FUGEN

平成14年5月17日
核燃料サイクル開発機構
敦  賀 本  部

新型転換炉ふげん発電所の原子炉手動停止について
(原因と対策について)

新型転換炉ふげん発電所(定格出力16.5万kW)は、平成14年1月7日から第17回定期検査に着手し、定格出力で調整運転中の4月17日に、2ループ(A、B)あるうちAループに装荷されている燃料集合体が漏えいしていると判断されましたが、十分低い値で安定していたため、監視を強化して運転を継続していました。
4月21日、衛帯蒸気排気配管モニタの指示値が上昇し始め、その後、希ガスホールドアップ装置の活性炭吸着塔入口ガスモニタ、排気筒ガスモニタ指示値の上昇が確認されたため、同日12時31分、原子炉を手動で緊急停止いたしました。
今回の事象で、環境への希ガス放出量は1.2×1010Bqと推定され、保安規定に定めた年間放出管理目標値(5.1×1014Bq)より十分低く、また、環境のモニタリングポスト等の指示値の変化もなかったことから、周辺環境への放射能の影響はありませんでした。(*1
4月22日から、Aループ側に装荷されている112体の燃料集合体について、破損燃料検出装置により漏えい燃料集合体の特定調査を実施し、1体の燃料集合体(特殊燃料集合体*2)で漏えいしている可能性が強いことが判明しました。
*2特殊燃料集合体:
圧力管材料試験片を組み込める構造となっているウラン燃料集合体。圧力管材料試験片は炉内で照射され、
材料の健全性を確認している。
         

[平成14年4月18日、21日、22日、25日、26日発表済]

1.漏えい燃料の調査と推定原因

4月22日より実施していた漏えい燃料集合体の特定調査は4月26日で終了し、当該の1体以外に漏えいしていると判定されるものではありませんでした。
その後、Aループにおいて浄化運転を継続した上で、残り111体の燃料集合体に対し再度漏えい調査を実施したが、漏えいと判断される燃料集合体はありませんでした。
当該特殊燃料集合体は、圧力管から使用済燃料貯蔵プールに移送し、4月28日〜29日にかけて水中燃料検査装置により、外周燃料棒について外観及び寸法検査を実施し、いずれにおいても異常がないことを確認しました。
また、当外特殊燃料集合体は前回(第16回)定期検査から装荷されていますが、当該燃料の製造記録、取り扱い履歴、運転履歴、水質管理履歴を調査した結果、特に問題はありませんでした。
これらのことから、今回の漏えいは偶発的に微小な漏えいが発生したものと推定しました。

2.対策

  1. 漏えいが確認された特殊燃料集合体は再使用しないこととします。
  2. 漏えい燃料集合体に替えて、現在、使用済貯蔵プールに保管されている特殊燃料集合体を再使用することとし、この燃料についても外観・寸法検査、運転履歴等の調査を実施し、異常の無いことを確認しました。
    なお、今回の燃料取替に伴い、原子炉出力の平坦化を図るため、MOX燃料集合体1体について、ウラン燃料集合体の新燃料1体と取り替えることといたします。
    今後、これらの交換作業を実施した上で、プラント起動準備を行い、5月末に原子炉を起動し、その後調整運転を再開する予定です。

3.環境への影響評価(*1

  1. 環境への希ガス放出量は、約1.2×1010Bqと評価され、保安規定に定めた年間放出管理目標値(5.1×1014Bq)より十分低く、環境への放射能の影響はありませんでした。(4/22発表済)
  2. 排気筒におけるヨウ素測定の結果、4月15日〜4月22日の捕集フィルタからヨウ素−133が検出され、環境への放出量は約2.0×10Bqと評価されましたが、十分に低い値であり、環境への放射能の影響はありませんでした。
  3. 環境のモニタリングポスト等の指示値にも有意な変化は有りませんでした。

(4月22日発表済)

以上のことから、環境への放射能の影響はありませんでした。

以 上

添付図:系統概略図、燃料集合体配置図、特殊燃料集合体概略図