令和7年3月27日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
図 HTTR-熱利用試験施設
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、製鉄、化学工業等の脱炭素が難しい分野における脱炭素化のためには、水素の利活用が不可欠とされています。高温ガス炉は優れた安全性を有し、二酸化炭素を排出することなく高温熱を供給可能であることから、安定的に大量の水素を製造することが期待できます。このような背景を踏まえ「GX実現に向けた基本方針」(令和5年2月10日閣議決定)の参考資料に2030年代の運転開始を目標とする高温ガス炉実証炉開発工程が示されるとともに、経済産業省の革新炉ワーキンググループは実証炉建設に向けた技術ロードマップにおいて、世界最高温度950℃を記録したHTTRを活用し、2030年までに高温ガス炉を用いた水素製造を行う計画を示しました。
国の方針に基づき、日本原子力研究開発機構(JAEA)は経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「高温ガス炉実証炉開発事業(超高温を利用した水素大量製造技術実証事業)」において、JAEAが有するHTTRに水素製造施設を新たに設置・接続し、原子炉の熱を直接利用して水素を製造する技術を確証するための研究開発を進めてきました。また、水素製造施設の原子炉への接続に向け、設置許可の基準への適合性に係わる技術評価等を行ってきました。
これらを踏まえて、本日、HTTRと水素製造施設の接続に係る原子炉施設改造のため、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、原子炉設置変更許可申請を原子力規制委員会に対して行いました。
JAEAは、原子力規制委員会による審査を経て、製鉄や化学工業等の産業分野のカーボンニュートラルの実現に向けて、2030年までにHTTRの熱により水素を製造し、脱炭素社会における水素供給源としての高温ガス炉の有用性を示すことを目指します。