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FAQ/資料集

FAQ

ウランは枯渇しないという報道を目にします。高速炉は不要ではないですか?

ウランは有限な資源です。世界の原子力発電は増加の傾向にあり、ウラン需要の高まりに備えた技術開発が必要です。高速炉技術開発は、有限な資源を有効利用することで放射性廃棄物を減らす事を目指しています。

ウランは有限な資源です。

ウランは天然の鉱物や海水に含まれ、地殻上に分布する限りある物質です。天然のウランは主にウラン235 (0.720%(0.711重量%)とウラン238(99.274%(99.278重量%))という2種類の元素(同位体)で構成されています。現在主流の軽水(普通の水)を用いた原子炉プラント(軽水炉)では、このウラン235の濃度を3~5%に高めた濃縮ウランを燃料に使用し、

熱中性子

で核分裂させて熱エネルギーを取り出しています。
国際機関の調査報告iに依れば、現在経済的に回収可能なウラン資源量iiは、存在が確認できている資源と推定される資源を合わせて約800万トンといわれています(<USD260/kg発見資源量)。これは、100万kW/基(燃焼度45,000MWd/t、稼働率約70%で40年間稼働させた場合)の原子力発電所約1700基分の消費量に相当します。2020年7月時点における世界全体の原子力発電所の規模は約4億kWなので、仮に一基あたり電気出力100万kWの原子炉400基と考えると、現在の原子力発電所数が変わらない場合は、あと170年程度は同じ価格帯でウラン資源を使えることになります。

世界の原子力発電は増加の傾向にあります。

一方、世界の原子力発電所は増加の傾向にあります。

国際機関IEA(2019年)の報告

によれば、世界が持続可能な発展に向かうシナリオを想定した場合、原子力発電所の設備容量は2040年までに約6億kWに達すると予測されています。これは、特に中国やインドといった近年めざましい経済成長を遂げている国が、経済発展に伴う電力需要の増加に対応するために原子力発電の導入を計画している事、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電の特徴が気候変動対策として世界的に有望視されている事等が主な理由と言えるでしょう。
2018年、国連の

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

は、

パリ協定

(2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み)の努力目標である、2100年までに「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」ためのシナリオ分析結果を

報告

しました。ここでは、世界のエネルギー社会経済像を①低エネルギー需要社会、②循環型社会、③中間型社会、④高二酸化炭素排社会の4つの社会像を描かれていますが、生活レベルの低下を含めて想定された①の場合以外のケースにおいてはいずれも原子力発電の導入量は増加し、最大約5倍まで増加する事が想定されています。

将来的な原子力発電所の導入量は、各国が主導するエネルギー・経済政策や環境政策の違いにより、正確に予測することは困難です。しかし、気候変動対策が必要であるという世界的な認識の広がりを考えると、今後、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電所の導入拡大の可能性は非常に高く、これに伴いウラン資源の需要が増加することが考えられます。

ウラン需要の高まりに備えた技術開発が必要です。

国際機関IEA(2019年)の報告

では、2035年頃までのウラン需要とこれを満たすための新たな供給の予測が示されています。この予測では、世界の原子力発電設備容量は2035年までに3億3,100万kW(低需要ケース)~5億6,800万kW(高需要ケース)になるとしており、高需要ケースの場合には、実績に基づいた供給施設の設備利用率(85%)を考慮すると、ウラン供給が不足する可能性がある事を示しています。
ウラン需要が高まれば、これまで採掘していなかった鉱山の探鉱や未確認の資源の採掘への投資が増える事が予想されますが、資源の需要に対してタイムリーにこのような投資が行われるのか、また、経済的な価格で採掘が可能で資源として供給可能かどうかが問題となります。2018年に政府が定めた「

高速炉戦略ロードマップ

」においても、「今後必要となる生産能力拡張への投資が十分に行われない可能性や、中国、インドを始めとする新興国を中心として、新たなウラン需要が見込まれ、天然ウランの価格が高騰する可能性を排除的ない点に鑑みると、今後我が国が十分なウランを確保できなくなる可能性も存在する」事が指摘されており、ウラン資源供給が逼迫する場合には価格の高騰や、原子力発電所の運転計画に支障が出る可能性が考えられ、このようなリスクに備えた研究開発が必要であると考えます。

出典:IEA webサイト

https://www.iea.org/reports/nuclear-power


出典:IAEA/OECD/NEA, Uranium2018: Resources, Production and Demand, 2018i

有限な資源を有効利用して廃棄物を減らす事を目指しています。

わたしたちは、将来にわたり原子力発電を環境と共生するエネルギーとして利用していくためには、放射性の廃棄物をリサイクルすることで資源を有効利用し、廃棄物量を削減していく必要があると考えています。

高速炉サイクルシステムは、現在主流の軽水を用いた原子炉プラントで排出されるものも含めた①使用済みの核燃料を再利用できる、②発電に使えなかったウラン238を発電に利用可能となるように変換できる、③これまで廃棄していた長期に放射線を出す核物質を発電システムの中で循環させる事ができる、といった特性があり、有限のウラン資源を最大限活用することが可能であるだけでなく、放射性廃棄物を再利用する事で放射性廃棄物の減容と潜在的な有害度を減らす事ができます。

一方、現在利用されている軽水炉も、使用済みの核燃料を再利用することができます(「

プルサーマル

」と称されます)。そのため、現在一部の軽水炉において、海外で処理した使用済燃料を再び燃料として利用した発電が行われています。プルサーマルと高速炉サイクルの違いは、上記の②及び③にあります。

軽水炉の使用済燃料を直接処分した場合と比べ、プルサーマルではウラン資源を1.18倍有効利用でき放射性廃棄物を4分の1に減らす事ができるとされています。これに対し、高速炉サイクルではウラン資源を約30倍有効利用でき、放射性廃棄物を7分の1まで減らすことが可能であるとの試算があります。また、放射性廃棄物が持つ潜在的な有害度(放射性廃棄物を口から体内に摂取した場合の被ばく量)が天然ウランと同等二なるまでの期間については、直接処分の場合と比して約330分の1にまで短縮されると試算されています。

資源を有効利用してゴミを減らし環境と共生する考え方は原子力のみならず、全ての産業に求められる取組みであり、わたしたちは高速炉サイクルがそのために有効な技術であると考え、実用化に向けた研究開発を行っています。

出典:日本原子力文化財団,原子力・エネルギー図面集

https://www.ene100.jp/zumen


出典:資源エネルギー庁資料iii

i IEA/OECD/NEA. Uranium 2018 Resources, Production and Demand
ii エネルギー白書 第2部 第2章 第2節 一次エネルギーの動向 2.非化石エネルギーの動向(1)原子力 ③核燃料サイクルの現状(ア)ウラン資源, 資源エネルギー庁

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2019html/2-2-2.html

iii 核燃料サイクル・最終処分に関する現状と課題,資源エネルギー庁,総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第6回会合資料3等
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