国内計量管理制度に係る国際トレーニング
- タイトル
- 国内計量管理制度に係る国際トレーニング
- 開催期間
- 2012年11月26日〜12月7日
- 開催場所
- 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN:東海村)他
- 実施形態
- 日本原子力研究開発機構主催
文部科学省及び国際原子力機関が支援 - 参加者数
- 25名
計量報告データ作成実習
概要
非破壊測定器(HM-5)実習
ワークショップ
グループ毎の発表
文部科学省からの補助事業の一環として、国内計量管理制度(SSAC)に係る国際トレーニングを、文部科学省(MEXT)、国際原子力機関(IAEA)の協力を得て実施した。
本トレーニングの目的は、各国の適切な保障措置実施を支援するため、国内計量管理体制維持に求められる国際的な基準の理解を促す事であり、核兵器不拡散条約(NPT)[1]の下で各国がIAEAと締結する包括的保障措置協定及び保障措置強化のための追加議定書にて求められている義務とその履行方法につき訓練を行うとともに、査察を実施する側がどのような機器をどういう目的で利用しているかなどについても封印や監視装置の実機の紹介などを示して説明した。
参加者は選考による、18カ国[2]からの23組織25名で、講師としてはJAEA職員の他に、IAEAウイーン本部及び東京地域事務所から8名、米国(DOE)、韓国(KINAC)、欧州原子力共同体(EURATOM)から各1名の協力をいただいた。
トレーニングは、講義、ワークショップ、施設訪問及び被爆地(長崎)訪問により構成した。
講義では講師の設問に無線リモコンでインタラクティブに答えるレスポンスシステムを利用して理解状況の確認を計り、ワークショップではシンクライアントPCシステムを利用してIAEAへの追加議定書申告を助けるソフトウエアの実習を行うなど、IT[3]の積極的な利用を試みた。
また、日本原子力発電株式会社及び三菱原子燃料株式会社を訪問させていただき、所有する施設(設備)の視察を実施した。参加者の多くは、こういった施設を実際に見る事が始めてであり、訪問後には多くの方々から、貴重な機会を与えていただけた事にとても感謝している、との感想があった。
トレーニングの一環として、核不拡散の原点とも言える、被爆地(長崎市)の訪問を一泊二日で実施した。
初日は被爆者の山脇佳朗様から被爆時の体験を語っていただいた後に原爆資料館を見学し、参加者に原子力が間違った形で使われた結果の悲惨さについて改めて認識してもらった。また、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を見学し、参加者に原子爆弾による死没者の犠牲と苦痛を重く受け止める日本の取組みを理解してもらうとともに、恒久の平和を祈念するために平和へのメッセージを残していただいた。
二日目には、長崎平和公園を訪問し、平和祈念像、平和の泉、長崎刑務所浦上刑務支所跡[4]などを見学し、原爆落下中心碑前で献花を実施した。その後、長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(NASHIM)[5]の三根教授から「原爆直後の救護活動と調査」というテーマで映像資料などを用いた講義をいただいた。
この訪問後、参加者からは、”原子爆弾の悲惨さ”、”原子力の平和目的利用の重要性”と共に、”そこから復興した長崎の人々及び日本に対する敬意”の声が寄せられました。この場を借りて、この訪問にご協力いただいた関係者の皆様に改めて感謝いたします。
このトレーニングに参加したそれぞれが、その職場で、核不拡散の意義を同僚等に伝えていただくとともに、各々の立場で国内計量管理体制の適切な維持運用を図っていく事が期待される。
[1] NPT : Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons
[2] オーストラリア連邦、バングラディシュ人民共和国、カンボジア王国、インドネシア共和国、日本、ヨルダン・ハシェミット王国、カザフスタン共和国、大韓民国、ラオス人民民主共和国、リトアニア共和国、モルドバ共和国、ミャンマー連邦共和国、ネパール連邦民主共和国、タイ王国、トルコ共和国、アラブ首長国連邦、ウクライナ、ベトナム社会主義共和国
[3] IT : Information Technology(情報技術)
[4] 爆心地より北へ最短約100m、最長約350mの地点にあり、爆心地にもっとも近い公共の建物。
[5] NASHIM : Nagasaki Association for Hibakushas' Medical Care