核物質及び原子力施設の物理的防護に関する国内トレーニングコース
- タイトル
- 核物質及び原子力施設の物理的防護に関する国内トレーニングコース
- 開催期間
- 第一部:2012年5月31日〜6月1日
- 第二部:同年6月27日〜6月29日
- 第三部:同年7月25日〜7月27日
- 開催場所
- 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)(東海村)
- 参加者数
- 38名(延べ)
概要
ISCNは、主に国内の事業者を対象として、核物質および原子力施設の物理的防護に関するトレーニングコース(三部構成)を実施した。
第一部は「物理的防護システム(PPS)の要件」をテーマに、原子力施設の特性評価、攻撃目標の特定、脅威の定義、リスク管理について講義を行い、参加者は各講義の後に7-8名ずつのサブグループに分かれて演習を行った。また、平成24年度より運用を開始したバーチャル・リアリティ(VR)システムを用いて、原子力発電所の概要やセンサー・カメラ等の物理的防護システムの例を紹介した。
第二部では、「PPSの設計」を学ぶことを目的とし、PPSの構成機器・システムの基本的な性能・技術、また対応について講義を行い、その後サブグループによる演習を行った。さらに、「核物質防護実習フィールド」にてセンサー・カメラ等の機器の実機を用いた実習、入退管理の実習等を実施した。
第三部では、「PPSの評価」として、敵対者の経路解析、無力化解析、シナリオ解析について学んだ後、参加者は第一部から第三部で得た知識を総動員して仮想の原子力研究施設のPPSを設計・評価する最終演習を行った。最後は、各サブグループによる最終演習結果の発表を行い、各グループの提案について議論を行った。
本トレーニングコースは、もともとアジアの国々を対象とした2週間の国際コースを国内事業者向けに再編したものである。長期にオフィスを空けることが難しく2週間のコースへの参加が困難な国内事業者の事情に鑑み、全体を三分割して3カ月に渡って実施した。のべ38名が参加し、うち15名が三部全過程を終了した。
PPSの要件設定・設計・評価の一連のプロセスを包括的に学ぶ国内関係者を対象としたトレーニングコースの実施は国内では初めてである。参加者からは、「短期間で学ぶ内容が多く、時間が足りない」「もっと演習の時間を取って欲しい」との要望が多く聞かれたが、「PPSを体系的に学ぶ機会として有効」「講義と演習、実機を用いた実習の組み合わせが非常に効果的」等、好評であった。特に核物質防護実習フィールドを用いた実習は評価が高く、「実物を見てのトレーニングはわかりやすい」「設備を実際に体験できるため日々の業務に活かすことができ、良い経験になった」等の感想が寄せられた。
第二、第三部は米サンディア国立研究所の専門家がオブザーバーとして参加し、参加者の質問に答えたり議論のサポートを行った。