放射性物質から放出されるガンマ線を捉えて可視化するカメラ。ガンマカメラは、ガンマ線に感度がある半導体やシンチレータを撮像素子として用い、撮像素子の周りを遮へい材で囲むことでピンホールカメラとしたものです。通常のピンホールカメラがピンホールを通ってきたそれぞれの方向からの光を捉えて対称的な画像として記録されると同様に、ガンマカメラもピンホールを通ったガンマ線だけに反応するように撮像素子を遮へいしており、ガンマ線の到来方向の情報を得ております。ピンホールと検出素子との位置関係から一対一に位置が特定可能であり、構造は比較的シンプルなものとなります。ところが、ガンマ線はエネルギーが高く、物質を透過する力が強いため、遮へい材は鉛などの物質で作られ、厚さは数cmになります。このためガンマカメラの重量は一般的に重くなります。
Ce添加Gd3(Al, Ga)5O12単結晶(Ce:GAGG)/ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット。東北大学吉川彰教授と古河機械金属(株)が共同開発した結晶。GAGGは従来のシンチレータ結晶(Tl:NaI、Tl:CsI)に比べ密度が高いため、小さな結晶でも高感度の放射線測定が可能です。また高エネルギー分解能、高速応答といった特徴を持ち、さらに潮解性もなく空気中の水分による劣化の心配もないため、長期間安定して使用することができます。
SiPM (シリコン・フォトマルチプライヤー)は、ガイガーモードで動作するAPDピクセルを2次元に並列接続したフォトンカウンティング・デバイスです。光電子増倍管と同程度の高い増幅率を有する。医療イメージング(PET)・高エネルギー物理・シンチレータ光検出などで用いられます。
APD (アバランシェ・フォトダイオード)は、逆バイアスを印加することにより光電流が増倍される高速・高感度のフォトダイオードです。PINフォトダイオードに比べ高いS/Nが得られるため、光波距離計・空間伝送・シンチレータ光検出などで用いられます。
コンプトンカメラはガンマカメラ1)と同じようにガンマ線を捉えて可視化するカメラですが、仕組みが異なります。コンプトンカメラの撮像素子は散乱体の第1層と吸収体の第2層からなり、各層の位置とエネルギー情報を基に、ガンマ線のエネルギーと到来方向も測定できるようになっています。到来方向としては、散乱角は推定できても方位角まではすぐには特定できません。点線源からの到来方向を特定するためには複数イベント必要であり、イベントにフィルターをかけて逆投影法などにより、ガンマ線分布の画像を再構成します。重量のある遮へい材が不要になるため、コンプトンカメラはガンマカメラよりも軽量になります。一方でコンプトンカメラの撮像素子はガンマカメラと比べて複雑で高価なものとなってしまいます。