用語解説:

注1 核−マントル分離(分化)

現在の地球は地表から深部に潜るにつれて、地殻−上部マントル−下部マントル−外核−内核と、層構造をなしていますが、原始地球は始源物質が集積したまま未分化の状態で、マントルと核が分かれていませんでした。その後鉄の重力沈降により核が形成され、軽いケイ酸塩を主成分とするマントルと分かれて、現在の層構造が形成されたと考えられています。

注2 GPa(ギガパスカル)

109パスカル。1パスカルは約10万分の1気圧で、1 GPaは約1万気圧。地球の中心は約360 GPaで、最近はそのような超高圧下でもX線実験は可能になっていますが、中性子実験の圧力領域はまだまだ限られています。

注3 鉄水素化物

鉄の結晶中、規則正しく層状に並んだ鉄の原子の間に水素が貫入して安定な状態になっている化合物です。温度圧力条件に応じて、様々な構造(相)に変化すること(=相転移)が知られており、含まれる水素の量も温度圧力によって変わります。

注4 アンビル

高圧装置の中で、超硬材料で作られた、試料を加圧する部分。先端部を細く底部を広い形状にして先端部に発生した高圧を広い面積に分散させることにより、超高圧を発生させます。アンビルの原義は鍛冶屋の使う「金床」です。

注5 格子体積

分子、あるいは原子が規則正しく並んで空間的に周期性を持つ構造の、1単位を結晶格子と呼びます。(例えば、食塩NaClの結晶には、Na原子とCl原子が1:1の割合で配列して、安定な状態をとっています。このNaCl結晶では、単位格子あたりにNa原子とCl原子が4個ずつ入っています。)この単位格子の体積のことを「格子体積」と言ってX線や中性子で直接測定できることから、温度圧力に伴う変化を測定して、構造の安定性を議論します。

注6 リートベルト法

粉末X線回折実験や中性子回折実験で測定した回折パターンから、構造情報を得る解析手法の一つで、考案者であるオランダの結晶学者Hugo M. Rietveldの名にちなんで「リートベルト法」と呼ばれています。具体的には、結晶構造(結晶格子の大きさや原子の位置)に関するパラメータをモデル化して得られる仮想の回折パターンと、実際に実験データとして得られた回折パターンとを比較しながら、結晶構造やピーク形状などに関するパラメータを精密化していく作業を行っています。

注7 SEM

走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)のことで、電子線を当てて試料の表面形状を観察する装置です。X線検出器を取り付けて元素分析を行うこともでき、ミクロ領域での試料の組成も調べることができます。


戻る