用語解説

1) レーザー・コンプトン散乱ガンマ線:

加速器で加速した数十MeVから数GeVのエネルギーを有する電子と、レーザー光をコンプトン散乱させることで発生させるガンマ線。 エネルギーの高い領域では、レーザー光を光子(粒子)と見なすことができる。 光子と電子の散乱によって、光子は高いエネルギーを電子からもらい、数十MeVから数GeVのエネルギーを持つ光子(ガンマ線)に変換される。 入射したレーザー光は指向性が高くエネルギーが一定であるため、生成されたガンマ線も高い指向性と比較的狭いエネルギー幅を有する。

2) MeV:

メガ電子ボルト。エネルギーの単位。 1Vの電圧が印加された状態で、1個の電子が加速されることで得られるエネルギーが1eV。1 keVはその1,000倍。1 MeVはその1,000,000倍。1 GeVはその1,000,000,000倍。

3) ニュースバル放射光:

SPring-8には、SPring-8放射光以外に、兵庫県立大学が管理するニュースバル放射光がある。 ニュースバル放射光では、1GeVないし1.5GeVのエネルギーを有する電子が蓄積され、様々な波長の光が生成され、産業利用や基礎研究に提供されている。 その一部にレーザーコンプトン散乱ガンマ線発生装置が設置されている。

4) プラスティックシンチレーター検出器:

放射線検出器の一種。 蛍光物質を含むプラスティックに放射線が入射すると可視領域の光を発する。 この光を測定することで放射線を測定する。

5) 磁気双極遷移:

光(ガンマ線も光の一種である)は、電磁場であり磁場と電場の変化する波で構成される。 原子核における磁気双極遷移とは、光(ガンマ線)が原子核に入射した場合、主に磁場が原子核と相互作用する反応である。 また、電気双極遷移は、主に電場と原子核が相互作用する反応である。

6) 同位体:

個々の元素は、質量の異なる同位体から構成される。 例えば、安定に存在する炭素は炭素12、炭素13から構成される。 同位体の違いはその原子核に含まれる中性子の数の違いである。

7) 原始中性子星:

太陽より質量が8倍以上の恒星の寿命の最期に、中心部が重力崩壊して生成される高密度の天体。 超新星爆発によって外層が吹き飛ばされる前の状態のものを原始中性子星と呼ぶ。


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