平成27年11月24日
J-PARCセンター

J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)利用運転の一時休止について

J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)において、11月20日(金)0時12分頃、中性子源設備の中性子標的容器内に設置しているセンサーがヘリウム層内の水分を検知したため、利用運転を停止しました。

当該事象への対応として、今後、詳細な原因の調査・特定等を行うため、現時点において中性子標的容器の交換が必要と判断し、これに伴い、12月末までの間MLFの利用運転を休止することとしましたのでお知らせします。

なお、中性子標的容器及び水銀循環系からの放射性物質等の漏えいはなく、施設内及び環境への影響もありません。

利用運転再開までの間、多大なるご不便・ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、ご理解頂きますよう宜しくお願い申し上げます。

【補足説明】

中性子標的容器内のセンサーにおけるヘリウム層内の水分の検知について

ヘリウム層内に水(保護容器冷却水)が滲出したと判断した理由は次のとおりです。

【用語説明】

「中性子標的」

ステンレス鋼製の容器内に水銀を流動させ、陽子ビームを照射して水銀との核破砕反応で中性子を発生させる装置です。図1に示すように、中性子標的は密閉容器に装着され、陽子ビームで照射されます。

図1

図1 中性子標的の概要について

「中性子標的容器」

中性子標的容器はステンレス(SUS316L)製で、溶接により組み立てられた構造であり、全長は2m、重量は約1.6トンです。図2に示すように、中性子標的容器は、内部に水銀を流動させる水銀容器と、それを内包する保護容器から構成されます。保護容器は陽子ビームの入射により発熱するため水で冷却されています。

中性子標的容器は、構造材料が使用につれて劣化し強度が低下するため、定期的に交換することとしています。

図2

図2 中性子標的容器の外観と内部構造


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