JAEA-CEA研究施設廃止措置ワークショップ(2019.02.22)

2019年2月22日、当機構の国際戦略に基づく海外事務所主催のイベントとして、当機構及び仏国原子力・代替エネルギー庁(CEA)共催による「JAEA-CEA研究施設廃止措置ワークショップ」をパリにて開催しました。当機構がこれまで長年に亘り利用してきた多くの研究施設が廃止措置フェーズに移行しつつあることに鑑み、これらの施設の廃止措置を安全かつ効率的に履行することが、当機構が直面する大きな課題となっています。そのため、同様の課題を共有するフランス等の関係国との間で、廃止措置に関するベストプラクティスの共有や人的ネットワークの拡大を図ることを目的として本ワークショップを開催しました。

フランス側からは、CEA、放射線防護原子力安全研究所(IRSN)、原子力安全機関(ASN)、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、その他原子力関連企業等、日本側からは当機構、在仏日本国大使館、その他仏駐在の日系原子力関連企業等が参加しました。加えて、英国から原子力廃止措置機関(NDA)等の廃止措置関係機関、イタリアからSOGIN社、また、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)、欧州委員会/共同研究センター(EC/JRC)といった原子力関連の国際機関からの参加もあり、計69名もの参加を得ることができました。

冒頭、当機構田口副理事長、CEAピケティ副長官からの開会挨拶、IRSNニール長官、NDAシンパー戦略・技術部長、OECD/NEAマグウッド事務局長、在仏日本国大使館堀内公使からの来賓挨拶があり、廃止措置及び廃棄物管理は原子力利用の長い歴史を有する各国が直面する共通的課題であり、本ワークショップは有益なものであるとの見解が示されました。

基調講演として、当機構田口副理事長から、機構の概要、国際協力全般及び最近の動向等について述べた後、機構における廃止措置の取組として、バックエンドロードマップ、施設中長期計画の策定、個々の原子力施設の廃止措置の状況を紹介し、今後の課題並びに本ワークショップへの期待を述べました。続いて、CEAゴルグ長官シニアアドバイザーが、CEAにおける原子力施設の廃止措置の状況及び今後の計画等について述べられました。その後、ドーンレイサイト回復会社(DSRL)カートライト副部長からは英国ドーンレイにおける廃止措置の状況について、EC/JRCロンディネッラ廃止措置・廃棄物管理部長からはJRCがイスプラ(イタリア)、カールスルーエ(ドイツ)、ギール(ベルギー)、ペッテン(オランダ)で運営する施設の廃止措置・廃棄物管理のプログラム及び今後の計画について、最後に、イタリアにおいて廃止措置を実施する国営企業であるSOGIN社のラッツェリ国際協力部長からイタリアにおける原子力施設の廃止措置の状況について紹介いただきました。

その後、2つのセッションにてパネルディスカッションを行いました。まず、セッションA「廃止措置マネジメント」においては、当機構門馬バックエンド統括部長から、廃止措置を安全かつ効率的に進める観点からマネジメントの在り方が課題である旨を示すとともに、海外機関の事例が共有されることへの期待を表明しました。続いて、CEAフィロンプロジェクトマネージャーが原子力施設解体に関する戦略等について述べられました。その後、DSRLのカートライト副部長から英国における廃止措置計画の策定プロセスについて、EC/JRCのコッカロイス氏から廃止措置分野における人材育成について、OECD/NEAテデッサ廃棄物管理・廃止措置課長から廃止措置・レガシー廃棄物の管理に関する委員会(CDLM)の新設等、OECD/NEAにおける廃止措置分野における活動状況について紹介いただき、最後に、ASNのコンテ氏及びIRSNのフランソワ氏から、規制機関、規制を技術面で支援する機関(TSO)としての立場から、廃止措置分野における役割について言及いただきました。その後の質疑応答においては、各国における廃止措置を進めるにあたっての資金確保策、廃止措置に係る人材のモチベーション向上策等に関する議論を行いました。

続くセッションB「個別施設の廃止措置を進めるにあたってのチャレンジ」においては、廃止措置を進めるにあたって特有の技術的課題に対処する必要がある、高速炉、再処理施設に焦点を当て、各国の取組状況や共通する課題について議論を行いました。まず初めに高速炉をテーマとして、当機構竹内敦賀廃止措置実証本部副本部長から、もんじゅの廃止措置の現状、今後のスケジュール、技術的課題及び国際協力への期待を示すとともに、CEAジョルジュ解体・廃止措置プロジェクト部長及びカベンディッシュ社ハント国際ビジネス部長から、高速炉の廃止措置に関する仏英両国の経験、技術的課題及びもんじゅの廃止措置への協力について紹介いただきました。次に再処理施設をテーマとして、当機構大森核燃料サイクル工学研究所副所長から、東海再処理施設の廃止措置の現状、今後のスケジュール及び技術的課題を示すとともに、CEAジョルジュ部長及び在京英国大使館フランクリン書記官から、再処理施設に関する仏英両国の経験、技術的課題等について紹介いただきました。最後に処分をテーマとして、ANDRAマンドキ廃棄物管理シニアエンジニアから、廃止措置に伴う放射性廃棄物の管理上の課題等を紹介いただきました。その後の質疑応答においては、廃止措置を進めるにあたっての汚染の把握(放射性物質の分布等)、対外的なコミュニケーションの在り方等に関する議論を行いました。

最後に、当機構伊藤理事から閉会挨拶として、本ワークショップでの発表及び議論は廃止措置を進めていく上で重要なインプットを提供するものであったこと、各参加機関の協力への謝意を示しました。