令和7年9月16日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

英国との連携で日本の高温ガス炉技術の社会実装を加速
―英国原子力規制局と高温ガス炉の安全性に関する情報交換のための取決め延長に合意―

  • 日本原子力研究開発機構(JAEA)は、英国原子力規制局(ONR)と高温ガス炉の安全性に関する情報交換のための取決めの延長に合意しました。
  • 英国高温ガス炉導入に向けたプログラムの事業者として、JAEAと英国国立原子力研究所(UKNNL)は現在取り組んでいますが、ONRとも規制面で協力しながら、三者は研究開発及び関連活動を加速させるため連携しています。
  • ONRとの取決め延長は、研究開発を行うUKNNLとの協力と併せて、開発と規制の両輪による二国間の連携体制を強化し、両国が掲げる2050年ネットゼロ目標の達成に向けて、高温ガス炉技術の早期の社会実装を目指していきます。

JAEA小口理事長(左)、ONRフィナーティCEO(右)

2019年7月、経済産業省と当時の英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、「日本国経済産業省と英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省との間のクリーンエネルギーイノベーションに関する協力覚書」に署名しました。

これを受け、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、2020年10月に英国国立原子力研究所(UKNNL)との間で締結している包括的な技術協力取決めを改定し、高温ガス炉技術分野での技術開発協力を開始しました。また、同年11月には英国原子力規制局(ONR)とも高温ガス炉の安全性に関する情報交換のための取決めを締結し、開発と規制の両輪で、英国との高温ガス炉開発の協力体制を構築しました。

こうした協力体制の下で、英国政府が2022年9月から開始した高温ガス炉実証炉プログラム及び高温ガス炉燃料プログラムの事業者としてJAEAとUKNNLが採択されました。プログラムの遂行において、JAEAとUKNNL は、原子炉設計の安全性、セキュリティ、環境影響の評価に関する行政相談や高温ガス炉規制に係る技術会合の開催等、ONRと規制面で協力しながら、研究開発及び関連活動を加速させるため連携し取り組んでいます。

高温ガス炉技術の早期社会実装を目指すにあたり重要な課題の1つが、国内実証炉向けをはじめとした燃料のサプライチェーン確立です。この課題解決に向けた有力なオプションとして、英国民間企業との連携による燃料製造が検討されています。しかし、英国での日本技術に基づく高温ガス炉燃料製造の実現には、規制側との十分なコミュニケーションが必要です。

今般、ウィーンにて開催されているIAEA総会の機会を捉え、JAEAの小口正範理事長とONRのマイケル・フィナーティCEOは、これまでの両組織の取組について改めて確認するとともに、規制面における協力体制の維持は引き続き非常に重要であるとの認識で一致し、情報交換のための取決めの期間延長(2030年11月までの5年間延長)に合意しました。

JAEAは、今後も様々な国や組織と連携しつつ、2050年ネットゼロ目標の達成に向けて、高温ガス炉技術の早期の社会実装によるカーボンフリー水素等の供給等の実現に貢献することで、最大限の貢献をしてまいります。

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