日本原子力学会 核燃料部会 部会賞(奨励賞)を受賞

燃料安全研究グループの成川隆文研究員は、「ジルカロイ-4被覆管の冷却材喪失事故時急冷破断限界に関する不確かさ定量化及び低減手法の開発」について顕著な業績が認められ、日本原子力学会核燃料部会より、第7回核燃料部会部会賞(奨励賞)を受賞しました。

受賞概要

軽水炉の冷却材喪失事故(LOCA)時に高温となった燃料被覆管はその周囲の水蒸気によって酸化し、その酸化による脆化が著しい場合には、非常用炉心冷却系の作動による急冷時に燃料被覆管が破断し炉心の冷却性を阻害する恐れがあります。LOCA 時に炉心の冷却可能形状が維持されるか否かは燃料被覆管の急冷破断限界に基づき評価できますが、この急冷破断限界に関して次のような課題がありました。すなわち、(1) 従来急冷破断限界は保守的な条件で実施した実験に依拠して決定論的に評価されており、急冷破断限界の不確かさは定量的に評価されていない、(2) 高燃焼度燃料被覆管の急冷破断限界に関しては、照射材を使用した実験全体に係るコストが極めて高いことから取得できる実験データ数が限られており、その急冷破断限界の不確かさは十分に評価されていない。

これらの課題解決のため、受賞者は燃料被覆管の急冷破断限界が有する不確かさの定量化及び低減の手法を開発するとともに、実験によりこれらの手法の適用性及び有効性を示しました。具体的には、LOCA模擬急冷破断試験結果に対するベイズ統計モデリングにより、燃料被覆管のLOCA時急冷破断限界の不確かさを定量化する手法を新たに開発し、これをジルカロイ-4被覆管の急冷破断限界に適用することでその不確かさを定量化することに初めて成功しました。さらに、ベイズ最適実験計画法を用いた急冷破断限界の不確かさ低減手法も開発し、数値実験によってその有効性を示しました。本研究成果はLOCA時の燃料に係わる安全評価手法及び規制基準の高度化や科学的合理性の向上に貢献すると期待されます。

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