FUGEN

平成14年2月21日
核燃料サイクル開発機構
敦  賀 本  部

新型転換炉ふげん発電所の濃縮廃液貯蔵タンク下部からのわずかな漏えいについて
(漏えい箇所の調査と補修について)

新型転換炉ふげん発電所(定格出力16.5万kW)は、平成14年1月7日から第17回定期検査を実施していますが、 2月13日16時頃、放射線管理区域内の特別に立入を制限している区域*1のパトロール(2回/月)において、 原子炉補助建屋廃棄物処理室地下1階にあるC-濃縮廃液*2貯蔵タンクの下部に取り付けられている加温用蒸気出口配管部に 固形状の堆積物を発見しました。

直ちに現場の状況を確認するとともに、固形物について放射能濃度と元素分析を行った結果、元素分析では、濃縮廃液貯蔵タンクに 貯蔵している内容物(主な成分は硫酸ナトリウム)が確認されたため、タンク内容物が漏えいし固化したものと推定されました。
  なお、放射能濃度はタンク内の濃度よりは非常に低い値(4.7Bq/g程度)でした。
  今後、タンク下部を覆っている保温材をはがし詳細調査を行うこととしています。
  なお、今回の事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

〈補足説明〉

*1:通常の管理区域より線量当量率の高い区域であり、施錠管理により立入を制限している。
*2:放射性の廃液を蒸発濃縮処理し、それにより発生した濃縮廃液を貯蔵するタンク。(3基30m

[平成14年2月14日 記者発表済]

1.漏えい箇所の調査

漏えい箇所を特定するための調査は、2月16日、濃縮廃液貯蔵タンク下部鏡板部(全面保温施工)において、 加温用蒸気出口配管のフランジ取付管台の外径に沿って保温材を切り取って行いました。
この結果、フランジ取付管台とタンク鏡板の溶接部より約15mm外側に、長さ約30mmの周方向の欠陥(すじ状の割れ)が あることを確認し、欠陥箇所から内容物が漏えい(1滴/1秒)していました。
  なお、欠陥近傍の鏡板表面には、腐食等の異常は認められませんでした。
また、管台とタンク鏡板溶接部周辺の鏡板(呼び厚さ6mm、強度計算上必要厚さ1.79mm設計)の肉厚測定を実施した結果、 欠陥の長さ方向の延長線上の一部に、厚さ約3〜4mmの部分が確認され、減肉の徴候が見られましたが、 それ以外の箇所に減肉は認められませんでした。

2.対策

欠陥部からの漏えいを止めるため、2月16日、17日にかけ、ゴムを当てて鋼鈑で押さえつけ、鋼鈑とタンクを エポキシ系樹脂で接着し、その上から広範囲にビニールエステル系樹脂にて補修しましたが、15秒に1滴程度の漏れが 2月18日のパトロールで確認されました。
  このため、補修方法を変更し、2月20日に鏡板の当該部にゴムを当て、鉄箱(縦70mm、横40mm、高さ30mm程度、材質:炭素鋼) をエポキシ系樹脂で接着し、鉄箱内に充填材(材質:シリコンゴム)を注入しました。

2月21日朝、補修箇所を点検した結果、漏えいは確認されませんでした。
引き続き、鉄箱全体を覆うようにビニールエステル系樹脂を積層して補修を仕上げます。
  今後、加温用蒸気を通した状態においても漏えいのないことを確認します。
  なお、月に2回行っているパトロールに加え、当該タンク底部の監視を強化するため、監視カメラを設置し、 中央制御室や、廃棄物処理系制御室等から、遠隔監視を行っています。

添付図−1:漏えい箇所状況図、C−濃縮廃液貯蔵タンク断面図
添付図−2:鉄箱概要図、補修工事概要図(現状)