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平成12年採用
核融合研究開発部門
プラズマ理論シミュレーショングループ
井戸村 泰宏
 
 @ 担当業務について教えてください!!
 機構では核融合エネルギーの実現を目指して臨界プラズマ試験装置JT−60による炉心プラズマの研究開発を推進しています。核融合炉では5億度にも達する高温プラズマを磁場で閉じ込めて核融合反応を引き起こすため、その閉じ込め性能が非常に重要な問題となっています。私は、閉じ込め性能の鍵を握るプラズマ乱流現象をスーパーコンピュータを駆使したシミュレーションによって解析し、それを制御する手法を研究しています。
 
 A 「機構はこんなところです!」
 大規模なプロジェクト研究を推進する性格上、組織としては大学よりも企業に近い側面がありますが、研究に関しては職位や年齢に関係なく自由に議論できる風通しの良い雰囲気があります。また、国際協力が盛んな核融合研究開発部門では、若手を積極的に活用して国際競争の現場に投入する気風があり、国際的な研究協力を若手が推進する、あるいは、国際会議等で重要な発表を若手が行うといったように、人材の育成に非常に熱心です。
 
 B 業務上の喜怒哀楽体験について
 Aにも関係しますが、私の場合は、新人時代の2000年にIAEA核融合エネルギー会議で論文が採用されて発表の機会が与えられました。IAEA核融合エネルギー会議は2年に一度開催される核融合分野のオリンピックのような国際会議です。当時28歳で初参加だった私は、右も左もわからない状態で世界中の著名な研究者と肩を並べて1000人近い聴衆を相手にドキドキしながら講演したことを今でも良く覚えています。
 
 C 社会人になって自分自身はどう成長したか?
 核融合研究の国際競争の現場を見てきたことで、核融合エネルギー開発というプロジェクト研究における研究の位置付け、あるいは、国際競争における研究の位置付けという視点を意識して自分の研究を進めるようになりました。また、研究協力における海外の研究者との交流を通して、研究だけでなくその国の文化等に関しても多様な価値観に触れることができ、研究以外にも様々な点において視野が広がりました。
 
 D 機構を就職先に選んだ理由
 学生時代に研究生として日本原子力研究所に在籍していたため、当時から最先端の研究開発が展開されていたJT−60の研究現場に身を置いて、上で述べたような職場の雰囲気を肌で感じることができました。そのような雰囲気が自分に適していると感じたこと、そして、実験設備、計算機等の豊富な研究資源を生かして大学ではなかなか難しい大規模なプロジェクト研究に取り組めることが非常に大きな魅力でした。
 
 E 学生時代と現在の機構へのイメージの違いは?
 学位を取ることで精一杯だった学生時代にはあまり意識することはありませんでしたが、豊富な研究資源を生かして大規模なプロジェクト研究に取り組むことができる反面、常にプロジェクトへの貢献および世界の最先端を争う研究成果が問われ、やりがいは大きいですが非常に責任の重い仕事だと年々実感しています。
 
 F 週末は何をして過ごしていますか?
 休日には趣味のドライブや温泉巡りをしています。最近ではお気に入りのレストランを求めて街を探索することが新たな趣味になりつつあります。
 
 G 学生へのメッセージ
 プロジェクト研究と聞くと工学的な応用研究という印象を持たれるかもしれませんが、最前線の問題においては基礎研究の知見が求められる場面が少なくありません。プロジェクト研究を遂行する上でも基礎研究の経験は役立ちますので、学生時代にしっかりと基礎研究の経験を積まれることを期待します。次世代の核融合実験炉であるITER計画も始まり、今後、皆さん若い世代の方々の活躍の場は益々ひろがると思います。
 

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