独立行政法人日本原子力研究開発機構

平成27年1月30日
独立行政法人放射線医学総合研究所
独立行政法人日本原子力研究開発機構
公立大学法人大分県立看護科学大学

各医療機関でのCT撮影条件の設定に役立つWAZA-ARIv2の本格運用を開始
-様々な体格・年齢の患者に対応、国内のCT被ばく線量の統計データの収集も可能-

【発表のポイント】

独立行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴 以下、「放医研」という。)、独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:松浦祥次郎 以下、「原子力機構」という。)及び公立大学法人大分県立看護科学大学(以下、「大分県立看護大」という。)の甲斐倫明教授は、共同研究(文部科学省科学研究費補助金平成23年度-25年度、研究代表者:甲斐倫明)により、平成24年12月21日から試験運用を行ってきたX線コンピュータ断層(以下「CT」という。)撮影における被ばく線量評価システムWAZA-ARI2を改良してWAZA-ARIv2を開発し、平成27年1月30日より医療関係者への本格運用を開始することとしました。

CT撮影は診断法として広く普及していますが、撮影による患者の被ばく線量は胸部レントゲン撮影等と比較して高いため、特に若年層や繰り返し撮影を受ける患者が過剰な被ばく線量を受けないように注意を払うことが必要です。また、日本国内で稼働しているCT装置の台数やCT撮影による被ばく線量は世界的に見ても多く、その実態を把握することが課題とされています。

そこで、これらの課題を解決するため、WAZA-ARIv2では①被ばく線量の計算結果の他に、利用者となる各医療機関とWAZA-ARIv2を利用する医療機関全体とで、それぞれの被ばく線量の頻度分布を比較した情報の提供と、②患者の年齢や体格をより綿密に考慮した被ばく線量の計算を可能とする機能を新たに追加しました。①のために追加した機能は、医療機関の同意が得られた場合、各機関における被ばく線量のデータを収集、サーバーに蓄積し、それらを解析して国内のCT撮影に伴う被ばく線量の実態を把握するとともに、全体の被ばく線量分布を利用者にフィードバックするためのものです。各医療機関では、全体の被ばく線量分布と自施設の線量分布を比較することで、診断に適した画像を取得した上で、患者の過剰な被ばくを防止するためのCT撮影条件の設定に活用できます。また、②の機能は、患者情報として設定できる条件を拡張することにより可能となりました。WAZA-ARIでは設定できる条件が、成人では平均的な体格の日本人の男女と、未成年では4歳女児のみでしたが、WAZA-ARI v2では、成人は日本人男女の平均的体格に痩せ型や肥満型を加えた各性4つの体格、若年層は0, 1, 5, 10, 15歳の5つの年齢の男女から、条件を設定することができます。

開発したWAZA-ARIv2は、下記のHPへアクセスして、必要な登録手続を得た上で、パーソナルコンピュータに表示されるインターフェイス画面3 を通じた簡単な操作を行うことで利用することができます。
URL:http://waza-ari.nirs.go.jp/waza_ari_v2_1

参考部門・拠点: 原子力基礎工学研究センター

戻る