系統化学除染による被ばく低減

「ふげん」では、定期検査時の被ばく低減を図るため、作業の自動・遠隔化、遮蔽の設置等の作業管理面及び給水への酸素注入、復水脱塩器の運用方法改善など放射性金属酸化物(クラッド)を低減するための水質管理面からの対策を推進してきました。
さらに、機器・配管内表面に付着しているクラッドを化学的に除去する化学除染技術の開発・高度化を進めてきました。
これは、機器分解点検等の作業における被ばく低減に効果的です。
「ふげん」では、SCC対策工事として、配管の取替や応力改善を実施してきましたが、この時の被ばく低減対策として、平成元年及び平成3年に供用期間中の原子力発電所としては国内で初めて、原子炉冷却系全体の系統化学除染を実施し、大幅に被ばくを低減した実績があります。
その後、「ふげん」はSCC発生防止対策として、水素注入を長期にわたり実施しており、水素注入環境でクラッド中の性状が変化したことから、長期水素注入プラントに適用できる化学除染技術の開発が必要となりました。
このため、新しい除染法として酸化還元除染法(HOP法)の実機適用性の開発試験を行い、「ふげん」への有効性を確認しました。

第15回定期検査(平成11年2月)では、原子炉冷却系機器の分解点検作業に伴う被ばく低減対策として、HOP法を採用し、機器・配管の線量当量率を1/3~1/24に低減することができ、新しい除染法を実証するとともに、原子炉冷却系機器の分解点検作業に伴う被ばくの大幅な低減を実現しました。

系統化学除染による被ばく低減
系統化学除染による被ばく低減
系統化学除染による被ばく低減