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FAQ/資料集

FAQ

原子力発電の建設費が膨らんでいるという報道を目にします。なぜですか?

主な理由は、新規制基準に適合するための追加的な安全対策が必要になったためです。

我が国の原子力安全規制基準は、福島第一発電所事故の後、大きく変わりました。

原子力規制委員会は、以前の基準には以下のような問題点があったとしています。

地震や津波等の大規模な自然災害の対策が不十分であり、また重大事故対策が規制の対象となっていなかったため、十分な対策がなされてこなかったこと

新しく基準を策定しても、既設の原子力施設にさかのぼって適用する法律上の仕組みがなく、最新の基準に適合することが要求されなかったこと

2016年に新たに作成された発電用原子力プラントに対する規制基準(実用発電用原子炉及び核燃料施設等に係る新規制基準。以下、「新規制基準」といいます。)には、このような問題点を解消するため、大規模な自然災害への対応を強化すると共に、重大事故対策やテロや航空機衝突対策が盛り込まれ、既設の原子力施設についても、新規制基準に適合する措置を取る事が求められる事となりました(図1)。

出典:原子力規制委員会,実用発電用原子炉に係る新規性基準について-概要-i

図1 従来の規制基準と新規制基準

既設の原子力プラントが新規制基準に適合する措置を取るためには、追加工事が必要となります。

例えば、大幅に強化された津波対策について、中部電力の浜岡原子力発電所では、海抜22メートルの防波壁及び海抜22~24メートルの改良盛土が設置されると共に、

溢水防止壁が設置

されました。
また、テロや航空機衝突対策としては、北海道電力の泊発電所では、原子炉を冷却する機能が喪失し、炉心が著しく損傷した場合等に備えて、原子炉格納容器の破損を防止するための機能を備えた施設やそのような場合に備えた電源設備が追加設置iiされました。

我が国の原子力安全規制基準は、福島第一発電所事故の後、大きく変わりました。

このような既設の原子力プラントの追加的安全対策のための建設工事費は、2015年の政府による試算iiiにおいて一基あたり1000億円(試算当時、原子力規制委員会に対して新規制基準適合審査を申請していた15原子力発電所24基を合計すると約2兆4000億円)と見積もられており、仮に、今後新たに原子力プラントを建設する場合には、既設の原子力プラントと比べ、600億円の増加となるとされました。発電コストに換算すると、0.6円/kWhの増加になります。

これ以降、政府による追加的安全対策費の見積もりは公表されていませんが、報道ivでは、2015年当時約2兆4000億円であった費用が、2020年には5兆2376億円(2020年現在、新規制基準適合審査を申請した15原子力発電所27基で除すると約2000億円/基)に増加したと報じられており、その要因は原子力規制委員会の審査の過程で設計や工事の見直しが必要となったためとされています。

原子力発電所の安全を確保するためにこのような追加的な安全対策を既設の原子力プラントに行う事は必要です。ただし、仮に今後新たに原子力発電所を建設する場合には、より経済的な方法で安全基準に適合する設計を検討していく必要があり、特に当機構の新型炉開発においてはこの点が重視されています。

i 原子力規制委員会,実用発電用原子炉及び核燃料施設等に係る新規制基準について(概要)

https://www.nsr.go.jp/data/000070101.pdf

ii 北海電力プレスリリース, 泊発電所3号機 特定重大事故等対処施設の設置および常設直流電源設備の追加設置に関する原子炉設置変更許可申請について(2015年12月18日)

iii 経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会発電コスト検証ワーキンググループ(2015年)

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/pdf/cost_wg_01.pdf

iv 朝日新聞デジタル,原発の安全対策に5.2兆円 最安のはずが膨れるコスト,2020年8月9日配信,

https://www.asahi.com/articles/ASN885SMVN84ULBJ006.html

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