2024年11月、米国原子力学会(American Nuclear Society)は19の専門部会が授与する賞の受賞者を発表しました。中でも最上位とされるシーボーグ・メダル(Seaborg Medal, Top Tier ANS Award )をミラノ工科大学の二ノ方 壽先生が受賞されました[1][2]。本受賞は、計算熱水力学分野への多大な貢献と、液体金属炉の開発と安全解析における国際的に認められた功績を称えるものです。
二ノ方先生は1980年から原子力機構の前身である動燃事業団に13年にわたり在籍され、ナトリウム冷却高速炉の安全性解析手法の開発として、事故時の燃料集合体内のナトリウム沸騰現象や炉心溶融事故の評価、実験・解析を問わず後進の育成など、多大な貢献をされました。
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2024 ANS Winter Conference(11/17-21)での二ノ方先生(右)とプレゼンターDr. H.M. Hashemian(左)
https://www.ans.org/meetings/wc2024/gallery/
(ANS事務局から転載許諾取得済み) -
受賞したメダルの写真
(二ノ方先生ご提供)
シーボーグ・メダル(Seaborg Medal)とは[3]:
シーボーグ・メダルは、原子力科学の平和利用開発に関連した科学的または工学的な優れた研究業績をあげた個人を表彰するものである。 この賞は、国際的に評価されるに値する卓越した業績を一定期間にわたって継続した場合に授与される。
この賞は、原子力の平和利用に貢献した持続的な技術的業績を高く評価するために1983年に創設され、第1回受賞者であるグレン・T・シーボーグにちなんで命名された。
日本では1990年に三島良績氏(東京大学名誉教授)が受賞されている[4]。
[1] https://www.ans.org/news/article-6496/national-awards-to-be-presented-at-ans-winter-conference/
[2] https://www.ans.org/honors/recipients/award-seaborg/
二ノ方 壽 先生略歴:
- 1970年
- 東京大学卒業
- 1972~73年
- マサチューセッツ工科大学(MIT)
- 1977年
- 博士号取得(東京大学):博士論文「高速炉炉心局所事故時の冷却材挙動に関する研究」
東京電力入社 - 1980年
- 動力炉・核燃料開発事業団(PNC)大洗工学センター(OEC)へ出向
液体金属高速炉(LMFBR)の熱流動及び安全解析に従事 - 1982~83年
- 米国アルゴンヌ国立研究所(ANL)客員研究員
- 1986~87年
- 米国ロスアラモス国立研究所(LANL)客員研究員
- 1993年
- 東京工業大学原子炉工学研究所・助教授
- 1995年
- 東京工業大学原子炉工学研究所・教授
- 2012年
- 東京工業大学・名誉教授
- 2012年
- ミラノ工科大学エネルギー工学科教授
受賞歴:
- 1986年
- 動力炉・核燃料開発事業団社内表彰
- 1996年
- 日本原子力学会論文賞・高速炉賞
- 1997年
- 国際水理学会 Harold Jan Schoemaker Award
- 2005年
- 日本原子力学会(AESJ)フェロー
米国原子力学会(ANS)THE Best Paper Award - 2009年
- 米国原子力学会(ANS)フェロー
- 2012年
- 米国原子力学会(ANS)熱水力部門(THD)Technical Achievement Award
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二ノ方先生の最終講義の様子(2012年2月) -
二ノ方先生(中央)と大島理事(右)と上出JAEAフェロー(左)
(二ノ方先生 最終講義&退官記念祝賀会において(2012年2月)