History

設置の意義・経緯

設置の意義

新しい試験研究炉は、「もんじゅ」サイトを活用した新たな原子力研究・人材育成拠点の中核的機能を果たす役割を持ち、さまざまな革新的研究やイノベーション創出への貢献が期待されます。

新研究炉が拓く未来

本質を究明する基礎研究に基づく革新的イノベーション
創成次世代日本・世界を創る人材育成

日本では、これまで国、大学及び民間企業によって20基以上の試験研究炉が稼働していましたが、近年は廃止措置に入るものが増え、稼働基数の減少と高経年化が進んでいます。

一方、中性子を利用した研究や分析は学術、産業利用の両面で発展を続けている分野です。大強度陽子加速器施設J-PARCや、研究炉JRR-3の利用件数は増え続けており、今後も中性子の利用需要に対応した研究基盤の維持と整備が求められます。

また、我が国は2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しており、原子力発電所を安全確保を大前提に再稼働していくことが理想的です。原子炉を安全に運用していくには、原子炉を運転するための技術や、今後増加する原子力施設の廃止措置に着実に対応できる高度な原子力人材の育成が不可欠です。

新しい試験研究炉には、原子炉からの粒子線(中性子)や放射性同位元素の利用研究・開発を通じた基礎研究・応用研究・産業利用への幅広い貢献とともに、継続的な原子力人材の育成といった成果が期待されています。

新試験研究炉は、計画段階から立地地域や地域産業界が関与する、稀有な例であるとともに、世界的な視点からも「国際公共財」として位置付け、地球規模の課題の解決にも貢献する、地域社会にとって誇り得る施設となることを目指しています。

設置の経緯

平成28年12月の「原子力関係閣僚会議」で決定された政府方針として、

“将来的に「もんじゅ」サイトに新たな試験研究炉を設置し、我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置付ける”

ことが決まりました。文部科学省は、平成29年度より「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉に関する調査を開始し、令和2年度からは日本原子力研究開発機構・京都大学・福井大学が連携して試験研究炉とその利用に関する検討を進めています。