令和4年1月31日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

HTTR(高温工学試験研究炉)における国際共同試験の実施について
(お知らせ)
-炉心冷却喪失試験の実施-

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄、以下「原子力機構」という。)では、OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)の国際共同研究プロジェクトとして、HTTR(高温工学試験研究炉)において原子炉の冷却ができない状態を模擬した試験(Loss Of Forced Cooling, LOFC)を進めています。令和4年1月28日(金)、原子炉出力約30%(9MW)において、制御棒による原子炉出力操作を行うことなく、全ての冷却設備を停止し、冷却機能の喪失を模擬した試験(以下「炉心冷却喪失試験」という。)を世界で初めて実施しました。その結果、原子炉が冷却できない状態においても自然に原子炉出力が低下し、燃料温度の異常な上昇等も無く、安定な状態を維持することにより、高温ガス炉の高い固有の安全性を確認しました。当該試験は、計画どおりに終了しております。

炉心冷却喪失試験は、平成22年12月に実施した「炉心流量喪失試験」注1)(制御棒による原子炉出力操作を行うことなく、炉心を直接冷却する冷却材ヘリウムガスの流量をゼロとし、冷却能力の著しい低下を模擬した試験)の条件に、さらに、原子炉停止後に残留熱を除去するため設けている原子炉圧力容器周りに設置した炉容器冷却設備を同時に停止させ、全ての冷却機能の喪失を模擬した試験です。

本プロジェクトでは、今回の炉心冷却喪失試験を含め3つの試験を計画しており、今後、原子炉出力100%(30MW)における炉心流量喪失試験を3月に実施する予定です。

高温ガス炉は、炉心には高温に耐える黒鉛を使用していることから、炉心の熱容量(熱を貯めこむ能力)が大きく、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料破損(炉心溶融)に至らないという高い固有の安全性を有しております。原子力機構では、本プロジェクトを通して、高温ガス炉の固有の安全性を示すとともに、高温ガス炉の実用化に必要な、高温ガス炉の安全上の特徴を反映した安全基準の国際標準化や、我が国の高温ガス炉技術の国際競争力強化に貢献していきます。

引き続き、安全確保を最優先に、HTTRの運転を慎重に進めてまいる所存です。

注1)炉出力30%における炉心流量喪失試験。(平成22年12月22日原子力機構プレス発表


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