燃料安全研究グループ

反応度事故時の燃料挙動に関する研究

反応度事故(RIA: Reactivity-Initiated Accident)とは制御棒の引抜け(あるいは落下)により原子炉出力が異常に増加する事故です(図4)。制御棒が引き抜かれると、その周囲で出力が急速に上昇し燃料温度が高くなり、燃料が破損する可能性があります。本研究グループではNSRRを用いてRIA条件を模擬し、燃料が破損する条件や破損時の燃料挙動を調べています。

現在は、燃料の長期利用(高燃焼度化)に対応し、高燃焼度燃料のRIA時破損条件の決定や破損機構の解明に関する研究を中心に進めています。高燃焼度燃料では、長期間の炉内使用により延性の低下した被覆管がペレットの熱膨張に耐えられなくなり、燃料が破損する可能性があります(図3及び5)。このような破損は、ペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)と呼ばれています。図6は、高燃焼度燃料を用いて得られたこれまでの成果をとりまとめたものです。これらの研究で得られたデータや知見は、高燃焼度燃料に関する安全基準の策定や原子炉施設の安全審査に活用されます。

さらに、軽水炉の安全性向上と効率的利用のために導入が検討されている改良型燃料や新型燃料についても、反応度事故時の挙動解明に取り組んでいます。

図4
図4:反応度事故
図5
図5:PCMI破損
図6
図6:様々な燃焼度の燃料に対するNSRR実験の結果

中塗りの記号は燃料が破損した実験で得られた破損時エンタルピーを、中抜きの記号は破損しなかった燃料におけるエンタルピー増分の最大値(最終到達値)を示しています。ここで、エンタルピーとは燃料が有する熱量です。高燃焼度化に伴い破損時のエンタルピーが低下することが図から分かります。図中の「PCMI破損しきい値」は、旧原子力安全委員会が定めた基準であり、反応度事故に対する安全評価ではこのしきい値を超えた場合にPCMI破損が起こると見なされます。近年取得したデータ(赤い記号)は、「PCMI破損しきい値」が約80 GWd/tまで適用可能であること、またMOX燃料に対する適用も妥当であることを示しています。

一方、NSRRを用いたごく最近の実験では、沸騰水型原子炉(BWR)用に設計された改良型燃料の、従来の傾向から予想されるよりも低いエンタルピーでの破損、また加圧水型原子炉(PWR)用に設計された高燃焼度MOX燃料の、従来見られなかった内圧破裂型での破損が確認され、新しい知見として注目を集めています(何れも現在国内の原子力発電所では導入されていないタイプの燃料です)。これらの破損の原因について詳しく調査を進めています。
(この結果は、原子力規制庁からの委託事業「原子力施設等防災対策等委託費(燃料等安全高度化対策及び燃料設計審査分野の規制研究)事業」において得られたものです。)

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