2つの原子核が融合し、1つの原子核になる反応。水素の様な軽い元素同士の核融合反応では質量がわずかに減少し、エネルギーに変わる。
高温の気体では、気体原子がイオンと電子に電離して別々に運動する。この電離した気体をプラズマという。
プラズマを利用して核融合反応エネルギーを取り出す装置として研究が進められている。
流速や圧力が不規則に変動する流れ。反対に、規則正しい整った流れを層流と呼ぶ。
スケール(時間の長さや空間の大きさ)が異なる現象の間に生じる相互作用。プラズマ中のイオンと電子が作る乱流のスケールはそれぞれの質量の平方根に比例する粒子軌道半径によって決まり、水素イオンと電子では約40倍のひらきがある。本文中では、これらの乱流間の相互作用を指す。
膨大な計算処理を目的とした大規模コンピュータ。
理化学研究所に設置された国内最速のスーパーコンピュータ(2015年6月現在)。
特定の物質を極低温にすると電気抵抗がゼロになる現象。
スケール(時間の長さや空間の大きさ)が非常に離れた現象を、相互作用を無視して別々に扱うこと。
題目:Cross-scale interactions between electron- and ion-scale turbulence in a Tokamak plasma
著者:前山伸也(日本原子力研究開発機構、現名古屋大学)、井戸村泰宏(日本原子力研究開発機構)、渡邉智彦(名古屋大学)、仲田資季(日本原子力研究開発機構、現核融合科学研究所)、矢木雅敏、宮戸直亮(日本原子力研究開発機構)、石澤明宏、沼波政倫(核融合科学研究所)
掲載誌:Physical Review Letters
掲載巻・号・ページ: Vol. 114, No. 5, 255002
掲載年月日:2015年6月23日
URL:http://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.114.255002
DOI:10.1103/PhysRevLett.114.255002
図1.スーパーコンピュータ「京」を用いたシミュレーションの結果。円環状に閉じ込められたプラズマの断面図に乱流による静電ポテンシャル揺らぎを描画している。イオンが作る比較的大きな揺らぎと電子が作る極微細な揺らぎ(拡大図中に表示)が共存している。上図ではスケールの離れた二つの揺らぎがはっきりと識別できるが、マルチスケール相互作用が進むにつれて、両者は混ざり合い、複雑な乱流状態へと発展していく。
図2.マルチスケール相互作用による乱流揺動スペクトルへの影響。従来の電子スケールあるいはイオンスケールのみの単一スケール解析と比較して、マルチスケール解析では電子スケール乱流揺動強度の低減、および、イオンスケール乱流揺動強度の増大が起こっていることが見て取れる。