新型転換炉ふげん発電所の原子炉起動と調整運転開始について
（第１６回定期検査）

新型転換炉ふげん発電所（新型転換炉原型炉；定格出力16.5万ｋＷ）は、本年７月26日から第16回定期検査を実施していましたが、12月25日早朝に原子炉を起動し臨界とした後、翌26日昼頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始する予定です。
調整運転開始後は、出力を徐々に上げながらプラント性能の確認を行い、来年１月中旬には国の最終検査を受けて本格運転を再開する予定です。

1.燃料集合体の検査結果

燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められませんでした。
燃料集合体224体のうち36体を新燃料集合体（うち混合酸化物燃料は22体）に取り替えました。

２．主要改造工事等

(１)廃棄物処理設備の変更工事

（図−１参照）
廃棄物処理設備の運転性向上の観点から廃液移送ポンプと配管を新たに設置するとともに、廃液漏えい防止の観点から液体廃棄物処理設備にあるポンプ（15台）のうち３台についてキャンドロータ式（ポンプ軸封部から外部への漏えいを防止をするため、ポンプ本体と駆動用モータを一つの容器に収納したもの）に取り替えました。
また、廃棄物処理設備の制御盤を更新しました。

(２)蒸気タービン高圧車室補修工事

蒸気ドレンによる浸食（エロージョン）に対する設備保全の観点から、蒸気タービンの高圧車室の一部について、耐浸食性に優れたステンレス鋼にて肉盛補修を実施しました。

(３)原子炉再循環ポンプ供用期間中検査

（図−２参照）
原子炉再循環ポンプの供用期間中検査として、４台あるポンプのうち、Ａ、Ｃの２台のポンプ（Ａ系統）について、ケーシングボルトの締め付け部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行ない、問題ないことを確認しました。

(４)Ａ系原子炉冷却系統の化学除染

（図−３参照）
今回の定期検査で実施する原子炉再循環ポンプの検査等による作業員の被ばく低減を図るため、Ａ系原子炉冷却系統全ての圧力管から燃料集合体を取り出した後に、原子炉冷却系統に除染材を注入し、機器や配管内表面に付着した60Co等の放射性不純物を溶解・除去しました。
なお、前回の第15回定期検査時にＢ系原子炉冷却系統の化学除染を実施しています。

(５)蓄積放射能量の調査

（図−４参照）
「ふげん」の廃止措置準備として、構造物に含まれる放射能量を評価するために、建屋内に設置してある金属箔（放射化箔：中性子照射により放射化する金属箔）の一部を回収し、中性子照射量を測定しました。
また、原子炉格納容器内コンクリート壁や床のサンプリング調査を実施しました。
なお、これらの調査は平成10年度計画停止時から計画的に実施しています。

３．定期検査時に発生した異常事象
[燃料交換機スナウト位置検出器の損傷について(10月31日発生)]

燃料交換機の上部先端に取付けられているスナウト位置検出器が燃料交換機の移動ルート上に設けられていた作業用のロープ（綿製）と接触し、検出器が損傷するトラブルがありました。
損傷した検出器を予備品と交換し11月２日に復旧しました。
なお、このトラブルによる工程への影響はありませんでした。
[平成１２年１１月２日発表済]

４．次回定期検査等の予定

・平成13年度計画停止：平成13年６月

以　上