ATR開発を振り返ってみると、新しい技術へのチャレンジの連続でしたが、技術的には実証主義に基づく堅実な技術開発が行われました。これが「ふげん」が技術的に大きな失敗を経験しなかった大きな理由です。これを可能としたのは、開発から建設、運転と一貫した体制のもと、プロジェクトに携わった電気事業者、メーカー、研究機関などからの人的な協力をはじめ、国内の原子力技術の結集がほぼ満足すべき水準で行われたことです。
そして、新しい型の原子力発電所を自らの手で研究し、設計、建設して良好な運転実績を残したことが、どれだけこのプロジェクトに参集した技術者の自信につながり、わが国の原子力開発に大きな貢献を果してきたのか計り知れません。現在、「ふげん」プロジェクトに参加したこれらの人々は、原子力を始めわが国の基盤である科学工業技術を支える様々な分野の組織、企業体などで活躍されています。この人的財産を得たということも、また、「ふげん」プロジェクトの大きな成果でありました。
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「ふげん」は運転終了後、廃止措置の段階に入り、新たな役割を担うことになります。すでに平成9年より、放射能インベントリの評価や廃止措置エンジニアリング支援システムの開発など、準備作業を進めており着々と成果を挙げています。一方、商業炉においても廃止措置は現実の課題であり、関連する要素技術の開発が完了しつつあります。これらの技術を「ふげん」に適用し、「ふげん」の廃止措置を通じて実証し、軽水炉の廃止措置へ向けて、安全性や経済性、環境負荷の観点から、技術の完成度を高めていくことが「ふげん」の大きな役割のひとつです。もうひとつは「ふげん」の廃止措置を確実にやり遂げることです。「ふげん」の開発時と同様に、関連する組織や研究機関、企業体などが「ふげん」に結集し、「ふげん」を廃止措置技術の実証の場として活用することが期待されます。
最後に、「ふげん」の開発にあたたかいご指導とご支援をいただいた各界の関係者各位に感謝申しあげますとともに、今後の「ふげん」の役割に対するご指導とご鞭撻をお願い致します。 |
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