2026年10月8日
三菱電機株式会社
三菱電機プラントエンジニアリング株式会社
国立大学法人 東海国立大学機構 名古屋大学
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

「放射性ダストモニタ」が「2026 R&D 100 Awards」を受賞
放射性物質の迅速・高精度な識別・測定により、原子炉施設などの作業環境の安全性向上に貢献

放射性ダストモニタ

三菱電機株式会社(以下、三菱電機)、三菱電機プラントエンジニアリング株式会社(以下、MPEC)、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下、名古屋大学)、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、JAEA)は、4者が共同で開発した「放射性ダストモニタ」が、革新的な技術開発に対して贈られる「2026 R&D 100 Awards」(米国 R&D ワールド社主催)を受賞したことをお知らせします。「放射性ダストモニタ」は、原子力施設などで空気中の放射性物質を迅速かつ高精度に識別・測定することが可能で、作業環境の安全性向上に貢献します。

原子力発電所などの放射性物質を取り扱う作業現場では、放射性物質が漏洩する事故が発生した場合に空気中に放射性微粒子(エアロゾル)が浮遊する恐れがあり、作業者が重篤な内部被ばくに至らないよう、核燃料などの人工放射性物質の濃度を厳格に管理可能にするためのモニタが求められています。従来のモニタでは、天然の放射性物質と人工の核燃料物質から放出されるアルファ線のエネルギーを正確に区別することが難しく、核燃料物質の種類ごとの詳細な評価には、専門施設での精密分析が必要でした。

「放射性ダストモニタ」では、精密分析なしに、放射性物質の種類ごとに固有なアルファ線のエネルギー分布を推定する「アンフォールディング技術」を実用化しました。これにより、検出限界※1と計測時間が大幅に改善し、現場で即座に核燃料物質の種類ごとに放射能濃度を特定できるようになったことで、異常発生時の迅速な対応を可能にした点が評価され、今回の受賞に至りました。本技術は、原子力関連施設だけでなく、資源採掘から医療現場まで、放射線を取り扱う幅広い施設の安全性の向上に寄与します。

受賞製品の特長

  1. 従来は困難だった天然核種※2と人工核種の分離を可能にする「アンフォールディング技術」を実用化
  2. 従来手法と比較して、検出限界を100倍以上に向上させ、計測時間を6分の1以下に短縮
  3. 現場での即時定量が可能となり、福島第一原子力発電所の廃炉作業をはじめとする高リスク環境下における作業者の安全確保に大きく貢献

開発体制

組織名称 担当内容
三菱電機 先端技術総合研究所 アンフォールディング技術を用いた測定アルゴリズムの開発、測定性能の検証
MERL※3 検出感度補償アルゴリズムの開発
MPEC 放射性ダストモニタのシステム設計・製品化、フィールド実証とりまとめ
名古屋大学 英知事業代表、原理実証とりまとめ
JAEA 核燃料物質に対する測定性能の評価

名古屋大学の研究代表者は、大学院工学研究科 黒澤俊介教授(研究当時:東北大学)。

本研究の一部は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業・課題解決型廃炉研究プログラム(JPJA18P18071964, JPJA22P22683602)」の支援により実施されました。

R&D 100 Awardsについて

米国R&Dワールド社が1963年から毎年、世界の優れた技術100件を選定しているもので、“技術革新のアカデミー賞”と言われる権威のある賞です。プロのコンサルタント、大学関係者、産業界の研究者などの外部の専門家が、技術的な重要性、独自性、有用性の観点から公募案件を評価し、前年に実用化された製品の中から選定します。本年の表彰式は、日本時間11月20日に米国アリゾナ州スコッツデールで開催される予定です。

※1 分析や測定において対象物質を検出できる最小の量

※2 原子番号・質量数・エネルギー状態によって特徴づけられる原子核あるいは原子の種類

※3 Mitsubishi Electric Research Laboratories

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