所長あいさつ

新型転換炉原型炉ふげん 所長  水井 宏之

平素、日本原子力研究開発機構 新型転換炉原型炉ふげんの業務に関し、多大なご理解とご支援を賜り誠にありがとうございます。

 

新型転換炉原型炉ふげんは、2008 年に廃止措置計画の認可を受け、安全確保を最優先とし、環境への負荷をできる限り軽減して廃止措置を進める等の基本方針のもと、国内初の大型水炉の廃止措置プロジェクトを開始しました。国産技術による設計で立ち上がった「ふげん」ライフサイクルの総仕上げとも言える廃止措置プロジェクトを安全かつ合理的に成し遂げることで、原子力のエネルギーを発電プラントで活用することの有効性やサステナビリティの実証を目指しています。現在は、廃止措置計画の第2 段階となる「原子炉周辺設備解体撤去期間」として、原子炉建屋内で配管・機器類の解体撤去等に取り組んでおり、2025 年からは大型機器のひとつである再循環ポンプ等の解体撤去を進めているところです。

さらに、発生した解体撤去物のうち、「放射性廃棄物として扱う必要のないもの」の再生利用を目指したクリアランス制度の活用も進めています。この中では、地元の皆様のご支援も賜りながら、 国や地元自治体のプロジェクトにも積極的に参画し、クリアランス物からの再生利用品を社内施設や公共施設等へ展示する等、資源の有効活用を見据えた取組みも進めています。

 

さて、次のステップとなる廃止措置計画の第3 段階で実施する原子炉本体の解体に向けて、安全性をより高めるための工法実現に向けた遠隔溶接や検査技術の開発を進めるとともに、レーザー切断工法を含めた遠隔・水中解体技術の実装に向け、解体装置の設計や解体手順の検証を進めています。

 

また、「ふげん」で貯蔵している使用済燃料体については、輸送容器の設計承認の変更手続き、輸送容器の国内搬入やそのための施設・設備の整備等を着実に進め、2027 年度からの仏国への搬出開始に向けた諸準備を進めてまいります。

 

これらの事業をより着実に進めるため、地元企業や大学等の研究機関、電気事業者、海外関係機関とも連携・協力するとともに、得られた知見は今後の軽水炉等の廃止措置にも役立てて頂けるよう、情報の発信・共有にも努めてまいります。

私ども所員一同は、立地地域や国民の皆様のご理解を賜りながら、安全で安心していただける廃止措置プロジェクトの実証を目指し、緊張感をもって取り組んでまいりますので、引き続きよろしくお願い致します。

 

 

新型転換炉原型炉ふげん 所長  水井 宏之