・ニュークリア

米国SMR(高温ガス炉)

「米国NRC、Xe-100の建設許可申請に対する18か月の審査スケジュールを発表」 X-エナジー社は、テキサス州ダウ(Dow)社のサイトに導入する予定の小型モジュール式高温ガス炉Xe-100初号機(FOAK)の建設許可申請(CPA)に関し、米国原子力規制委員会(NRC)から重要な最新情報を受け取った。NRCは、申請書の完全性と品質、そして事前協議の有効性を評価した結果、本プロジェクトについて18か月間の審査スケジュールを公表し、同時並行で環境影響評価も進めると発表した。

X-エナジー

欧州SMR(鉛冷却高速炉)

「次世代鉛冷却小型モジュール炉EAGLES-300の開発に向け、欧州の原子力機関が結束」 ベルギー原子力研究センター(SCK-CEN)、イタリアの新技術・エネルギー・持続的経済開発機構(ENEA)とAnsaldo Nucleare社、およびルーマニアの国営原子力技術会社(RATEN)は次世代鉛冷却小型モジュール炉(SMR)「EAGLES-300」の開発と商業化を目的としたEaglesコンソーシアムを立ち上げた。2035年までに最初の実証炉を稼働させることを目標としている。EAGLES-300は電気出力350MWで、工業用熱供給や水素製造に適応する。再処理からのMOX燃料を使用し、放射性廃棄物削減にも貢献するとしている。

ベルギー原子力研究センター(SCK-CEN)

米国SMR(高速炉)、データセンター

「ARC Clean Technology社とDeep Atomic社、データセンター向け原子力活用の検討に関するMOUを締結」 小型モジュール式ナトリウム冷却高速炉(SFR)「ARC-100」を開発するARC Clean Technology(ARC)社と高密度デジタルインフラ向け先進的原子力ソリューションの開発を行うDeep Atomic社は、ARC社のARC-100を導入し、次世代データセンターおよび Aインフラを稼働させる可能性を共同で探るため、覚書(MOU)を締結した。

ARC Clean Technology

米国SMR(高速炉)

「テラパワー社、6億5000万ドルの資金調達を発表」 テラパワー社は、6億5000万米ドルの資金調達の完了を発表した。今回の資金調達には、米半導体大手NVIDIAのベンチャーキャピタル部門であるNVenturesなどの新規投資家と、テラパワー社の創業者であるビル・ゲイツ氏や造船業界のリーダーである韓国HD現代(HD Hyundai)などの既存投資家が参加した。

テラパワー

米国原子力政策、新型炉

「米国DOE、先進炉試験への新たな道筋を発表」 米国エネルギー省(DOE)は、国立研究所以外のDOE権限下で先進的な原子炉設計の試験を迅速化するための新たなパイロットプログラムの開始を発表した。トランプ大統領の大統領令「エネルギー省における原子炉試験の改革」に従い、DOEは申請依頼書(RFA:Request for Application)を発行し、DOEの認可プロセスを利用した国立研究所外での試験炉の建設・運転に関心を持つ適格な米国の原子炉企業を求めている。本措置は、原子炉試験の効率化と、2026年7月4日までに少なくとも3基の原子炉が臨界に達することを確実にするための重要な一歩であるとしている。

米国エネルギー省(DOE)

米国新型炉規制、SMR(マイクロリアクター)

「米国NRC、工場製造マイクロリアクター政策を推進」 米国原子力規制委員会(NRC)は、マイクロリアクターの新たな展開方法を可能にするため、以下の3つの政策事項について決定を下した。
・燃料を装荷した工場製造のマイクロリアクターであっても、核連鎖反応を防止する機能を備えていれば「運転中」とみなさないことができる
・核連鎖反応を防止する機能を備えたマイクロリアクターであれば、燃料の保有を認めるNRCのライセンスの下で、工場において燃料を装荷することができる
・NRCが非動力炉に適用される規制を準用し、運転サイトに出荷する前に工場でマイクロリアクターの試験を認可できる

米国原子力規制委員会(NRC)

米国SMR(多目的利用)

「NuScale、革新的研究でクリーンな水と水素生産を推進」 NuScale Power Corporation(ニュースケール社)は、クリーンな水の供給と水素生産におけるエネルギー効率の高い手法を実現する統合エネルギーシステムの開発を目的とした研究プログラムを発表した。同社の小型原子炉は、海水を真水に変える淡水化をクリーンに行うことができるが、その過程で出る濃い塩水(排水)を「廃棄物」ではなく産業用の原料として活用し、水素の製造につなげる新しい方法「水熱化学分解法」を開発した。この方法による水素生産は水の電気分解を必要とせず、エネルギーと水の使用を抑えコストを削減できる。また、変換に使うエネルギーがニュースケール社の統合エネルギーシステム由来であれば、炭素排出ゼロである。

NuScale Power Corporation

米国新型炉燃料

「米国DOE、セントラス・エナジー社の先進炉用HALEU製造契約を延長」 米国エネルギー省(DOE)は、セントラス・エナジー(Centrus Energy)社の高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)生産契約を2026年6月30日まで延長した。なお、同省は、その日以降さらに最長8年間にわたって生産を継続するための追加オプションを有している。

Centrus Energy

米国核燃料サイクル

「ANL、SHINE Technologies社と費用対効果の高いリサイクル技術を共同開発へ」 アルゴンヌ国立研究所(ANL)は、ウィスコンシン州を拠点とするSHINE Technologies社と共同で、使用済核燃料から遠心分離器を含む革新的な装置を用い、産業界で再利用可能な核物質を分離する新しい化学プロセスを開発している。本協力は産業界が、費用対効果が高くスケーラブルな方法で採用できるリサイクル方法を生み出すことを目標としている。

アルゴンヌ国立研究所(ANL)